見出し画像

過去の自分を許してあげたい ⌇『みんなが求める私』の卒業式

19歳の年、私は人生で一番悩んでいた。
今思えば、ちょっと遅めの反抗期だったのかも。

私は良い子だった。
いや、良い子になろうとしていた。

大人しくて自分の意見を言葉にできなくて、
そんな自分を変えたくて、
高校三年間は自分自身に必至だった。

ちょっとずつでもいいから、と
自分が正しいと思っていることを
勇気だして声に出してみたり、声をかけてみたり。

気づいたら、私の周りには人が集まっていて、
まるで自分の存在価値を認められた気がして。

でも、私は浅はかだった。
結局私はなにも変われていなかった。

周りに人が集まっていたのは、
「みんなが求めている私」になっていたから。
みんなが求めている「良い子」の私。

みんなが求めている、真面目な私。
みんなが求めている、優しい言葉。
みんなが求めている、私らしい夢。

いつだって私は「誰かのための私」だった。


そのガタが来たのが19の年。
19歳の私は空っぽだった。

本当は東京の大学に行きたかった。
本当は語学じゃなくて、美術とか映像とか衣服とか
そんな勉強をしたかった。
本当は吹奏楽はもうやりたくなかった。

本当に自分がやりたいこと。
みんなが求めている私にやってほしいこと。
その間で自分が分からなくなってきてしまった。

そんなんだから、人間関係もだんだん良くなくなってきて
仲が良いと思っていた子たちがどんどん離れて行って、
私も耐えられなくなって、LINEの連絡先リセットしたり
自ら人と距離を置くようになっていった。

もう逃げるしかなかった。
逃げないと自分の心が折れそうだった。


タイミング的に幸か不幸か
コロナによるステイホームと就活時期が重なり
自分を見つめ直す時間ができた。

どうにかこの自分の現状を変えるには
環境を変えるしかないと思った。

大学卒業ギリギリまで就活をして、
逃げるように地元を離れて東京にやってきた。

新しい場所、新しい出会い、新しい生活。
なんだか新しい私になれた気がして、
なんとか東京で上手いことやっていた。

実家にはあまり帰らなかった。
最愛の祖母は私を心配して
定期的に連絡も仕送りを送ってくれていたのに
私は帰らなかった。

帰れなかった。
戻るわけにはいかなかった。
やっと新しい自分になれた。
過去には戻れなかった。
戻りたくなかった。

そして年末、久々に帰省し、
まるで私を待っていたかのように
年明け、祖母はなくなった。


でも祖母が亡くなる前日に
祖母の口から「幸せだった」と聞けたのが
唯一の救いだった。

祖母がなくなってもうすぐ2年が経つが
「幸せだった」という言葉に
考えさせられ、悩まされた2年間だった。

もっと帰ればよかったのか、
上京しない方がよかったのか、

きっとみんなが求めている私だったら。

「上京したらさみしい」と言われ、
地元に残って祖母と暮らしていたら、
祖母が求めていた私だったら…

と考えてみたりもしたけれど、
その選択肢をしなかった私に「幸せだった」
と祖母は言ったのだ。


結局、みんなが求めている私でなくても
毎日毎日、1日は始まって終わるし、

意地悪を言ってきたあの子も
意地悪を言ってしまった私も
過去は変わることなく、今が進んでいく。

結局「自分が後悔しない選択肢」
をするかが大事なのかもしれない。

祖母がなくなり心のチャージをするのに
たくさん漫画や本を読みまくって
映画や演劇、アイドルを観まくった。

心が疲れた時に手に取ったものは
幼少期から自分が好きだったものばかり。
オタクとか根暗とか言われるのが嫌で
隠し続けてきたものばかり。

久々に心の奥底に眠らせていた
幼き頃の私が顔を出してきた。

きっと誰かの求める私じゃなくて
「幼い頃の私が求める私」に
ならなきゃいけないなと思い知らされた。


だからといって、悩みもがいていた
19歳の私も否定してはいけない。

「みんなが求めている私」を演じられたのは
客観的に物事や自分を冷静に見れる武器であり、
悩みを乗り越えた自分は自身に繋がっている。

22年間
いつだって過去の自分を許せずに
前だけ見て走りだしてきたけど、
この2年間は立ち止まって
自分を見つめなおせた時間を作れた。

最近は地元に帰るもの
昔の友人に会うことも、怖くなくなった。
案外自分が怯えていただけだったのかも。


私はもうすぐ25歳になる。
あの子もあの子も、そして私自身も
過去を全部許すことにした。
全部、許す。

きっと25歳の誕生日は
みんなが求める私の卒業式

どんな25歳にしようかなぁ


今日、久々に祖母が夢に出てきた。

大きい地震に遭遇しパニックになっていたら
「津波から来るから避難しな」と
祖母の声が聞こえた気がして、
急いで避難して助かる夢だった。

いつだって祖母は私の味方をしてくれる。

読んでくれてありがとう。
みんなも自分の過去を許してあげてね






いいなと思ったら応援しよう!