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家族についての試論

家族とはいったい何であろうか。「家族」と一言で言ったところで様々な形がある。共同体家族、直系家族、核家族、とエマニュエル・トッドは分類した。それに対して東浩紀は、ウィトゲンシュタインの言語ゲームを持ち出しつつ、以下のように定義している。

本論では、「家族」という言葉を、親密で閉鎖的な共同体ではなく、その同一性(アイデンティティ)が新たな局面での具体的な対応のなかで絶えず訂正され更新され、むしろそのダイナミズムによって持続する共同体一般を意味するものとして使いたいと考える。

ゲンロン12   P.73

私は核家族に生まれた。両親は同じく関東の出身であるが、父は群馬にあった直系家族から出て横浜に移り住んだ人物である。私自身は、父の実家との関係が疎遠だったこともあり、いわゆる直系家族的な大家族の様子をほとんど見たことがない。にも関わらず、自分が結婚するときには、その直系家族的な大家族を目指したのだ。いや、正確に言うと、友人家族も一緒に暮らすような共同体家族を本気で作ろうと考えていたのだ。

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