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【台湾ぐるり旅】太魯閣峡谷 秘境カフェみつけた
台湾をぐるりひと回りする「環島」旅行。6日目は花蓮を起点に、台湾随一の景勝地・太魯閣峡谷まで足を伸ばした。何万年だか何十万年だかという長い時間をかけて形作られた峡谷で、かなり広めの国立公園に遊歩道が何カ所も整備されているらしい。
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タクシーをチャーターするか1日ツアーに参加するのがおすすめと聞いていたが、行き当たりばったり旅なので、もちろん下調べも事前予約もしてあるはずがない。「台灣好行」という観光客向け路線バスだけでなんとか回りきった。
悠久の大自然がもたらす素晴らしい景色に息を呑んだ、みたいな展開になるかと思いきや、個人的に一番おもしろかったのは峡谷そのものではなくて……。
【2022/12/06の旅日記】
朝食は起司雞排堡(55元)と名前の無いサンドイッチ(28元)、鄉村紅茶(15元)の熱、あわせて98元=440円弱。台湾に来てから初めて早餐店であったかい紅茶を頼んだ。サンドイッチはりんごが入ってた。お店のロゴが平成ヒト桁台風でかわいい。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
鄉村漢堡
+886 3 833 3160https://t.co/YHoFXrgru2 pic.twitter.com/zKE9ZOIp7P
バスに乗って太魯閣へ向かう。新城という街を過ぎると、もうすでに車窓からの景色は断崖絶壁の連続に。この国立公園は本当に大きいらしい。
このQRコードは読める気がしない……(読めなかった)。 pic.twitter.com/kt4nNeS5m4
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
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まずは九曲洞という遊歩道でバスを降りることにする。
太魯閣の九曲洞。想像よりずっと谷が深い。あちこちに「落石注意」って掲示されているのも(しかも実際、頭上の安全ネットに拳大の石が引っかかってる)、この峡谷がいまもなお削られ続けている感じが伝わってきて良い。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
問題は写真ではなかなかこの迫力を表現できないこと&どこも同じに見えること。 pic.twitter.com/4SoaXpN6j8
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バスを降りるときは、次のバスの時刻を確認しておくのがポイント。この日はとにかくバスの運行時刻をベースに行動するように心がけた。
九曲洞の滞在は1時間弱くらい。台湾のバスはかなり早めに到着する(そして乗客がいようがいまいがお構いなしに通過する)ので、わたしも想定到着時刻の20分前にはバス停に戻った。
次に向かった先は天祥。路線バスの折り返し地点/終点となる街である。
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川が合流しているんじゃない! 谷が合流しているんだ!(青島風に)
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
と考えるとスケールが大きい。 pic.twitter.com/CpFjsKMbFB
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天祥の天峯塔。こういう中華式の五重の塔、あちこちで見かけるけれど、これだけの山中にあるとまた別格の趣がある。渓谷全体にややモヤがかかってるのも神秘的。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
この塔は珍しく内部を覗くことができて、見上げたらてっぺんまで螺旋状の階段がつながっていた。のぼってみたかったけれど立ち入り禁止。 pic.twitter.com/TGovzBrNF8
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祥德寺も本当に立派。背後にみえる渓谷の緑と、たちこめる霧の白、この2色が伽藍のオレンジ色の引き立て役になっている。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
いつか出家することがあれば、ここで修行したいな、すごく集中できそう、空気もおいしいし(この考え自体が煩悩まみれ)。
なぜか突如思い立ってホウオウを登場させてみた。 pic.twitter.com/S38hOMCNiD
祥德寺の境内にあった「地蔵菩薩金身」は修復作業中。近くに寄ってみると足場がの組み方がとっても複雑で、おもしろかった。 pic.twitter.com/dWZvdJ3Hgs
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
ぶらぶらしていたらお寺のおばちゃんが「こっちにおいで、お線香をあげるから拜拜していきなさい」。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
きょうは観光客も少なくて暇していたんだろう、そこから20〜30分話し込むことに。
どこから来たのか、台湾にきて多久か、台南ではどこに住んでいるのか(おばちゃんはもともと台南出身らしい)。 pic.twitter.com/8Q8u3d4tZz
🇹🇼「あらそう、中国語の勉強。それならたくさん聞いてたくさん話さないとダメねえ」
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
🇯🇵「そう」
🇹🇼「わたしの話してる内容はどれくらい聽得懂なの?」
🇯🇵「25%くらいです」
🇹🇼「えっ、そうは見えないけど」
🇯🇵「うーんけど実際それくらい」
🇹🇼「じゃあわたし慢慢地しゃべらなきゃ」
🇯🇵「お願いします」 pic.twitter.com/hrQk7Gnt8w
🇯🇵「住職さんですか?」
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
🇹🇼「住職(=住持)は私の老闆、わたしは一般人」
🇯🇵「えーただの服務員さんには見えないですけど」
🇹🇼「對啊! 出家してるもの! ほら!」
(帽子をとって坊主頭を見せてくれて)
🇯🇵「写真撮ってもいい?」
🇹🇼「やめて〜、不慣れなの。住職ならいいけど。呼んでこようか?」
🇯🇵「ところでこの、みんなが名前を書いている用紙は何?」
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
🇹🇼「これは崩落した近くの道路の修復のために寄付してくれた人たち」
🇯🇵「9月の地震で壊れた?」
🇹🇼「いやもっと前。いつだったか」
🇯🇵「こっちは?」
🇹🇼「そこの地蔵菩薩の改修の寄付金」
みてみるとみんな1000元とか高額の寄付をしている。
なんとなく寄付する流れに。寄付先は地蔵菩薩。100元札を「福田箱」に入れる。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
🇹🇼「謝謝、この水をあげます」
🇯🇵「?」
🇹🇼「おまじないの水。これを飲めば何万回も經書を唱えたのと同じ効果がある。『經書』は聽得懂嗎?」
🇯🇵「たぶん。日本語では『經典』かな」
🇹🇼「中国語でも經典っても呼ぶよ」 pic.twitter.com/J1hd3Ahi45
ひとしきりのおしゃべりの後、天祥の中心に戻る。
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昼食は天祥で太魯閣族風味A餐(320元=約1425円)。竹筒飯はその名の通り竹の筒に入っているが、チマキみたいな味を想像していたのでやや淡白に感じた。真ん中の野菜はワラビ。かかっているマヨネーズ?が、マヨネーズとは思えないほど甘かった(≒甘さ控えめの練乳)。ソーセージと豚肉の炒めは普通。 pic.twitter.com/xDNFG87ECR
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
問題は蔬菜湯の「蔬菜」。繊維質多めだが最後まで何なのか分からず、老闆娘に尋ねたところ金針菜というユリ科の植物らしい。そう言われてもよくわからないが、これも原住民・太魯閣族のソウルフードなのだとしたら、食べられたのは幸せなこと。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
天祥餐廳
+886 3 869 1268https://t.co/svoQtZtozI
再びバスに乗って、国立公園の入り口近くにある遊客中心(観光案内センター)に戻った。なぜ最初にココに来なかったか。それは山奥で夕方を迎えるのが怖かったからである。国立公園の入り口付近なら、最悪バスがなくてもタクシーを呼べばいいかなという狙い。
バスに乗って遊客中心に戻り、今度はさっきより下流にある林道を歩く。「小錐麓步道」は階段メインとはいえ想像の10倍くらい急勾配で、情けないが息が切れた。おじちゃんおばちゃんたちはよくあんなにもはしゃいで写真を撮りながら歩けますよね。一歩一歩進むたびに谷底が近づくのでスリル満点。 pic.twitter.com/7UycNsKJGJ
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
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「砂卡礑步道」まで来ると、今度は巨岩の下をくぐり抜けるように進む道のりが続くように。
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
水面に近づくにつれ、川がいかに透き通っているかが分かるようになってきた。いわゆるエメラルドブルー?
だが、私はこのとき、哀しくも小林製薬「ブルーレットおくだけ」を思い出していたのであった。 pic.twitter.com/wCg7YXW2RZ
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砂卡礑步道でおもしろかったのは「このあたりは原住民の保護地区なので、生活物資を運ぶためにバイクで通行することあります。ご了承ください」との掲示板。整備されているとはいえ、まさかこんなところをバイクで通る!? と訝しんでいたら、本当に走っているところに遭遇してしまった。すごすぎる。 pic.twitter.com/qagOKgNSyM
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
川べりまで近づける場所を見つけ、せっかくなので冷たさを感じにいくことにした。手を入れてみるとひんやり心地よい。どうせもう日焼け止めなんて落ちてるし、まわりに人もいない。めがねを外し、ばしゃばしゃ顔を洗った。上から眺む渓谷もいいが、下から仰ぐ渓谷もいい。そして本当に水が透明。 pic.twitter.com/LeZw1w3Uy7
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
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そして。ここで奇妙なことが起きる。
太魯閣遊客中心から歩くこと1時間強、だいぶ山奥までやってきて、団体客も見かけなくなり、なんなら自分以外あたりには誰もいないんじゃないか。そう考えながら歩いていたそのとき、ふいに前方からルイ・アームストロングの歌声が聴こえてきた。えっ? リアル「注文の多い料理店」? これは……幻? pic.twitter.com/fhQCeNgKhq
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
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すこし身構えたが、上のほうから降りてきたおかみさんは満面の笑み。「写真を撮っていってね」。どうやらこの人がこのお店の老闆らしい。ガイドブックにもGoogleマップにも載っていない、こんな「喫茶店」がこんな場所にあるだなんて沒想到。帰りのバスの時間を気にしつつ、せっかくなので腰を下ろす。 pic.twitter.com/8Slks6XpWv
— u5505 (@u5505tainan) December 6, 2022
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太魯閣の砂卡礑步道、最寄りの道路から少なくとも1時間は歩いたところにあったカフェ「綠夢森林手沖咖啡」。
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
ホットはゼロから淹れるため時間がかかるというので、瓜地馬拉冰鎮咖啡(150元=670円)をいただいた。多分グアテマラなんだろう。
「檸檬と一緒に飲んでね」とおかみさん。 pic.twitter.com/sQ7qcNVpyR
🇯🇵「毎日営業してるんですか?」
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
🇹🇼「日曜は礼拝に行くのでやってない。けど月〜土はずっと開いてますよ」
🇯🇵「お客さんは多いんですか? 団体さんはここまでは入ってこないですよね」
🇹🇼「平日は1日10人くらいってとこかな。休日はその2倍くらい。空気がきれいだとコーヒーもおいしいでしょ」 pic.twitter.com/2K2q5oRz9G
🇯🇵「このあたりは原住民が暮らしているってさっき掲示板に書いてましたけど」
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
🇹🇼「そう。太魯閣族が生活してる。私は違うんだけどね」
🇯🇵「あ、違うんですか笑」
🇹🇼「けど原住民は原住民。わたしは太魯閣族じゃなくて阿美族」
🇯🇵「コーヒーもおいしい。本当こんな山奥にお店があるなんて思わなかった」
🇹🇼「あなたはどこから?」
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
🇯🇵「日本です、いまは台南で讀書してるけど」
🇹🇼「えー日本! このお店に日本人が来るのは初めて」
🇯🇵「意外ですね」
🇹🇼「けどあなたの話し方はとっても標準的。北京語っぽい。台湾人と違って高い音と低い音の区別がはっきりしている」
🇯🇵「いやいやいや還有進步的空間」
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🇯🇵「ごちそうさまでした!檸檬を入れるとさっぱりしておいしかった」
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
🇹🇼「でしょ。今日はあなたが多分最後の客人かな。そろそろ店じまい」
🇯🇵「ここに住んでるんですか?」
🇹🇼「いやこんなところには住めない!」
🇯🇵「笑」
🇹🇼「バスは何時? 」
🇯🇵「17時ぴったりのはず」
🇹🇼「えっ、じゃあ急がなきゃ」
本当はもうちょっとゆっくりしたかったけれど、次の台灣好行バスを逃すと山中で2時間くらい次便を待つハメになる。早足で1時間弱、泣く泣く太魯閣遊客中心に戻った。砂卡礑步道の折り返し地点少し前のあたりにあります。ガイドブックに載せる価値大あり。メンションを飛ばしてみよう。@arukikata_book pic.twitter.com/ULRpEhaVZv
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
↑当日のツイートにはこう書いたけど、こういうカフェはガイドブックに載らないほうが良いな。載らないでくれ。
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ああ、楽しかった。早足で遊客中心へ戻った。もう道は暗くなり始めている。おばさんはバイクに乗って戻るんだろうか。
6日夕食は宿近くのステーキ屋さんで一番安いメニューの主廚牛排(170元=約760円)を頼んだ。肉が筋だらけで硬い。ステーキ屋さんで一番安いメニューを頼むと大抵の場合は後悔する。わかっているはずなのに、またやってしまった。
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
孫東寶花蓮中山店
+886 3 833 9222https://t.co/bVd8lsgdRr pic.twitter.com/yNYzCeNJHE
全然音感はないが、花蓮のゴミ収集車はちょっとキーが高めのような気がした。 / 花蓮のファミマ、「濃いめ」とはいえ金麦のほうがサッポロビールより高いという逆転現象 / #Engrish ならぬ #日変語 というタグを作って流行らせたい pic.twitter.com/NtNMWY1646
— u5505 (@u5505tainan) December 7, 2022
机に向かっての勉強時間は1時間13分。