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雨の日の妄想

夜明け頃からぽつぽつと降り出した雨は、夜の勤務が終わる頃には本格的な雨の日を連れてきていた。職員用の出入り口から走って車に乗り込んだだけでずぶ濡れだ。運転席に座ると額に雨が垂れてくる。

まっすぐ帰ったところで誰がいるわけでもないし、何の予定も無い。コンビニでホットコーヒーを買い車の中でぼんやりと過ごす。5月も終わる。沖縄は既に梅雨入りを済ませていて、こちらもそのうち雨と過ごす毎日が来るのだろう。

コンビニの軒下にいるツバメたちは雨が降っているにも関わらず、エサを獲るため飛び回っている。羽が濡れてしまうだろうに。ヒナを育てるには休んでいられないんだな。当たり前のこととしてやっているのだろうけどその愛情と責任感に頭が下がる。ここで子育てを終え寒くなる前には飛んでいかなくてはならない。海を渡るのだって過酷なはずだ。鳥は良いななんて簡単に言うもんじゃないな。

もしツバメだったら。

そもそも番えただろうか。卵やヒナを守れる巣が作れただろうか。雨の日もエサを獲りに飛び回れただろうか。海を渡る列の中に混じってちゃんと飛べるだろうか。ここにくるまでに4000kmも飛ぶなんて。想像しただけで途中で力尽きてる。

一体誰が教えてくれるんだ?
お前、今から海を渡るぞ、その距離数千kmだ。覚悟しろよ。向こうに着いたらパートナーを見つけて子孫を残すんだぞ。安全な場所に巣を構え、子どもたちが一人前になるまではエサを欠かさず運べよ。そいつらが巣立ったら冬が来る、その前にまた海を渡って今度はインドネシアを目指すぞ。
なんて、ツバメの世界ではそんな優しくて頼りになる先輩ツバメがいるんだろうか。
鳥の世界も楽じゃないな。

スズメやハクセキレイやカラス達とも喋ったりして。ここで冬を越すのと海を越えるのとどっちが良いと思う?日本の冬はまじできついぞ。いや、海を越えるのもなかなかだぜ。とか?
お前くらい体がデカいと良いよな。いや、目立つからすぐ追い払われるし鳴いてるだけで不吉だとか言われるし、散々だよ。巣を作ったら喜ばれるお前らのが全然良いよ。とか?

バカなことを考えていたら雨足が更に強くなってきた。フロントガラスに当たり弾ける雨粒の音が一段と大きくなる。いい加減帰らないとな。こんな雨ならいつ洗濯しても同じだ。どうせコインランドリーに行くことになる。帰ってシャワーを浴びてさっさと寝よう。寝て起きたら次の日の朝だったなんてことになったりしないだろうか。丸一日寝たとかやってみたいし言ってみたい。まず無理だな。

とりあえず今日もおつかれさま。

いつの日かのカラス🐦‍⬛


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