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「あっ」と言うまもなく心惹かれた アルフォンス・ミュシャの版画
何度となく目にしたことがあったのに
なんとなく気にはなっていたのに
なぜか一度も見に出かけたことがなかった
ミュシャの版画。
先日府中市美術館で開催されている
『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』で
実際に目にすることができたのだが
「あっ」と言うまもなく
心が惹かれてしまった。
見ているとやはり描かれている女性に
目が奪われやすいが
実際目にしてみるとミュシャの版画は
それだけではないことを実感できる。
*展示品の写真撮影は禁止されていたので
記事の写真は
『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』の
公式図録を購入し撮ったものになります。
1.トーンの統一
トーンとは色の明るさと
色の鮮やかさを表す色調のことで
淡い色に統一されたものが多い。
![](https://assets.st-note.com/img/1728135425-fF7daqm3kSbOzuvi54QtHABP.png?width=1200)
インペリアル・クレイマン
右がモエ・エ・シャンドン
ホワイトスター・シャンパン
2.対のバランス
2つを組み合わせることで
ひとつの作品にしていて
対比することによって関連性を強めている。
![](https://assets.st-note.com/img/1728135027-FPYz37VmuMKH1csIAXt6ZbWe.png?width=1200)
3.組みのストーリー性
季節や花など
つながりを持たせ
時の流れをイメージさせる。
![](https://assets.st-note.com/img/1728136664-5yE7pOaJq9cZbuxmiX2Vhtgz.png?width=1200)
《朝の目覚め》《昼の輝き》《夕べの夢想》《夜の安らぎ》
4.さまざまな書体
書体によってポスターの情景や
見る人の印象が変わることを考え
雰囲気に合った書体を作り出している。
![](https://assets.st-note.com/img/1728137678-SYpXhJKmAZCG9nLjrN27WyUx.png?width=1200)
5.背景のデザイン
余白のシンプルさではなく
「自然から学んだ」草花などの模様を
工芸品のように加えている。
![](https://assets.st-note.com/img/1728138378-bkJsRU3Qz8hXVlZcWjafrdMN.png?width=1200)
ミュシャは全体の雰囲気を大事にして
描いていたことがわかる。
![](https://assets.st-note.com/img/1728303479-2tTiseCX3zgljmQV7InDhSuM.png?width=1200)
目に飛び込んでくるような
鮮やかさではないのに
ふと目に留まる。
生活の一部に馴染み
彩を添えてくれるようなそんな絵。
主張をしすぎない絵は心が和み
いつまでも「そこにあっていい」
と思わせてくれる。
もし私ならこれらの絵を見るために
きっと足しげく見に通っただろう。
そんな気にさせられてしまう
ミュシャの版画。
舞台の世界を街に出現させる
女神が夢を売る広告
街角の芸術から部屋を飾る絵へ
公式図録から
「民衆のための芸術に関われたことが
うれしかった」とミュシャは後年
語っていたと言われているが
描く女性は女神や聖母のようでいて
身近にあって話しかけたくなるような
そんなイメージを感じるし
見る人の心のよりどころにも
なっていたと思う。
『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』
府中市美術館
2024年9月21日(土)〜12月1日(日)まで