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決済最先国インドで考える、決済とファクタリングの行く末

こんにちは、邨山です。
35カ国目にして遂に呼ばれまして、現在インドにおります。
(本日は現地のスラム街をひたすら散策してました。)

偶然か必然か、インドへの道中で読んでいた本がかなりピンポイントで脳内思考と繋がったので、こちらの本の内容にも触れながら"決済"について思考したことを書き連ねてゆきます。


インドの紙幣の歴史

インドの貨幣といえば、、

20時に「明日から高額紙幣は使えなくなります」宣言が発令され、国中が大混乱に陥ったことが数年前にありました。

これはアンダーグラウンドで悪事を働く人たちの資金を無に帰す試みでした。

高額紙幣は「正規の経済活動ではほとんど役割を果たしていないが、地下経済においては重要な働きをしている」とした上で、高額紙幣の追放により

現金の出処を正当化できる人々だけが旧紙幣を新紙幣に交換することになるので、グレーマネーの保有者の手元には無価値の紙幣が残るはずだ

「教養としての決済」より

という仮説のもと行われた政策だったようです。
(廃止された紙幣の99.3%が追放されることなく銀行システムに戻ってきたようですが。。)

インドで進むキャッシュレス化

インドでは、上記の出来事やコロナが追い風となってUPIと呼ばれる電子決済の仕組みが注目され始め、現在では世界で最先端をゆく即時電子決済先進国となっています。

デジタルインディア(日本総研)

UPIは、一般消費者側からみるとpaypayなどと近しい顧客体験になるのですが、政府展開のシステムであることが注目すべき点です。

というのも、インドにはAadhaar(アーダール)と呼ばれる個人識別番号制度(日本で言うマイナンバー)をベースに、「インディア・スタック」と呼ばれるオープンAPIの集合体が存在しています。
そこに生体認証や銀行口座・各種証明書情報も紐付いており、要は個人を識別する情報や決済情報が一元管理されうる状態で、その基板上で稼働しているのがUPIということになります。

こんなことが可能なのは背景としてリープフロッグ的な要素があったには違いないと思いますが、凄いことですね。。

インドは貧富の差が大きすぎるが、、

ホームレスや野犬で溢れていたガンディー公園

Aadhaarの登録者は13億人以上(!)と、国民の9割以上の方が登録しているようです。
日本のマイナンバー普及率とは大差ですね。。

こういったシステムの浸透には時間を要するものと認識していますが、7年でこの普及率は凄まじいですね。
インドは人口が多く貧富の差も大きい市場のため、デジタル化の潮流にのっかっていけない人が相当な数になると思われますが、この先はどうなっていくのでしょう。

逆に人口が多く貧富の差が激しいからこそ、このあたりのデジタル化推進の必要性があったとも解釈できそうですね。

冒頭でスラム街を歩いていたと書きましたが、私がインドへ来た主目的は友人(インド人)の結婚式への参加でして、その両極端なイベントからも貧富の差を身にしみて感じていました。
(インドの富裕層の結婚式は、7-10日間かけて、うん千万円の費用を掛けて宮殿などを貸し切り大大的に行う壮大なイベントなのです、、)

インド決済市場から考える、ファクタリングが担う役割の今後

僕個人としては「フリーランスが資金繰りに悩む時間を0にする」ことをミッションにフリーランスの与信作り及びペイトナーファクタリングの運営をしていますが、上記のインドのような地殻変動が起こると、ゲームの土台が変わることになります。

そのトピックを考える上で以下の記事はとても参考になります。

インドの本事例においてビジネス側面から最もインパクトの大きさを感じるのは、本スキームへの参加銀行間では無料で即時資金移動できる点です。
日本でも全銀システムなどはありますが、全てリアルタイムで無料でというのは現実的にはなかなかハードル高そうですね。銀行の収益源の多くは支払いに対する手数料で成り立っていることを考えるとなおさらです。

なお本題で述べている「即時決済の進行」とは個人間を指しているので、BSメリットを捨てて企業間の支払いにおいても即時支払が浸透するかどうかは別論点となりますが、仮に企業間決済にも浸透してくるようなことがあると、これは決済を扱うサービスにとって大きな話だなと感じています。

もしそうなると、支払いサイクルのズレを解消することが便益になっているファクタリングはニーズが一気にシュリンクするかもしれません。

与信作りに関しても、民間単体というよりは政府との共同で開発していく未来が来るかもしれません。

ちなみに、デジタル庁もUPIへの参加に関心を示していますね。

ただ日本人の国民性というか、思考傾向的には他国ほどドラスティックな変化は起きにくいと思っているので、現実的には10年くらい先になって顕在化するかどうかの話な気がします。

こんなことを考えていると、10年先のビジネス展開のアイデアがどんどん湧き出てくるので個人的にはとてもワクワクしてしまいます。

今回書いた話が実際に日本で起こるかというと少々難しいだろうと思いますが、こういった未来のパターンを思考しておくことで不確実性に対する対応力も上がっていく感覚があるので、またアウトプットしていきます。

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