腸は第二の脳!?【おどろきの腸のはたらき①】
こんにちは!ユイです。
健康の舵取り役・腸内細菌の棲み家であり、その活躍の舞台となる「腸」。
今回は緻密で高性能、腸の知られざる働きの数々をシリーズに分けてご紹介します!
腸が第二の脳といわれる理由
皆さんは「腸は第二の脳」と言われていることをご存知ですか!?
脳と腸って離れた場所にあるし、別々の臓器なんじゃ・・?そう思えるかもしれません。
しかし“脳の不調は腸の不調、腸の不調は脳の不調”といわれるほど腸と脳は密接な関係にあり、日々影響し合っていることが近年の研究で明らかになってきました!
その1:好きな人ができると食欲が減る?脳腸相関
これまで「考える」「動く」など、人体へのあらゆる指示は脳が全て司っていると考えられていました。しかし近年、生物にとって最重要器官である脳と腸は常に情報を交換し合い、密接に影響し合っているという考え方が注目され、医学的な解明が進んでいます。これを【脳腸相関】といい、脳の不調は腸に影響し、腸の不調は脳に影響するという関係といえます。
脳と腸は自律神経系、内分泌系、免疫系の三つの経路を介して2000本の神経線維でつながり、日々綿密にやりとりをしています。
このうち自律神経は交感神経と副交感神経とつながっており、脳の視床下部から指令を受け反応します。例えば、何かストレスを感じると交感神経が優位になり、食欲低下や食欲過多、消化不良などの症状が現れやすくなります。反対に副交感神経が優位になると腸のぜんどう運動が活発になり、消化が促進されます。テストの試験前と後のお腹の調子を思い出してみると、わかりやすいですね!笑
内分泌系はホルモンの分泌を司り、不安やうつなどの感情・行動に関連するといわれています。好きな人が出来て、食欲がなくなった経験はありませんか?これは恋をするとやる気や感情に関わるドーパミンという神経伝達物質が増え、脳にある中枢神経や食欲に関係する摂食中枢神経や満腹中枢神経に働きかけるためだそうです。
免疫系は細菌やウイルスなど、人体にとって脅威となる異物から体を守る仕組みです。
その2:脳に次ぐ多さ!1億個の神経細胞
脳は約150億もの神経細胞が集まっていますが、腸は脳に次いで2番目に多い1億もの神経細胞が存在します。
人体の総司令官のような脳に途方もない数の細胞が集結しているのはイメージできますが、なぜ心臓でも胃でもなく、腸が2番目に細胞を多く有する臓器なのでしょうか?
それは腸が一番最初に体内への栄養を取り入れる「入り口」となる場所だから。
生物が骨や筋肉をつくり、動いたり考えたりするためには栄養やエネルギーが必要ですよね。毎日のように食べ物を分解し、体内に栄養物質を取り入れる重要な役目を担う腸は、身体の最重要器官といえるのです。それに、外からやってくるのは安全な食べ物だけに限りません。病原菌やウイルスなど人体に有害な訪問者が侵入する危険も常に伴っています。そのため、体をつくる・守る両面の重要な働きを持つ腸に、多くの神経細胞を配置しているのです。
その3:有害か、無害か?自ら判断する腸管神経系
消化器官は基本は自律神経にコントロールされ、24時間自分の意志とは関係なく脳からの指示で働く臓器です。しかし腸は独自の神経ネットワーク「腸管神経系」を持っていて、なんと腸は脳からの指令を受けず独自の判断で動くことができるのだといいます!腸にはこの腸管神経系が網の目のように広がり、神経細胞の種類も様々。神経細胞たちが、思考する脳の働きと同じようにインプットした情報とアウトプットした情報を伝達してくれることで、腸自ら考え、活動できるというわけです。
例えば期限が過ぎて悪くなった食べ物を口にしてしまった場合、脳からの指示を待たず強制的に排泄できる防衛システムが備わっています。いわゆる下痢ですね^^; これは身体の症状としては辛いですが、脳が味や匂いとして 送られた情報を危険と察知するまで、タイムラグが生じ対応が遅れることを回避するため腸が独自に判断を下しているのだそうです。
そもそも腸はとても原始的な器官で、脳がなく腸だけある生物も存在するほど(!)お母さんの胎内で受精卵が人間の形になる時、一番最初につくられる臓器がスバリ、腸なのです。その後、腸の両端に口、肛門、と続き、あとから脳がつくらるのだといいます。このことを考えても、腸がいかに生物にとって基礎的で重要な器官かがわかりますね!
その4:幸せホルモン、セロトニンは腸で9割つくられる?
人の生命活動や心の動きを調節する時、さまざまな指令の伝達役となるのが神経伝達物質。約100種類にわたる神経伝達物質のうち、幸せ、安心、リラックスを感じたとき分泌されるのがセロトニンで、別名幸せホルモンと呼ばれています。セロトニンは多様な働きを持ち、脳内で喜びや快楽をもたらすドーパミン、恐怖や驚きをもたらすノルアドレナリン等他の伝達物質による興奮と抑制を調整します。これにより体のリズムを整えたり、精神の安定や安眠にも深く関わっています。
実はそんなセロトニンの約90%が、腸管でつくられるのだといいます。
脳の神経物質がなぜ腸内で作られるの??と思うかもしれませんが、セロトニンはもともと腸内の神経伝達物質で、それが脳でも使われるようになったそう。そのため、腸と脳の両方から分泌されます。
正確には、セロトニンになる前のモトが腸内で生成される、のだそうです。セロトニンの材料はタンパク質、ここから必須アミノ酸がつくられ、セロトニンのモトが生成される→脳に届いてセロトニンとなる、という流れですね!
ここで重要な働きを担うのが腸内細菌です!タンパク質は魚や肉、大豆などの食べ物からしか摂取することができないので、栄養を細かく分解する腸内細菌の存在が欠かせません。また必須アミノ酸の生成にはビタミンが必要ですが、これも食べ物から摂取しなければならず、ビタミン合成を行う腸内細菌の働きが鍵となります。さらに、腸内環境が整っていればセロトニンのモトがたっぷり脳に届き、セロトニンが増えて精神状態が安定します。反対に腸内環境が悪いとセロトニンの量が不足し、不安感やイライラの原因となってしまいます。腸内フローラを善玉菌優勢に整えておくことの大切さが、ここでも伺えますね!
いかがでしたか?
腸が体にとって、こんなにも必要不可欠で頼れる存在だとは知りませんでした・・!なんだか気分が良くないな、イライラするな、、そんな時は栄養のあるご飯をしっかり食べてセロトニンを増やしつつ、腸を労ってあげてくださいね^^