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きみはまだ 『棍棒』 を知らない 大阪の大棍棒展を文字通り【体験】してきた話

「…だいこんぼうてん……?」

お店の電気を消そうとしている時に、知り合いから「ぜひ来てくださいね!」とチラシを受け取ったときの困惑は未だに覚えている。

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ファンキーなデザインに、大棍棒展の文字。
題材もデザインもとにかく攻めてるし、とりあえず会期中にはいかなきゃなーと思っていた。考えてみればこの時点で、私は「棍棒」のことをよく分かっていなかったのだと思う。というか、ほとんどの人間にとって、ドラゴンクエストの序盤のまちで売っている「概念としての棍棒」としては知っているけれど、実際に詳しくなんて知らないものだ。
この頃の自分は正直、このイベントのポテンシャルに全然気づけずにいた。
そう、主催側の知り合いから実際の会場の動画を送ってもらうまでは……

「大棍棒展」というストレートなネーミング。
手にとって触れられる展示だけでもすごいのに、「購入」も可能というスタイル。
おまけに、試し殴りコーナーまで設置されていて、一心不乱に棍棒を振り下ろす姿と鳴り響く音の気持ちよさったらない。
この魅力を少しでもたくさんの人に伝えたいと思って行ったツイートは、じわじわと熱を帯び、気がつけば4.5万いいねを超えるお祭りになってしまった。
2/14にはネットニュースで取り上げられて、バレンタインなのにトレンドワードに「大棍棒展」と「試し殴り」が入ることになる異常事態

ただ、この動画もあくまで開催サイドの知り合いからもらったもの。
実際に会場を見にいかねば「大棍棒展」のことを正確には伝えられない……

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そんなわけで、2/16(水)にお店の休みを利用して、大棍棒展にいってきた。
ツイッターでは新型コロナウイルスの影響もあって、関東からはいけない!という声もあったので、少しでも雰囲気を伝えたい。
果たしてツイッタランドの民を魅了してやまないイベントはどんな様子だったのかをご覧いただければと思う。

棍棒を「そうび」してみる

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大棍棒展には、RPGに出てくる階段のような狭い入口から地下へと降りていく。
大阪の北浜という立地は、大阪の西からの玄関口でもある「梅田」からも地下鉄1駅で移動ができる場所なのもあって、こんな近くに棍棒だけを扱う武器屋のような存在があるというだけでドキドキしてくる。

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中には所狭しと色々な形の棍棒が並んでいる。
65樹種・210本以上を用意してスタートしたそうだけど、既に60本近い棍棒が売れたそうで、手頃な数千円の棍棒はほとんど完売してしまっていた。

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会場設営直後はこのくらいの棍棒が会場に並んでいたとのことなので、改めてクレイジーな空間だと言える(褒めている)
ドラゴンクエストで登場する棍棒も、ここまで武器屋に棍棒だけ並んでいるということはなかったであろう。

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一本一本手にとってみると、重さも違えば手触りも違う。
会場には「これ、攻撃力高そう」「重たいから推奨レベル高いよね」「これは袋にも入るし携帯性に優れているよ」などと会話が飛び交い、はじめてあった人とも何故か会話が成立して盛り上がってしまう。
価格はついていないので、気に入った一本があると会場にいる全日本棍棒協会の皆さんに聞いて教えてもらうような形になっている。
この時に、いま手にしている棍棒がどういう木から生まれたもので、どういった特徴をもっているのかということも丁寧に説明していただける。
この会話の生まれる仕組みはほんとに自然で、ただ単に棍棒を握りしめて高揚したいだけの人でも、自然と日本の樹木の知識を吸収するきっかけにもなっている。

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中央のスペースでは棍棒を持って写真も撮ってもらえる。
私もせっかくなので大きな棍棒をもたせていただいたけれど、支えているだけで体中の筋肉がぷるぷるしてしまうぐらい重い。
人類が太古から生き抜いていく上で、装備してきたであろう「棍棒」を初めて装備してみたけれど、自分に扱える重さや重心のバランスなど、真面目に捉えれば捉えるほどその魅力にダンダン心惹かれていく。

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もちろん噂の「試し殴り」スペースも健在。
この殴るという行為がより一層このイベントでの体験を体に刻み込んでくれる。

棍棒を振り下ろすために必要な筋力。
ヒットした時の反動で痺れる指へのダメージ。
想像はしていたけれど、実際に体験すると全く情報量が違う。

もともとはおまけとして思いついた「試し殴り」コーナーだけど、近くのオフィス街からサラリーマンが休憩時間にやってきたり、厚底ブーツのきれいなお姉さんも笑顔で叩いていたりと、棍棒の魅力にますますのめり込む人が増えている。
(2/18で会期途中とはなりますが、全ての試し殴り用丸太がおられてしまったため、残り期間は試し殴りはできないようです。残念!)

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棍棒の中には、ネットニュースでも話題になった「1億円」の棍棒もある。
これは、1億円の客観的な価値があるというよりも、全日本棍棒協会が譲りたくない特別な一本としての特性が高いそうで、象徴的な一本になっている。

ツイッターでは「棍棒が何万円も売上をあげてるなんて、さすが大阪だ」なんてコメントも見受けられたけれど、そもそも棍棒の市場価格なんてものにほとんどの人は縁がない。

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しかしながら、鉈で削り、グラインダーという機械をかけ、紙やすりで仕上げられた取っ手をみれば、そこにかけられた労力はすぐに見て取れる。
そもそも木材についてもそのへんで勝手にとってきたものというわけでもない。

全日本棍棒協会のメンバーの中で庭師をしている方がお仕事の過程で手に入れたものや、山の木々の間伐を行う中で入手経路にもしっかりと配慮して集まった木材が使われている。

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今回イベントを主催している「全日本棍棒協会」も、そもそもは里山制作団体 つち式の派生団体とのこと。
人の手が入り杉ばかりの山となってしまった日本の山を、様々な木々が生えていた昔の雑木山に育む活動を主軸に、稲作、畠作、養鶏などを通して、生物多様性=悦びに充ちた里山を二百年かけて育む団体がやっているということも、このイベントの人気の背景につながっているように思う。

里山というと「のどかさ」や、「牧歌的」なイメージが強いけれど、実際にそこにあるのはもっと荒々しい側面であったりする。
自然の恵みをいただくというのも、そもそも自然の一部を人間の営みに合わせるために「破壊」することから田園風景は生まれているとも言えるし、なにより人間がこれまで自然の中で育んできた「棍棒でどつきたい」といった衝動は、都市部で暮らす人々の中にも息づいている。

それを否定せずに、どこかで発散するきっかけがあればいいのではないか。
実際、棍棒を数回振っただけで、日頃のデスクワークでは使っていなかった筋肉は悲鳴を上げ、破壊的な衝動は満足をしたように息を潜めているように感じる。
それをどこかで多くの人が感じているからこそ、「大棍棒展」はここまで沢山の人がシェアして訪れるイベントになったのではないかと思う。

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そんな少し真面目な話もしたけれど、大棍棒展は単純に「アホっぽさ」や「滑稽な凶暴さ」を試着するかのように「試し殴り」という形で楽しんでもらえるイベントだ。
大阪の会場では2/20(日)まで開催となっているので、気になる方はぜひぜひ足を運んでいただきたい。また、想定以上の人気となったため、時には感染対策のため入場規制も行いながらにはなることもご了承いただければと思う。
そして「関東でやってほしい!」という方には、ぜひ全日本棍棒協会のツイッターをフォローいただければと思う。
今後の開催予定や情報発信についてもチェックができると思う。ちなみに関東など巡回場所や活動についてのスポンサーも募集されているとのことなので、ツイッターアカウントからお声がけいただければと思う。

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最後にうちのお店としてできるお手伝いとして、主催の東千茅さんと相談し、今回会場限定で販売されている「棍棒入門」をネットストアで販売させていただくことになった。
今回、展示販売された棍棒達の写真と愛のこもった説明、そして棍棒を自分で作る方法、そして東さんが日本各地にチームを作って対戦したいという棍棒競技「棍棒飛ばし」のルールものっている(ちなみに東さん的には大棍棒展より重きをおいている競技とのこと)
今回遠方のために会場に来られない方や、今後の日本巡回のための資金も確保していくためにも、ぜひご注文いただければ嬉しい。(会期中はイベント会場のみでの販売となるため、2/21(月)以降発送の予約販売となります)

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会場の詳細はこちらから

2/11(金祝)——20(日)
11:00〜19:00(試し殴りは15時まで)
混雑時には入場制限もされているようです。
大阪市中央区北浜2丁目1-16
THE BOLY OSAKA B1F KITAHAMA N Gallery


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