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「恩と報酬」―1987年の少年ジャンプ嘘予告が心に刺さる

 目下、「聖闘士星矢」再燃中である。
ハマるととことんまで行ってしまうタイプで、原作を文庫版全15巻、単行本全28巻と立て続けにそろえただけでは飽き足らず、ついには「連載当時のジャンプ本誌」に手を出してしまった。
 
なぜジャンプ本誌を?
「単行本収録時点で、ジャンプ連載時とはかなり違う部分がある」
とのネット上の情報を得てしまった。いわく、カミュは連載時に筋肉線が描かれていた、ミロとカミュの小宇宙通信はジャンプでは会話が成立していなかった……
 
「昔のジャンプ読みたい! でも中古はプレミア価格だし無理っぽい……」とnoteでぼやいたら、
コメントにて「国立国会図書館で読めますよ」と神の啓示があった。
教えてくださってありがとうございますぶいさん。感謝のしるしに、ぶいさんのnoteはこちらです。(勝手に貼ってごめんなさい)
→ ぶい|note

 
記念すべき?国立国会図書館初訪問の詳細についてはまた後日。
この記事ではそこで発見した小さな宝をご紹介させてほしい。
 
ジャンプ名物・嘘次回予告 である。
 
有名な話だが、ジャンプの次回予告・サブタイトルはだいたい当たらない(当てものではない)。実際次の週になれば全然違う方向性の話だったなんてことはざらにある。予定は未定、だからね。
 
「聖闘士星矢」の次回予告ももちろん、だいたい適当である。
「次回サブタイトルぅ? 『男対男』にでもしとけ!!」くらいの勢いで適当に放り出されていた可能性もある(この次回予告は本当にあった。次の号では『聖剣(エクスカリバー)』になっていた)。
 
しかし意外とエモいものがあったりして、なんというか想像をかきたてられた。
1987年、第46号。
宝瓶宮までやってきた氷河が師・カミュと対峙するシーン。
そのページの下の方にあった次回予告・サブタイトルがこれだ。

「師弟対決! 絶対零度の戦い!『恩と報酬』」
 
「恩と報酬」。
……なんだこのすごい切ない感じ!!!
 
実際使われなかったにしても、一瞬でもこのサブタイトルが存在した(少なくとも一度読者の目にふれるレベルで提出された)という事実が……
氷河を一人前にしたカミュが受け取った「報酬」……うううっ苦しいっぐぅぅ
 
実際は、第47号のサブタイトルは「絶対零度…!?」になっていた。
妥当かつ穏当である。

しかし今後、私が宝瓶宮戦を読む際には、この幻のサブタイトル「恩と報酬」がいつでもちらつくだろう。
そして、自分が受け取った「報酬」に満足して、笑って死んだカミュを思うのだ。
 

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