完全ネタバレ感想「君たちはどう生きるか」。感じたメッセージ。鳥の解釈、キムタクの存在感などなど
「君たちはどう生きるか」。先程、見終えて帰宅しました。最高気温37度の酷暑でも見に行く甲斐のある余韻がいつまでも残る作品でした。情報公開が一切なかったので恐らく初見で物語とキャラクターについて全て理解できた人は少ないのではないでしょうか。
私も劇中の台詞を通して、そういうことかと理解できた点が多々あったので繰り返し見る事で理解を深めていく類の作品だと思います。リピーターも今後増えていき、来年に金曜ロードショーで放送された折には、録画していつでも振り返りが出来るようになってる事かと思います。
ここからは作品を見終えた私の感想と解釈を述べます。ネタバレ含んでるので未見の方はバックで。
まず「目の前にある出来事が全てではない」というのを示してくれる物語だなと。千と千尋も然り、生きててつまらない、居場所が無かった主人公が冒険を経て変化していく過程が見られました。別に冒険でなくとも、会社と家を行き来するだけだったサラリーマンが社交ダンスで人生を変える話(「Shall we dance?」)もあるので、当たり前の話なのかもしれません。
ただ学校に馴染めない、会社に馴染めない。でも少し別の扉を開けると自分を認めてくれる場所がある。それが別世界もしくはイマジナリーフレンドだったとしても、現状を変える事は出来るよというのをラストシーンから感じ取る事が出来ました。それは題名の「君たちはどう生きるか」のヒントでもあり、大人の自分含め、人との関わりに悩む人たちにそれを示したというのは良い点だなと思いました。
次にこの作品、やたらと鳥が沢山出てきます。ポスターのアオサギにペリカン、インコ、とにかく多い。それで、何故鳥なのかを見ながら考えました。過去作も踏まえて導いた自分の答えがこれです。
鳥は生と死の世界を行き来できる生き物だから
あの屋敷の先は死者が住む世界で所謂「黄泉の国」。生物において唯一空を飛べるのが鳥なら、天にも行けるし地にも行ける。監督の前作「風立ちぬ」に出る飛行機も「墜落=死」「飛行=生」であり、鳥に置き換える事も出来ると。千と千尋にもヒヨコの神がいましたね。なので、宮崎駿の考える死後の世界観の一部に鳥の要素が入っているのではないかなという解釈です。
あとはキャスト陣。注目はハウル以来となる木村拓哉。時勢が時勢なので、恐らく関係者で一番世の中から「君(たち)はどう生きるか」が問われている人でないかと。アフレコの際どんな心境だったかを勝手に想像しました。
演じるは主人公の父親。これが悪い親ではないけど、いまいち共感が持てない人物で、仕事最優先。家族との会話も仕事の話題のみ。積極的に息子に話しかけても想いが届いていない。本人はそれを自覚してない。少なくともサツキとメイのお父さん(声・糸井重里)程の好感度は無い。あと「息子がセキセイインコになってしまった~」と狼狽える場面はそれまでのキムタク系キャラでも正統派ヒーローでもない姿で、年月を経て脱キムタクの役割を担っている事が分かる役柄でした。
菅田将暉こんな声出せんだ、滝沢カレン出てた?(願わくばメイキングで駿監督とどんな話してたか聞きたい)、ジャパニメーション総結集の制作陣、余韻残す米津玄師の主題歌。。語る要素は多いのに加え、情報過多な現代において、ここまで無情報で楽しめる作品もそうそうないでしょう。
なるべく解禁される前に早めに見ておいて、もし賛否の否定派だったとしても話のネタには充分できる話題性と要素を持つ作品である事は確かです。