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「成功したオタク」を見た30代男性。感想と少し自分語り

「成功したオタク」を配信で見る。
韓国芸能界激震のスキャンダルで推しのK-POPスターが逮捕された監督が悲しみと苦悩に向き合いながら、取材と傍聴を重ねて心に整理をつけていくドキュメンタリー。ちょうど日本で公開した際には旧J問題で世の中が騒然としていた事もあり、関心があったのだが予定が合わず。遅ればせながら配信で拝見した。

と言っても、私はK-POPや推し文化に疎く、K-POPで知ってるところとしては00年代中盤の冬ソナブームの折、日本ドラマの主題歌を幾つか手掛けていた(関根麻里の旦那の)Kくらいか。氏の代表曲でH2の主題歌「over…」は若き日の石原さとみ、山田孝之も相まって気に入りカラオケで「♪あきらめ~るよりも、つらいよ~」とその甘ったるい声の再現を試みて強制中断された黒歴史を思い出す。後に来たガールズグループ隆盛の際は「パーフェクトブルー」の影響で裏の出来事を想像して入り込めず。

アイドルに無関心だったが、テレビは好きだった。
所謂テレビっ子でストレス多い義務教育12年間をバラエティ、音楽に2時間映画枠を楽しみに日々を過ごしていたが、テレビに対する気持ちが一気に離れたのが2016年に例の解散否定会見をリアルタイムで見た時。これほどの功労者にこの仕打ち?という感じがして、なんて夢の無い世界だと幻滅したというか。あの辺りからネットニュースやSNSに憎悪や嘲笑も溢れるようになったと感じる。

「成功したオタク」の監督が良いと思ったのは、推し活仲間、担当記者と色んな立場の人と関わる事でバランスを保った考えを持ってる事。文章でのやり取りでなくて、直接会って話してるのも良い。共感し合ってお互い爆笑する辺りが、会って話す方がメンタルに良いというのは本当らしいと分かる。

一番印象的だったのが監督のお母様のインタビューで、お母様もかつて推しの俳優がいて、娘の推しと同様のスキャンダルが発覚して、直後に自殺してしまった過去があり「生きて償えよ!」とバッサバッサ切り捨てる辺りは不謹慎ながら笑ってしまったが、正直、他人事でないとは思った。

ケビン・スペイシーが失墜、スティーブン・セガールがあっち側の住人と化し、最近は某HIPHOPスターが起こした事件で逮捕者続出なんて話もある。検索すれば出てくる疑惑の人物は今も昔も号泣する程に影響された作品の出演者もいて、正直信じたくない。それこそあの時間は何だったのという気持ちになる。

そんな時に監督のお母様の言葉にあった「愛とは自分を成長させるものでなくてはいけない。」と、親子団欒の後の監督ナレ「好きになった過程が大事で、好きになった感情で自分がどんな人間になっていくか」は、老若男女問わず、何かに感動した人にとって糧になる金言ではないかと思った。

狂信的にならず悟りにも入らず。揺れる若者が作ったからこそ伝わる作品です。


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