裸で走る意味はあるのか。
パイロットの卵、航空学生の訓練期間中である2年間は、平日必ず早朝ランニングがあります。
朝6時にラッパで起こされたら短パン上裸で寮の前に大集合。
先輩も後輩も関係ありません。
イジメじゃなくて、訓練です。
体操を当直の号令で済ませたら、2列になって約1キロの全力ダッシュ。
「○区隊!ファイト!ファイト!ファイト!」
先輩が3グループ、後輩3グループの合計6つの区隊が大声で基地中を駆け抜けます。
基地の近くには民家もあるので絶対に迷惑です。
これをやって、1日がスタート。
冬はみんなの体から湯気が出ています。
温暖な九州に近い山口とはいえ、真冬は0度近いことも。そんな時はいかにして早く温かい寮に帰ることができるかを考えます。
コースを走っている途中でショートカットしたり、折り返し地点の前にUターンしたり、あの手この手で知恵を絞ります。
寮の中には教官が毎日交代で寝泊まりしているので、この人にバレなければセーフ。
先輩後輩関係なく、みんな一体となって頑張ります笑。
中には先回りしてコースを監視する教官もいるので油断なりません。
先頭を走る先輩区隊の指示を後輩は読み取りながら走ります。例えばコースをショートカットする時は掛け声を中断。
ゴールが近づいてから徐々に掛け声を大きくして、遠くから走ってきたことを演出するなど抜かりはありません。
当然返ってきたら汗だくです。
でもそんなことを気にしていられません。布団を高級ホテル並みに整えてすぐに朝ごはんを食べにいかないといけません。
忙しい1日のスタートです。
ラッパが超うるさいから寝坊するなんてありえません。
今でもあの音楽を聴くのは不快です。