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プロイセン王家
今でいうドイツの元となる国を舞台に、絵画を軸に王家を綴っていく本。シリーズの第5弾。今回の王家は ホーエンツォレルン家。名前はどこかで聞いたことがあるが・・と言うレベルの認識。絵画の方はというと、デューラーぐらいしか思い浮かばない、レベルの絵画知識なので今作の絵画で見たことがあるものがなかった。しかも、ホーエンツォレルン家はデューラーの時代から200年ほど後。
歴史から言うと、まずビスマルク。彼が築いた一時代はヨーロッパ王政時代最終期に当たってバランスを取ったことで有名。そしてそれを崩したのもドイツ。ビスマルクを更迭した皇帝ヴィルヘルム2世。バランスが取れているものが永久に取り続けられるものではないが、彼にはそのバランスが見えていなかったのか、さらに重石を乗せてバランスを取るつもりだったのか・・。
これまで見てきた王朝はどれも、親が素晴らしいと、子への期待が大きすぎてしまったり、親の苦労を知らず放蕩三昧になったりと、子は子で別の人間であることをいつ親が気がつくのかと考えてしまう。
いっぱう、贅沢三昧が一律悪いわけではなく、絵画、音楽などパトロンになることで後世に残る作品が、建築物が、都市が作られている。まあ、その時の納税者はたまったものではないけれど。
ヨーロッパはイギリスを除くと地続きなので、国境付近ではすぐに戦争が始まりその境界線が更新される。そして、その線を維持するために他国と婚姻関係を結ぶことが繰り返されている。自分の感覚だとドイツとイギリスはずいぶん離れている印象だが、歴史を見ると今のウインザー朝もそもそもはドイツの流れを汲んでいる(前回のイギリス王家12の物語にも出てくる)など関係も深いことを改めて知る。
ちなみにプロイセンはドイツ北部地方で、これに南部地方が合わさってドイツ帝国になるのだが、これもオランダと同じで北部と南部でカトリック、プロテスタントが分かれている。こうしてみるとキリスト教を一つに括って見てしまうのは理解を阻む要因だとわかる。
「一方を聞いて沙汰するな」とは篤姫の言葉だが、歴史を見るとまさにそれで、一方から見ると「どうしてそうしたの?」と思うことも、そちらから見ると様々な理由があったんだな、とわかる。
このシリーズ残るは ロマノフ家、ロシアになる。これもたのしみだ。
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