歩く 歩く 歩く
私は辛いことがあると歩きます。2時間でも、3時間でも。
一昨年、私は北上尾で働いていました。新興住宅街でしたので
畑もあれば、住宅地も、もちろんちょっとした商店街もありました。
歩きながら、むかし他界した恋人のことを考えていました。
19歳で出会い、大恋愛をして、26歳で結婚して子供も生まれました。
でも、33歳で彼女は事故で帰らぬ人となりました。
その後の私は、喪失感と絶望感のなかで生きてきました。
以下の詩は、北上尾を歩いている時に、私が見て、感じたことを書いています。
歩く
歩く
歩く
畑の狭い一本道
目の前に広がる 黄色い菜の花
あなたの笑顔が不意に浮かんだ
歩く
歩く
歩く
瀟洒な一戸建て
庭にはマゼンタの花々
あなたの熱い瞳が濡れていた
歩く
歩く
歩く
オフホワイトのショーウインドウ
ドアの前には一輪の百合の花
あなたの静かな息づかいが聞こえた
歩く
歩く
歩く
古い木造の駅舎
壁にはネイビーブルー(ほとんど黒です)の花の絵
あなたの死化粧を見つめていた
いつまでも
いつまでも