【19】商標登録の申請書(願書)はどのようなものか?

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
最近、急に暑くなって、この時期は服装に困りますね。

さて、これまでの記事では、商標登録について、メリット、登録の対象、手続の流れ、かかる時間、費用など、その概要をお話ししてきました。このへんで、少し具体的な内容も見たほうが、より興味・理解が深まるのではないかと思います。

そこで今回の記事では、「商標登録の申請書(願書)はどのようなものか?」について、お話ししていきたいと思います。実際の申請書にはどんなことを書くのかを知ることで、申請時のイメージが湧くのではないかと思います。

では早速、商標登録の申請書(願書)の書式を見てみましょう。
イメージとしては、以下のような感じです。
※以下、申請書ではなく「願書」と表記します。

<商施規様式第2(第2条関係)> 

画像1

書式だけ見ると、とてもシンプルですよね。
なお、手続の方法(紙提出か、オンライン提出か)や手数料の納付方法などの違いによって必要な項目は変わってきますので、こちらはあくまで参考に留めてくださいね。

で、この中でも特に重要になるのが、赤色の①~③が付いた項目です。
せっかくですので、簡単にご説明しましょう。

① 商標登録を受けようとする商標

ここに、商標登録をしたい商標を記載します
記載する商標は、文字の場合、ロゴマークの場合、文字と図形の結合の場合など、様々なパターンが考えられます。

ただし、「1つの申請には1つの商標が原則です。
たとえば、「SION」と「ASTER」という2つの商標を商標登録したい場合は、願書は2つ作成します。
要は、商標の数だけ願書が必要ということです。

② 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分

すでにお話ししたように、商標登録は、商品やサービスとセットで行います。
※「役務」というのは、サービスのことです。

そして、セットにした商品・サービスの範囲内で、商標登録による保護を受けられます。言い換えると、この範囲で、商標権という権利も及ぶことになります

で、この②の項目には、セットにする商品・サービスを記載するわけです
ここに記載する商品・サービスを、専門用語的には「指定商品」、「指定役務」と言います。

ここに何を書くかによって、商標登録による保護範囲や、商標権の効力範囲が決まりますから、メチャクチャ大事なところとなります。というか、願書において「1番大事」な記載項目と言っても良いでしょう。

基本的には、実際にその商標を使う商品・サービスを書くことになります。

ちなみに、「商品及び役務の区分」というのは、それらの商品やサービスが、実務上分類されているクラスのようなものです。願書には、これも一緒に書く必要があります

区分には、第1類~第45類までがあります。
第1類~第34類までが商品、第35類~第45類までがサービスの区分です。

たとえば、「化学品」は第1類、「化粧品」は第3類、「文房具」は第16類・・・といった感じです。おおまかな分類表を載せておきます。(「類似商品・役務審査基準」より)

画像2

画像3

実際に書く場合は、こんな感じです。

【第25類】
【指定商品(指定役務)】被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

商標登録をしたい商品・サービスが含まれる区分が2つ以上ある場合は、ここを繰り返して書きます。

なお、「商標登録にかかる費用はどれくらいか?」でお話ししたように、区分の数が増えれば増えるほど、手数料がかかる仕組みになっています。

つまり、商標登録によって、より広く強く商標を保護しようとすれば、それだけお金もかかるということです。うまいことできてるなぁ、と思います(苦笑)。

③ 商標登録出願人

ここには、申請人の情報を記載することになります

ほとんどの場合は会社名となりますが、個人事業主の場合は個人名を書きます。
屋号で出願することはできませんので、注意してください。


いかがだったでしょうか?
商標登録を申請する際のイメージが湧きましたか?

より詳細をお知りになりたければ、独立行政法人工業所有権情報・研修館が公開している「商標登録出願書類の書き方ガイド」が参考になりますので、ぜひご覧ください。
※こちらは、紙提出をする願書を作成する場合の資料です。

今回は以上です。お疲れさまでした!!

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