撃って、奪って、ぶち壊せ!!
今週の月曜夜にnoteに投稿した短文です↓
8月も下旬になり、無味無臭の毒ガスすらを連想する程の凄まじい暑さも幾分かは和らいできた。しかし、有るか無きかの体力しか保持していない憐れな中年にとっては、その様な処遇の改善も、残された僅かな夏を楽しむ為にはもう遅かった。
これまでの執拗、かつ異様、そして理解不能な外気温によって蓄積された疲労が体の中で堰を切ったかの様に溢れかえり、そして私は土曜から月曜に掛け、ただただ寝ていた。やる気が無かった訳では決してない。ただ動けなかった。なんっも無理。noteの更新どころではない。本なんて読めたものではない。アルファベットなんて見たくもない。CDを聴くなんてとてもとても。正気か。一曲70分くらいのノイズとか聴いてたら確実に死んでいただろう。何も考える事が出来ず、YouTubeでロックマンや超魔界村とかのtas動画を延々と眺める他にやれる事が何もない状態。俺は、いつまでこういう昔なつかし系のゲーム動画を見続けるのだろうか…それだけを茫漠に思いながら。
ちゃんと鑑賞した事も無いまま書くが、「タイタニック」という映画に、贅を尽した大型客船が流氷にぶつかってしまって乗客達もろとも海中へと沈んでいくという有名なシーンがある。そこに残されてしまった乗客達は、各々の人生の有終の美を飾る為に思い思いの行動を取る。音楽隊は残された時間で最後の曲をドラマチックに演奏し、老夫婦は部屋のベッドに二人で静かに横たわる。そして、自分があの場にいたら一体何をするだろうか。部屋のベッドで一人でふて寝しながら死んだ目でYouTubeの極上パロディウスのプレイ動画とか見ていそうでマジで恐ろしい。
本当にリアルに想像できる。「あったなあ〜、ヒヨコがたくさん出てくるステージ(4面)」とか言いながら海に沈んでいく自分が。もう鬱すぎてドン底まで落ち込んで泣き喚きながらアインハンダーの動画とか見て「出ました!2面の中ボス、ガルネーレが!!!!」とか絶叫しながら海へと沈んでいく気がすごくする。やばいって。人生の終え方として0点だって。「どけ!!豚屑(ぶたくず)が!!」とか怒鳴りながら他人を蹴飛ばして救命ボートに無理矢理乗り込んで「うわ〜!やわらか〜い(ボートの乗り心地が)」と虚空へ向かってえびす顔でもした方が数百倍マシに決まってる。死ぬ位だったら汚く生きた方がまだマシ。
「アインハンダーとは一体なんだろう」と気になった読者の方も多いと思うので内容について説明させてほしい。この公式リンク画像だけでは何も分からないだろう。
初代プレイステーションが世に出てきてから3年後の1997年に発売された珠玉の名作。近未来の星間戦争をテーマにして、緻密に構築されたサイバーパンクな世界観と「敵の武器を奪って自分の物にする」という野蛮なゲーム性をもって日本中のゲーマー達を虜にした横スクロールシューティングゲーム、それが、今なおテレビゲーム界に燦然と輝く不朽の恒星、アインハンダーだ。
自分はアインハンダーの発売をリアルタイムで体験できた幸運な世代になる。ブレードランナーを思わせるハイテク都市を背景に、蜂を思わせるデザインの自戦闘機が敵機を破壊してバルカンを奪取、そしてそれを撃ちまくりながら他部隊に容赦無くカチ込んで行く様子が3Dで流麗に表されたデモ画像。それを初めて見た時の衝撃を一体何に例えればよいのだろうか?「これはもう映画だ」と思った。「未来のゲームがついにやってきた」と。「こりゃもうスーファミでバス釣ってる場合じゃねえぞ」と心から感じた。「たけしの挑戦状」とか「舛添要一 朝までファミコン 」みたいなので遊んでいる時代はもはや遠くに過ぎ去ったのだと。何しろアインハンダーのキャッチコピーは「撃って、奪って、ぶち壊せ」だ。人生そのものではないか!!輝ける未来がついに始まったのだ。
当時、友達の友達(今は解らないが昔はかなりの不良であった。ある夜、シンナーを心ゆくまで吸い込んだ彼が、家の裏手にある公園の散歩をしゃれこんでいた所、突如ジャングルジムが激しく揺れながらパチンコ玉を放出し始め、彼は余りの幸運に狂喜乱舞しながら夜が明けるまで地面中に散らばる玉を拾い続けたらしい。「結局(玉は)無かったんでしょ?」と本人に聞いた所、「(でも、)嬉しかったねぇ…」と心からの笑顔で答えた彼には確かに聖性が宿っており、このエピソードは、私が人生で初めて接した神秘体験談として心に残り続ける事になる)の家に集まってアインハンダーとかバイオハザードとか桃鉄とか遊んだ事、輝かしい昔の思い出をYouTubeのプレイ動画は蘇らせてくれるのだ。「未来が始まった。今、俺は未来を手にしている」という、あの頃の確かな実感と共に。
ピーズ/実験4号
長々とこんな事を書いてつまり何が言いたかったのかっつうと、自分がYouTubeでグラディウスとかのプレイ動画を延々見るしか出来ない時ってもう"死"に抵抗する事すら困難、ソフトに死んでいるとしか形容できない状態、「昔が懐かしいなぁ…昔は…懐かしいんだよなぁ…今は…今の事なんて何も考えたく無いんだよなあ…今は、1997年なんだよなあ…最近発売されたグリーンデイのニムロッドってアルバム、僕、本当に好きなんだよなあ……」という現実逃避としてのインナーマインドの泥沼へ深く深く沈んでいくだけのリビングデッド野郎であって、で先週の休みに久々にそうなって、なのでnoteも更新無理でした、と、それだけの話です。
それで、なんでこんな疲れてしまったのかって、絶対に夏の暑さのせいなんですよ。外気温37℃とかおかしいもん。でも温暖化なんてこれから先エスカレートするだけなんだから、もう毎年8月には俺は絶対こうなる、半生半死、今は1997年なんだよなあ野郎になるに決まってるんですよ。だからもうこの状況をポジティブに捉えていこうと考えを変えました。この"疲れの絶頂"を一言で表すなら、ただ"STONED"、何も出来ない状態。なので、今まで興味を持てなかったストーナーロックというジャンルをディスクユニオンで適当に買って聴き始める事にしました。今現在の状態にこれ以上ふさわしい音楽は無いんだから。今この文を書きながらコロージョン・オブ・コンフォーミティの2001年のライブ盤(LIVE VOLUME)を聴いていますが、この音楽は果たしてストーナーなのでしょうか。ユニオンのポップにはそう書いてありましたが、私にはみんなで盛り上がる為のハードロック、STONEDと真逆の状態を標榜している音楽にしか聴こえません。ストーナーへの道は遠く険しいです。
Corrosion Of Conformity/Albatross
苦痛を煮詰めた塊のような退屈な音楽が一曲30分位の長尺なペースで始まるのだ、わああ〜聴きたくねえ〜と思いながらも覚悟を決めてCDを再生したら普通にかっこいい曲ばっか入ってて拍子抜けしたよ。
もう本当に疲れで体が動かなくて、最後の頼みの綱として青汁飲み始めたんですよ。ビタミンやカロチンの力を借りるしかもう打つ手が無いので。マリファナの隠語としての野菜を食ってるんじゃなくて、普通に野菜をもそもそ食べながらストーナーを聴いてる訳。かっこ悪いよな。「いつか、岡村ちゃんの"カルアミルク"みたいな恋愛をしてみたい」と若い頃にあれほど渇望していながらも、現実は青汁。まあ、カルアミルクより青汁の方が体にいいからね。
で、ストーンドに状態に纏わる話で、これは俺の作り話だと思って読んで欲しいんですが、けっこう昔に友人が脱法ドラッグに嵌まって、どんどん加速度的にだらしなくなっていくんですね。日に日に挙動が獣に近付いていって。で、この人は、このまま行くところまで行ったら俺よりダメ人間になるかもしれないとふと思って。
そんな事態になったら、もちろん大歓迎じゃないですか。それで、その年の年末に、ストーンド状態に合いそうな曲をいろいろ入れたCD-Rを作って。ブッシュオブゴースツのスリングショットとか、ベタな曲を山程。CD-R2枚組の大ボリュームで。
で、そのCD-Rのケースに「あけましておめでとうございます!◯◯に合いそうな曲を沢山入れました!今年もよろしくお願いします!」というメッセージを入れて、でジャケもちゃんと描いてね。門松から麻の葉っぱが生えまくってて、先端の穴の部分から煙が出まくってて、でその周りで大勢の人が鶴とか亀とかと一緒に寝っ転がってみんな笑顔爆発って感じになってて、でその下に筆文字で「謹賀新年」って書いてあるやつを作って。そういうCD-Rばっかり作ってた時期があったんですよ。
こういうジャケのCD-Rを量産してた時期があって。とにかく身の回りの人達のやる気を無くさせたくて。で、正月に、わざわざ雪の降る中をその人が住んでるアパートまで歩いていって、呼び鈴とかも鳴らさずにポストにそのCD-Rを投函して。サプライズプレゼントですよね。「喜んでくれるかな?」とか思いながら。
そしたら、いつまでたってもその人から何のリアクションも無いんですよ。こっちもやっぱ一言くらいは感想を聞きたいから、ある日「あのCD-Rどうでした?」とそれとなく聞いてみたんですね。そしたら、その人の所に届いてなくて。びっくりしたよ。俺が部屋の番号間違えて全然関係無い独居老人の部屋のポストにそのCD-Rを入れちゃってたみたいで。目茶苦茶落ち込んだよ。だって、それってもうテロじゃん。その人が正月にポスト開けたらハフラートリオのピアノが鳴ってる曲とかが入った謎のCD-Rが入ってるんですよ!?テロだって。
それで思ったのが、やっぱりサプライズプレゼントは良く無い。ちゃんと相手とコミュニケーションを取った上でプレゼントを贈与しないと、どんなトラブルが起こるか分からないし、そもそも「この人にいきなりプレゼントを贈れば相手は喜ぶはずだ」と、物をあげる自分自身の立場を分不相応に高く見積もっている事がおこがましい。そういう事を思いました。その友人もその後普通に社会人になっておられました。めでたしめでたしですね。
ただ、その人とは別の、ストーンド状態を愛好している友達がいまして。その人の家に招かれた事があるんだけど、まあ凄かった!!俺の家くらい汚かった。ただ、汚部屋にも実は様々な種類があるんですね。よく見ると。鬼滅の刃で例えるなら、俺が住んでる汚部屋は岩柱、その人が住んでる汚部屋は炎柱、この前のnoteにも書いた、ゴキブリだらけの部屋でカレー作ってる動画とか上げてる女性が住んでる汚部屋は鬼舞辻󠄀無惨みたいな微細な違いがあるんですよ。その様な差異に注目しながら他人の汚部屋に入るのも愉しいのではないでしょうか。是非。
で、その人はバンドやってて、むかしマイスペースってやつあったじゃないですか。それをそのバンドもやってて、で、ロン・アンダーソンにフォローされてるんですよ。凄いじゃんってその人に言ったら、いや、ロン・アンダーソンは誰彼構わずフォローしてるって言われて、確かにその通りだったんですが。さっき正月の話したんで、ロン・アンダーソンがメンバーだったハッピー・ニュー・イヤーってバンドのライブ盤のバンドキャンプを貼っておきます。これは、本当に最高。最高の芸術。
俺の身の回りで活動していたバンドはかっこいいバンドばかりだった。汚部屋に住んでた(というか、多分今でも住んでるだろう)友達もバンド復活させて欲しい。
最後に、最近YouTubeに勧められたX-Copsというバンドの曲が凄かったので、その曲貼って終わります。GWARのメンバーがやってるサイドプロジェクト的なバンドらしいです。一切知りませんでした。おっさんがやってるバンドの、2024年に出した新曲がこの格好良さ!恐ろしいっすよ。こんな曲ばっかラーメン屋とかブックオフで流して欲しいっすわ。マジで。
X-Cops - Light 'Em Up (Official Video)
それでは、また月曜〜!