第162回 寺院境内で交差するもの
1、摂津国の寺巡り
Twitterでとある古本屋さんのアカウントをフォローしていたら飛び込んできた情報の中に
四天王寺での古本市
があったのを見つけて、ちょうどその日に関西にいたのでふらっと寄ってきました。
四天王寺を訪れること自体が初めてでした。
奈良京都は寺社巡りをしますが、大阪まではなかなか足を伸ばしませんでしたので新鮮です。
2、石が魅力のお寺
四天王寺はかの聖徳太子が戦勝祈願して建立したとされる由緒ある寺院です。
考古学的にも法隆寺の若草伽藍という創建期の建物に葺かれた瓦と同じ種類のものが出土していますし、伽藍配置も古いものとされていますが、平安時代には火災で主要な建物は失われてしまっています。
寺宝としては後醍醐天皇が筆写し手印を捺した『四天王寺縁起』が名高く、中近世に奉納された美術工芸品が多く伝わっています。
建造物としては、度重なる戦火によって失われていしまいましたが、永仁二年(1294)に忍性上人が建立した石鳥居が知られています。
宝物館でもっとも目を引くのは舞楽で用いられる太鼓で、聖霊会で演じられる舞楽は重要無形民俗文化財にも指定されています。
石鳥居と石舞台が1番の魅力(しかも無料ゾーン)というのは他の寺院にはない特徴ではないでしょうか。
3、寺院境内というロケーション
秋の大古本祭りは今年で第18回を迎えるとのこと。
出店数も多く、時を忘れて見入っていると2時間近く経っていて驚きました。
寺院境内でこのような催しを行うと、
古本を真剣に選ぶ玄人風味の方と、
散策する近所の若者、そして寺院を見学する外国人観光客が交差してなんだかステキな雰囲気がありますね。
ミヤギの陸奥国分寺薬師堂でも近年定期的な手作り市が開かれていますし、
寺院境内を活用して賑わいを創出するのは相乗効果が生まれそうですよね。
松島の瑞巌寺でも何度か参道市というイベントをやったこともありましたが、
四天王寺の古本市のように、それ目当てで訪れる方が増えるような取り組みができないものでしょうか。