綱渡鳥@目指せ学芸員2.0

中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す…

綱渡鳥@目指せ学芸員2.0

中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す。仕事ポートフォリオ:自治体学芸員として【松島町歴史文化基本構想】考古学者として 【2018「中世」『宮城考古学』20】

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第1回 自己紹介

はじめまして綱渡鳥(つなわたりどり)と申します。 このハンドルネームは大学生の頃から使っていて愛着があります。 別に実名を出しても困ることはないのですが、ネット上での名乗りはこちらの方がしっくりくるので、こちらを使わせていただきます。 どうしても実名をお知りになりたければ連携しているFacebookをご参照ください。 1 立ち位置の説明中世考古学が専門の行政内研究者です。 言葉の意味を少し説明しますと、 考古学はモノから歴史を研究する学問です。 日本で言うと中世

    • 第1493回 もう平成を総括できるのか

      1、読書記録356 本日ご紹介するのはこちら。 与那覇潤2021『平成史ー昨日の世界のすべて』 歴史学者をやめた、そんな珍しい著者の描く平成史はどんなものなのでしょうか。 2、歴史学者として最後の書 サブカルチャーから政治群像劇まで幅広く話題を展開しながら、いま我々がいる場所、について考察しています。 私自身が生きてきた時代なので、随所に、「そうだった、懐かしい!」と言える記述が出てきます。 例えば小泉内閣メールマガジン。 SNSがまだ一般的でなかった時代に、

      • 第1492回 2024/8/15〜9/5の歴史ニュース

        1、母校はやっぱりいいものだ ニュースまとめも間が空いてしまいましたね。 先日急に思い立って母校の高校文化祭をのぞいてきました。 建物は全く変わらず、懐かしさ全開だったのですが、 私の頃は男子校だったのが共学化していて、華やかさは増していました。 若さっていいな、と当たり前の感想。 さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。 ちなみに前回はこちら。 2、ニュースヘッド

        • 第1491回 江戸時代の人はどのように歩いていたか

          1、読書記録 355 今回ご紹介するのはこちら。 谷釜尋徳2017「近世後期の街道筋における榜の用途と身体技法」 『東洋大学スポーツ健康科スポーツ健康科学紀要』 (14) 1-17 2017年3月 たまたま別なものを検索していたら引っかかって読み込んでしまったのが面白かったので紹介します。 こちらのアーカイブからダウンロードができます。 2、江戸の旅人のすがた 江戸時代の人は右手と右足を同時に前に出して歩いていたのではないか、 という衝撃的な論文です。 まず

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        • 読書記録
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        • 狛犬探訪
          3本

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          第1490回 島自体が文化財

          1、読書記録354 今回ご紹介するのはこちら。 月刊文化財732号 新指定の文化財ー建造物・伝統的建造物群 2、新指定の一覧 令和6念5月17日に開催された文化審議会文化財分科会の審議を経て新たな文化財指定が答申されました。 【重要文化財】 京都市綾部市 斎神社本殿 滋賀県大津市 園城寺 観音堂、札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂            附 旧伏間瓦 一竈 棟札        (金堂などは国宝、三重塔などは重文) 香川県琴平町 金刀比羅宮本宮本殿な

          第1490回 島自体が文化財

          第1489回 歴史書であろうとすること

          1、読書記録353 今回ご紹介するのはこちら 薮本勝治2024『吾妻鏡-鎌倉幕府「正史」の虚実』 「正史」公式記録は編纂者、為政者側の都合の良いように書かれている、というのは常識ですが、具体的にどこがどう怪しいのか、丁寧に解きほぐされています。 2、文学作品と歴史書の違いは すごく簡単にまとめると、『吾妻鏡』は北条泰時から貞時へと受け継がれていく為政者の系譜が正当であることを述べた物語である、ということになります。 『吾妻鏡』編纂の元となる記述がどこにあったのか、

          第1489回 歴史書であろうとすること

          第1488回 2024/8/9〜14の歴史ニュース

          1、目まぐるしい時こそ一息ついて なんか日々慌ただしいですよね。 急に台風来たからって出勤になって、 一度は諦めたコミケ参戦も、ぎり日帰りで行けるんじゃね?って 弾丸で行って、目標は達成して。 省エネモードで今現在。 そしてまた週末に台風が来そうとか。 岸田総理が総裁選出ないって発表して漢を見せたら 衆院選くるなって職場が浮き足だったり。 よくないよくない。自分のペースを取り戻さないと体調崩しそうだからね。 さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(

          第1488回 2024/8/9〜14の歴史ニュース

          第1487回 2024/7/21〜8/8の歴史ニュース

          1、生き残ってこそ 忙しさにかまけてすっかり期間が空いてしまいました。 暑い日々が続きますが、みなさま無事でしょうか。 「すわ、南海トラフではないか」という地震が起こり落ち着かない世情になってきました。 線状降水帯とかゲリラ豪雨での被害も各地で起こっていますし、 台風シーズンも到来。 なおのこと生き残っていくだけでもやっとの感覚です。 どうかご無事で。 X(旧Twitter)でピックアップしてからタイムラグがかなりありますが、気にせずいきますね。 さて、いつ

          第1487回 2024/7/21〜8/8の歴史ニュース

          番外編 ビブリオバトルに出演します!

          1、初挑戦ってわくわくする 実は人生で初めてビブリオバトルに挑戦します。 読書好きの人たちの前で、自分の好きな本の良さを語る、 そんな夢のようなイベントに参加できることに、 今からワクワクが止まりません。 今回はその発表原稿の下書きを兼ねて、取り上げる本の紹介をしていこうと思います。 辻村深月『東京會舘とわたし』 2、語り継がれる魅力 辻村深月さんは1980年生まれで、ちょうど私と同世代。 今年がデビュー20周年という、多くの人に愛された作品を生み出したベテ

          番外編 ビブリオバトルに出演します!

          第1486回 2024/7/11〜20の歴史ニュース

          1、梅雨に負けない 連日暑い日が続きますね。 関東甲信は梅雨明けしたそうですが、東北はまだ足踏み状態です。 夏本番の暑さも怖いですが、湿気の多いのもつらいです。 なんとか乗り切っていきましょう。 さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。 ちなみに前回はこちら。 2、ニュースヘッドライン ①福岡県北九州市の初代門司駅遺構の取り壊しに対し、イコモスが声明文 R6 ②群

          第1486回 2024/7/11〜20の歴史ニュース

          第1485回 戦争遺跡の可能性

          1、考古学研究の紹介から 『考古学研究』71巻1号 通巻281号 2024年夏 この中でシンポジウム「戦争遺跡の保存と活用」参加記(髙田健一)が掲載されていました。 個人的に関心の高いものでしたので、こちらを紹介しつつ、いま考えることを付記しておきたいと思います。 2、戦争遺跡を考古学する このシンポジウムは2024年2月11日に島根大学で開催されたものです。 島根県出雲市の旧海軍大社基地遺跡群の保存運動が契機となって企画され、基調講演と事例報告4本の後、デスカッ

          第1485回 戦争遺跡の可能性

          第1484回 2024/7/1〜10の歴史ニュース

          1、暑い梅雨 梅雨も終わる頃になって、ようやく今週はまとまった雨が続いています。 暑さも少しはやわらぎましたが、湿度が高いので不快指数は高いまま。 さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。 ちなみに前回はこちら。 2、ニュースヘッドライン ①京都府宇治の平等院で重要文化財の観音堂の修理 R6 C ②青森県南部町の隅ノ観音堂で江戸時代の「千匹絵馬」を確認 R3 ③アメ

          第1484回 2024/7/1〜10の歴史ニュース

          第1483回 日本動物考古学会第11回 山形大会参加記録

          1、動物と考古学 昨日こちらにお邪魔してきました。 日本動物考古学会 第11回 山形大会  於 東北芸術工科大学 会員ではありませんが、一般も聴講可能、ということでしたので。 2、個人的に興味をもった発表について 一口に「考古学」といってもそのカバーしている範囲は広く 細かく分野ごとに分かれて研究会を行なっていることが多いのです。 私なんて、宮城県の考古学者が集まる「宮城県考古学会」の中でも、中近世という時代を主たるテーマにする部会に所属しており、年に何度か遺

          第1483回 日本動物考古学会第11回 山形大会参加記録

          第1482回 2024/6/5〜30の歴史ニュース

          1、6月は省エネモード すっかり1ヶ月開いてしまいましたね。 個人的にはちょっと体調イマイチな時もありましたが なんとか6月を乗り切れた、という気持ちが大きいですね。 そうそう、鹽竈神社で茅の輪潜りもできましたし。 さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。 ちなみに前回はこちら。 2、ニュースヘッドライン ①鹿児島県で公文書館設置に向け議論 R3 ②富山県南砺市の

          第1482回 2024/6/5〜30の歴史ニュース

          第1481回 漢詩で歴史を語る

          1、読書記録352 今回ご紹介するのはこちら。 揖斐高2024『頼山陽 詩魂と史眼』岩波新書 以前もご紹介した、瑞巌寺老師の漢詩の講座を受けて 頼山陽という人物に関心を持ったのでまさにタイムリーな本でした。 2、今回は漢詩よりも歴史 本書は副題の通り、漢詩と歴史叙述の二つの側面から頼山陽という人物を分析していきます。 前回は漢詩のところで触れたので、今回は歴史叙述家としての部分について、 個人的に面白かったエピソードをいくつか挙げると、 まずは読書家ではあり

          第1481回 漢詩で歴史を語る

          第1480回 大シルクロード展に行ってきた

          1、ギリギリまで行くか迷っていたけれど 先日、東北歴史博物館で開催されていた 「大シルクロード展」に行ってきました。 大盛況であることは聞いていましたし、もう終了間際(6月9日まで)ということもあり、大混雑を覚悟していました。 平日の夕方、ということもありそれほどでもない、という印象でした。 写真撮影可、ということでしたので、撮影してきたものをいくつかご紹介しながらレビューをしていこうと思います。 2、見どころいっぱい まずはこちら。 西安で発掘されたソグド人

          第1480回 大シルクロード展に行ってきた