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500円で買える神ゲー!?『アカネ』の全てをお教えします!!

 500円。日本のサラリーマンは朝早くから夜遅くまで働く勤勉さを持ち、その上自身の食費を切り詰めることに関しては他国の追随を許さないというサイコパス民族として有名だが(要出典)、某牛丼チェーンの並盛が値上がりした際は「死活問題」というワードがtwitterを飛び交った。ゆえに、500円の価値は重い。生きるか死ぬかの瀬戸際をサバイブするNIPPON-JINにとって、500円は「贅沢」の意味を帯びてしまう。










……っハイ!!というわけでですね!!!!!

 本日お集まりいただいたお客様はお金に対する意識の高い、言うなれば「コスパ民族」でいらっしゃいます。時間とお金は有限。であるのなら、なるべく損はしたくない。そんな皆様にうってつけの商品を、本日ご紹介いたします。

 たった500円で10時間、あるいはそれ以上の時間を溶かしてしまう可能性を秘めた大泥棒。今日はその全てを、皆様にお伝えいたします。牛丼はたったの10分で胃袋に入ったらそれでお終いですが、ゲームなら無限、終わりなく楽しむことができます。ラッキーですね。良いですか?一度しか言いませんよ??PCをお持ちの方はsteamを、switchをお持ちの方はストアを開き、「アカネ」というゲームを買ってください。それだけです。

 さてさて皆様、無事決済とダウンロードはお済でしょうか……。なに?価格が安すぎるインディーゲームは信用してない?フォントがクソダサなサムネは地雷??ご安心ください。昨日までの私もそう思っていました。ですがどうでしょう、睡眠を削られ私の目の下にはデカいクマがありますが、今はとっても爽やかな気持ちで、こうして皆さんの前に立っています。なんなら今すぐこのプレゼンを切り上げてプレイを再開したい気持ちをグッと抑え、こうして皆さんに語り掛けているのです。なぜなら、損してほしくないから……。私は、フォロワーの皆さんに「安かろう悪かろう」なゲームを買ってしまい、嫌な気持ちになってほしくない、ただそれだけなのです。

 それでは、もう少し『アカネ』の話をいたしましょう。舞台は2121年のメガ東京。日本刀と銃を携えた銀髪の女性・アカネが、憎きカツローに復讐するため夜のネオン街を訪れる。……以上です。これが『アカネ』の物語です。ハイそこのチェックのシャツのお兄さん。「ストーリーが薄味すぎる」なるほどなるほど……お客様のお耳は節穴か何かでいらっしゃいますか???????これ以上の情報が、必要でしょうか。闘う女が復讐のため夜の闇に日本刀を持って立っている、そのビジュアルだけで“何か”を感じられないような弱いナードに用はありません。お帰りください。

 邪魔者が去ったところで、肝心のゲームシステムの話をしましょう。画面は見下ろし型のトップビューで、ステージはわずか一つ。敵が四方から絶え間なく襲い掛かるので、殺してください。アカネは日本刀と銃を持っているので、惨殺か銃殺を選べます。基本的に、自分も敵も、一撃喰らうと死にます。自分も敵もオワタ式、究極の縛りプレイによって生じる、緊張感とサバイブした時の快感。これぞ『アカネ』のだいご……どうされましたそちらのお姉さん?「シンプルすぎて中身がない」ですか……。失礼ですがお客様、義務教育はお済みでいらっしゃいましたか??????

 失礼しました。ついお客様にこのような口ぶりを。ですがお客様、シンプルは「面白くない」とイコールではございません。斬って撃って敵を殺す。確かに『アカネ』のゲームはこの一言で説明できてしまいますが、そのプレイングは常に奥深い計算と一瞬の判断によって形成される、一期一会のものになるのです。

 アカネの操作は非常に簡単です。というより、取れるアクションの選択肢を狭めて、とてもシンプルに設計されております。Aボタンで斬撃、ZLを押せば銃を構えAで発砲、BがガードでLがダッシュ。これではただの連打ゲーではないか、とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、刀を振るうとスタミナゲージが減り、これが尽きると敵の前で棒立ちになってしまいます。銃も非常に有利な遠距離攻撃ですが、弾薬は無限ではございません。スタミナは時間で、弾薬は敵を刀で倒すことで補充できます。すなわち、刀と銃はお互いを補い合う攻撃方法であり、プレイヤーとなった皆様はそれらを適切に使い分けることで、アカネさんの寿命を延ばすのです。

 こちらに寄ってくるヤクザを切り殺す。そうして7~8人をミンチにすれば、さすがのアカネさんも息が上がってしまうでしょう。そんな時取り出すのが、銃なんですね。相手と距離を取り、スタミナが回復するまでの間、銃で敵を狙い撃つ。弾が無くなるころにはアカネさんも元気になっているでしょうから、再び日本刀でKILL。このゲームは、絶え間なく相手を殺すことで有利になるゲームですので、スタミナと弾薬、この二つのリソースに目を配りながら、効率よくヤクザどもを血祭りにあげていく。この繰り返しが、まるで何かのドラッグのように、病みつきになっちゃうんですよねぇ。

 私は本作を、「より純化された DOOM ETERNAL」と呼んでおります。迫りくる敵の能力と距離を見極め、リソースを管理し、瞬間瞬間の最適解を一瞬で思考し、実践する。その成否がアカネさんの「生存」という形で出力され、それを無限に繰り返す。その時得られる快感を際限なく求めてしまうゲーム性は『DOOM ETERNAL』を彷彿とさせますが、こちらには爽快なバトルを阻害するアスレチックも、脚本を物語るためのムービーもございません。あるのは無限に続く殺し合いの狂気と、生存への渇望と、散っていった安い命への鎮魂歌だけなのです。持論ではございますが、【傑作】と呼ばれるだけの要素は充分であると、私は確信しているのです。

 自身も一太刀浴びれば死ぬ。ですので、1プレイが一瞬で終わることも多いのですが、コンティニューにしゃらくさいロードは一切ございません。軽快なプレイを実現するために、『アカネ』はシンプルさと手軽さを極限まで高めた、たいへんストイックなゲームなのです。ゆえに、お客様が一度プレイすれば、止め時を見失い一時間、二時間が泡のように消えていく……。ですが私は約束いたします。「この500円に一片の悔いなし!」と皆様が仰り、私のように睡眠時間を犠牲にして熱中してしまうことを。

 誠に残念ながら、私の語彙で『アカネ』の魅力をお伝えするのは限度がございます。全てのゲームがそうであるように、ゲームを遊ぶ「体験」をお伝えしても、自身で得られる「体感」には適わないのでございます。であるからこそ、私は声を大にして言いたい。「必ず損しないとわかって払う500円を惜しむな」、と。そして私は切に願うのです。皆様の #買ってよかったもの に、『アカネ』が入りますように、と……。

 私からは以上でございます。ご清聴、ありがとうございました。


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