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#2019年映画ベスト10

 一年の終わりにやっておきたい、心の整理。恒例のアレ。これを考えるのが楽しくて映画館に足しげく通っているのではないかと思うくらい、年の瀬にしみじみキーボードを叩いている。2019年を総括する自己満足ランキング、どうかお付き合いいただければ幸いです。

対象作品

 選考対象は、筆者が劇場で鑑賞した、2019年に日本公開された作品に限らせていただいております。動画配信サービス独占配信が当たり前になる中、この扱いには毎年頭を悩ませてるのですが、もうそれどころではありません。毎年毎年鑑賞回数で1位がバレる仕組みなんとかしたい。通常上映でも音響のバージョン違いとか劇場ごとあったり、応援上映とかあったりするとネ…。

 以下、2019年の劇場鑑賞作品の一覧にて、選考対象外の作品は灰色セルになっております。

 では、2019年劇場鑑賞録から選ぶ、個人的ベスト10、参ります。

10位 ハッピー・デス・デイ 2U

 これは1作目と併せてひとつの作品として観るべき作品だが、便宜上続編の『2U』をチョイス。誕生日に殺され、また目覚めるという死のループに閉じ込められたビッチ女子大生のツリー。その連鎖から抜け出した彼女に待ち受けていた、さらなるループとの対峙。まさしく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1と2のように、前作の裏側で同時進行していた出来事を描き、我らがツリー姉さんのヤケクソ具合もパワーアップさせながら、一歩ずつ正解に近づいていく。ゲームを解き明かすような快感に加え、主人公にも辛い決断を迫ることでさらなる成長を促す脚本に唸らされる。映画ファンでない人にも自信を持って薦められる快作ホラー二部作。

9位 スノー・ロワイヤル

 映画において不謹慎とは、最高の娯楽である。マフィアの勘違いから起きたとある青年の殺害は、よりによってこの男を目覚めさせた。リーアム・ニーソン×除雪車=最強の方程式の下、安い命が雪のように舞い、魚の餌になる!!息子を失った悲しみを武器に、復讐鬼へと変貌するリーアムの恐ろしさはもちろん、全編に通底するブラックなユーモアセンスは絶品。劇場が涙と爆笑に包まれたスローライフ虐殺エンターテイメントは、寒い年末年始だからこそ味わい深い。

8位 スパイダーマン:スパイダーバース

 なんと賑やかな映画なのだろう。それぞれ異なる原作コミックから飛びだしたスパイダーマンが集合し、ヴィランに立ち向かう。アメコミを読み進める感覚を視覚的に再現する驚異的なヴィジュアルもさることながら、黒人の男の子も女の子も豚もロボットもみんなスパイダーマン!という晴れやかさ。性別や人種に囚われない現代のヒーロー像を、もっともキャッチーな映像と演出で魅せてくれたこの作品は、何度観ても嬉しくなる。

7位 ジョン・ウィック:パラベラム

 アクションは豪快であるほど楽しい。欲を言えば、優雅で美しいプロフェッショナルな所作と、たくさんの銃火器があればもっといい。そんなお気持ちに応えるが如く、続編が作られるごとに疲弊しながら、それでもキレを増し続けるのがジョン・ウィックだ。3作目においてジョンはテンドン・ギャグを習得し、「ありとあらゆるものを豪快に壊し、それを繰り返す」ことが一つの“美”へ到達することを会得した。その結果、一人の殺し屋を倒すために室内は滅茶苦茶になり、馬は武器と化す。こんなに愉しく、気の狂った暴力のバーゲンセール観たことねぇ。はやく4作目がほしい。

6位 レゴ®ムービー2

 ナメてたCGアニメがうっかり大傑作、遊びと創造性の可能性を活写した、踏んだらわりと痛いアレの第2作。1作目にあったメタ構造をさらに深く描き、大人になること、誰かと手を取り生きることの大切さを、説教臭い語り口を省き、ナンセンスすぎるセンスのギャグと衝撃的なミュージカルで物語る。2019年のベストエンドロール賞は間違いなくコレだ。最後まで観客を楽しませ、そして作り手たちも楽しむ。こんなに幸せな幕引きはそうそう観られない。

5位 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

 ケヴィン・ファイギは化け物か!?いったいどれだけ徹夜したら『エンドゲーム』後の世界でこんな映画を創ろうって思いつく!?大きすぎる喪失を経験した世界で、青春の日々を取り戻そうとするピーターの前に現れた、理想の大人=ヒーロー。だが、密かに暗躍するはヒーローという幻想を求める大衆に呼応して生まれた新たなヴィラン。背筋が凍るような「彼」の揺さぶりは、画面の前の私たちにも投げかけられていた。

4位 HiGH&LOW THE WORST

 『ジョン・ウィック:パラベラム』がハリウッドアクションの特異点なら、ザワこそが世界基準の和製アクション映画に挙げられるはずだ。LDHメンバーを筆頭に、顔が良くて・アクションが出きて・歌が上手い男たちを結集させ、緻密に計算されたカメラワークや配置の下、存分に暴れさせる。その結果生まれたのは、日本の団地で攻城戦という前代未聞の映像体験だ。拳で語る絆の物語は、やがて新たな世代へと受け継がれていく―。

3位 クリード 炎の宿敵

 アポロ・クリードの息子はリングで己の存在を証明した。なら次は俺達の番だ。『ロッキーIV』のハッピーエンドに隠された敗者の物語を浮かび上がらせ、息子たちが代理戦争に駆り出される。ドラゴは再び頂点に返り咲かなければならなかった。そしてアドニスも、自分が自分であるためにはリングに戻るしかなかった。互いを削り合いながら、己の生き様を賭けて闘う男たち。その姿に父は何を想うのか。『ロッキー』の魂を受け継ぐ新世代の物語に、またしても超ド級の大傑作が現れた。

2位 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

 これは神を崇める映画だ。雄々しく巨大で、美しく荘厳でありながら、破壊の使者でもある。そんな怪獣たちにほとばしる狂愛を注ぐ作り手が生み出した、禁断の宗教映画。その圧倒的な破壊のヴィジョンに、我々は恍惚の笑みで拝むことしかできない。こんなことがあっていいのだろうか。日本の怪獣王が今、ハリウッドの莫大な予算と技術を得て、【戴冠式】のその時が描かれる。全編随所に施されたリスペクト、それが頂点に達するエンドロールに、私の涙腺はメルトダウンした。

1位 プロメア

 これはもう、逆らえない。上映中ずっと血が沸き立つような昂りと、映画のテンポに呼応して早くなっていく鼓動を感じる。何度繰り返し観ても「観るアドレナリン」という印象は変わらない。燃えて燃えて燃え尽きるその時まで、この映画は一切エンジンを緩めない。その圧倒的火力が生み出す業火に、完全降伏した。プロメアは、おれたちの体を燃やしそして再生させる、アツくて優しいあの炎のような映画だ。

2020年へ

 大作、シリーズものやユニバースを追うことに気を取られ、見落とした作品が多いことに気づかされる。また、配信サービスでいつでも観られるという油断から、『アイリッシュマン』といった話題作も手つかずだ。映画は観るまでわからないギャンブルの側面もあるため、「予期せぬ出会い」も当然あり得るのだが、それをむざむざ捨て安定を選んだかのような鑑賞録、来年こそは視野を広げてみたい。

 とはいえ、来年はエヴァが終わったり、ゴジラとコングが闘ったり、トニージャー異世界ライトノベル『モンスターハンター』が実写化されたりする。これを観ずして死ねるかという強気のラインナップ。来年も慌ただしい一年になりそうです。どうぞ来年度もよろしくお願いいたします。

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