死角のポスト(ショートショート)【音声と文章】
山田ゆり
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※note毎日連続投稿1616日をコミット中! 1616日目コミット達成!!
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
死角のポスト(ショートショート)
をお伝えいたします。
そこはなぜか事故の多い場所だった。
T字路になっていて少し上り坂になっている。
右側は駄菓屋さんで家の角には小さな郵便ポストが壁にあった。
そのポストが死角になり右側からの車を見逃すことが無きにしもあらずだった。
だから上り坂でアクセルを少しだけ踏んで、上体を前のめりにして左右の確認をしなければならない。
私は今朝も時間が差し迫っていてそのT字路で左右を確認していた。
T字路のぶつかったところにはミラーが二つ設置されている。
たかがミラーだが、その存在のありがたさは毎回感じている。
二つのミラーで車が来ないのを確認し、上体を前のめりにして車を静かに発進させハンドルを右に切ろうとした。
しかし、何と、右側から車が1台すぐ目の前まで来ていた。
おかしい。
確かにちゃんと確認したのに。
次の瞬間、視界は寸断され私は真っ白な世界へ入った。
一瞬、赤い靴が見えたような気がした。
***
コンビニやスーパーがない小さな街にヒロシは住んでいた。
ひとり娘のユイは今年、小学校にあがり、お友達も少しずつ増えてきて楽しいと話してくれていた。
そんな娘を妻と一緒に目を細めながら見ていた。
その日、郵便を出す用事があった。
それほど急ぎではないが、それでも気が付いた時に出さないとうっかり忘れてしまうからすぐに出そうと思った。
郵便を出しに行ってくると言ったら
「ユイがポストに入れたい!」と言った。
じゃぁ、一緒に行こうかということになりその街に一つしかないポストへ車で出かけた。
ポストは駄菓子屋さんのお店の角にあった。
車を角直前に止めるのは危ないから、角よりずっと手前で止めた。
そして、郵便物を持ったユイが車からでた。
「気を付けていってくるんだよ。」
「うん!分かった!」
ユイは嬉しそうに最近できるようになったスキップをしながらポストに向かった。
レースのついた靴下と赤い靴が小刻みに動いていた。
これまで何度も私たちは一緒にこのポストにやってきていた。
今までは郵便を持ったユイを抱え上げて、ユイがポストに入れていた。
ポストの真下には大きな岩があり、今はその岩に登ると楽々ポストの投入口に手が届くようになった。
我が子の成長が嬉しい。
来年の春にはユイもお姉ちゃんになる。
そんなことを考えていたら、ポストの視線の向こうに左から黒い乗用車が見えた。
そこはT字路になっている。
その車はあたりを見回しながら右折しようとしているのが分かった。
その瞬間、ヒロシの後ろから白い車がやってきてグゥ~ンとヒロシの車を追い越した。
その白い車は追い越した勢いのままでT字路に直進し、右折した黒の車と衝突した。
ぶつかったはずみで白い車が大きく飛ばされポストめがけてぶつかった。
ユイ!
ヒロシは慌てて車から降りた。
ユイは白い車に飛ばされ壁にぶつかりぐったりしていた。
もう少しで入るところだった郵便物はポストの下に落ちていた。
右折しようとした車はポストが死角になっていた。
さらにポストのところに人がいたこと。
その向こうに車が止まっていた事も悪条件が重なっていた。
ポストがそこになければ事故は防げたかもしれない。
ヒロシはその後、その街をあとにした。
今でもそのT字路は事故多発地帯とされている。
今回は
死角のポスト(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
死角のポスト(ショートショート)
をお伝えいたします。
そこはなぜか事故の多い場所だった。
T字路になっていて少し上り坂になっている。
右側は駄菓屋さんで家の角には小さな郵便ポストが壁にあった。
そのポストが死角になり右側からの車を見逃すことが無きにしもあらずだった。
だから上り坂でアクセルを少しだけ踏んで、上体を前のめりにして左右の確認をしなければならない。
私は今朝も時間が差し迫っていてそのT字路で左右を確認していた。
T字路のぶつかったところにはミラーが二つ設置されている。
たかがミラーだが、その存在のありがたさは毎回感じている。
二つのミラーで車が来ないのを確認し、上体を前のめりにして車を静かに発進させハンドルを右に切ろうとした。
しかし、何と、右側から車が1台すぐ目の前まで来ていた。
おかしい。
確かにちゃんと確認したのに。
次の瞬間、視界は寸断され私は真っ白な世界へ入った。
一瞬、赤い靴が見えたような気がした。
***
コンビニやスーパーがない小さな街にヒロシは住んでいた。
ひとり娘のユイは今年、小学校にあがり、お友達も少しずつ増えてきて楽しいと話してくれていた。
そんな娘を妻と一緒に目を細めながら見ていた。
その日、郵便を出す用事があった。
それほど急ぎではないが、それでも気が付いた時に出さないとうっかり忘れてしまうからすぐに出そうと思った。
郵便を出しに行ってくると言ったら
「ユイがポストに入れたい!」と言った。
じゃぁ、一緒に行こうかということになりその街に一つしかないポストへ車で出かけた。
ポストは駄菓子屋さんのお店の角にあった。
車を角直前に止めるのは危ないから、角よりずっと手前で止めた。
そして、郵便物を持ったユイが車からでた。
「気を付けていってくるんだよ。」
「うん!分かった!」
ユイは嬉しそうに最近できるようになったスキップをしながらポストに向かった。
レースのついた靴下と赤い靴が小刻みに動いていた。
これまで何度も私たちは一緒にこのポストにやってきていた。
今までは郵便を持ったユイを抱え上げて、ユイがポストに入れていた。
ポストの真下には大きな岩があり、今はその岩に登ると楽々ポストの投入口に手が届くようになった。
我が子の成長が嬉しい。
来年の春にはユイもお姉ちゃんになる。
そんなことを考えていたら、ポストの視線の向こうに左から黒い乗用車が見えた。
そこはT字路になっている。
その車はあたりを見回しながら右折しようとしているのが分かった。
その瞬間、ヒロシの後ろから白い車がやってきてグゥ~ンとヒロシの車を追い越した。
その白い車は追い越した勢いのままでT字路に直進し、右折した黒の車と衝突した。
ぶつかったはずみで白い車が大きく飛ばされポストめがけてぶつかった。
ユイ!
ヒロシは慌てて車から降りた。
ユイは白い車に飛ばされ壁にぶつかりぐったりしていた。
もう少しで入るところだった郵便物はポストの下に落ちていた。
右折しようとした車はポストが死角になっていた。
さらにポストのところに人がいたこと。
その向こうに車が止まっていた事も悪条件が重なっていた。
ポストがそこになければ事故は防げたかもしれない。
ヒロシはその後、その街をあとにした。
今でもそのT字路は事故多発地帯とされている。
今回は
死角のポスト(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
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