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「何でもできる人」を目指さなくていい【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1414日をコミット中1408日目。
※途中でタイマーが鳴ってしまいました。
※音声・文章、どちらでも楽しめます。




おはようございます。
山田ゆりです。


今回は
「何でもできる人」を目指さなくていい
をお伝えいたします。





内線が鳴り、社長に呼ばれた。
私は分厚いメモ用紙とボールペンを抱えて社長室に入った。

社長は、ひじ掛けに手をのせて椅子の背にもたれながら
大体こういう書類を作ってほしいと言って、口頭で文章をおっしゃる。
私はそれを筆記者のごとく素早くメモをとる。

「急いでいないから」と社長がおっしゃって私は社長室を出る。

社長の「急いでいないから」を真に受けてはいけないことは
10年以上お使いしているから分かっている。

今指示したことをすぐにやってほしい。
社長はいつでもそう思っていらっしゃる。

だから私は、午後3時までに各預金の資金移動をPCでする事以外は、
社長の仕事を最優先にしている。


社長は「言葉・文章」に厳しい方だった。
社長がおっしゃった言葉通りに私が作った書類を目にして、
何度も添削をする方だった。


いくつかの修正箇所をいただき私はすぐに直し再度提出する。

何度目かの添削のあと、
その書類にOKが降りる。

これまで一度でOKを言われたことが一回だけあった。
その時は「社長、どこか悪いのでしょうか」と心配したほどだった。



私はやっとトイレに行き、
瞬間湯沸かし器からの温かいお湯に癒されながら
手をゆっくり洗い机に戻る。

一息つこうとマグカップにお茶を注いでいると
また内線が鳴り社長室へ入る。
そしてまた新しい仕事をいただく。



社長は製造部門からのたたき上げから30代で取締役になられ、
その後、会社の資金繰りを任される専務になられた。

手形や小切手がどんなものなのかを全く知らない状態で、
それから猛勉強をされてこれまで会社を続けられてきた。


50代後半で社長になられてからは業績が右肩上がりになり、
コロナ禍で世の中が業績不振や廃業が続く中、
売上高は少し下がったものの増益で会社の経営は安定していた。



社長はPCの文字入力ができない。
だから作りたい書類があるとすぐ私を呼ばれる。

社長の書類は秘匿性が高いものが多いから
誰にでも頼めるものではなかった。
だから必然的に私が全て担当していた。


PC入力ができなければ
できるように勉強・努力すればいい。

そういう考え方もあるが、社長は

「人はできないことがあってもそれはそれでよい。
自分の得意分野を伸ばせばいい。
できないことは、それができる人に任せればいい。」
という考えの方だった。


私もそれに同感である。
「何でもできる人」を目指さなくていいと思う。





サザエさんのお父さんの風貌に似た旧社長が
会社を去られてから数か月が過ぎた。

田舎の中小零細企業ではあるが
私は旧社長からはたくさんの学びを得たと思う。



私がこの会社に入って3人の社長に仕えている。



あと数年で今度は私が去る番だ。
その時まで私は自分の仕事を粛々と行う。





今回は
「何でもできる人」を目指さなくていい
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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