その願いは叶ってしまう【音声と文章】
山田ゆり
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口にしたり文章にした願いは叶ってしまう
とよく言われている。
のり子は65歳になったら家を建て替えたいと思っていた。
そしてA4のコピー用紙に筆ペンで、建て始める日と完成日を書いてそれを自分の部屋の見えるところに貼っていた。
その頃は、全く建て替えられる資金も土地もなかったのに、目標だけは掲げていた。
新居を建てるには隣の空き地を取得する必要があった。
父は何度か土地の所有者に「売ってほしい」とお願いをしていたが全く脈無しの状態が続いていた。
しかし、のり子の父親が無くなって数年過ぎた頃に、向こうから「買ってほしい」と連絡が来て購入することができた。
土地を取得できた。あとは予定の65歳になったら家を建て直そうと思っていた。
しかし、思いもかけない事態が起こり、のり子が願っていた予定日より5年も早く家を建て替えることになった。
家を建て替えるという、のり子にとっては壮大な願いは簡単に叶ってしまったのである。
家を建てるという、できそうにもない事も願ったら叶ったのである。
そして最近、別の叶った願いに気が付いた。
それは残業時間を少なくしたことである。
以前ののり子は突然残業になることが多く、毎日帰宅時間が遅めだった。
その原因はいくつかあるが、その中の一つに、社長のお話をお聞きすることが残業の理由で大きく占めていたと思う。
社長はPCで検索はできるが文章の入力はできない方だった。
だから、書類を作りたい時はのり子を呼び、のり子は社長のご要望をお聞きし書類を作成していた。
社長は思い立つとすぐに実行に移す方で、のり子は一日に何度も内線で呼ばれ、社長室に行くことが多かった。
そして、社長は話し出すと1時間はあっという間に過ぎてしまう方だった。
70代の社長は頭脳明晰で同じ話を繰り返すような方ではなかった。
社長は経営のことを常に勉強されていらっしゃる方で、社長のお話を書き留めたのり子のメモ帳はあっという間に何ページも埋まっていた。
書類作成の話だけではなく
たとえばいつ頃にどんな車両を入れ替えたいとか
〇〇さんを来期から取締役に抜擢し、その代わりに△△さんを降格させるとか
来月の賞与の総支給額は前年比〇%にする予定だとか
〇月〇日にゴルフコンペに参加され、一緒にまわられる方はこういう方だとか
小さなことから大きなことまでお話して下さる方だった。
人事関係も担当しているのり子は、口が堅いから社長はのり子に何でも話されていた。
たぶん、社長は自分の思い付きなどを一旦口に出して見てそれを俯瞰するためにのり子に話されていらっしゃるのだろうなと思う時もたくさんあった。
のり子はそれをメモしながらずっと立って社長のお話を聞いていた。
のり子は社長のお言葉を絶対否定しないから、
社長はどんどん、お話をされていかれた。
だから、社長室に呼ばれるとあっという間に2~3時間が過ぎてしまう。
社長室を出る時は、ひざが曲がりづらく、ロボットのような歩き方で社長室から自分の席に戻る。
「のり子さん、また社長に呼ばれていたね。社長、話が長いからなぁ。」
営業の大先輩が小声でのり子を労う。
そんな時、のり子はニッコリ微笑むだけ。
一日8時間の労働時間の中で、2時間くらい社長のお話をお聞きしたら、その分、自分の仕事ができない。
それが一日に数回、社長に呼ばれた時は、ほとんど自分の仕事が終わらない。
どうしてもその日にやらなければいけないことをするために残業するしかなかった。
だから、当時は毎日突然残業が発生していた。
「社長に呼ばれなければ残業が減るのになぁ。」
残業すれば残業手当が支給される。
だからそれをあてにして残業している人もいる。
しかし、のり子は残業を良しとはしていない。
できれば定時であがりたい。
残業手当をあてにはしていない。
それよりも1分でも早く帰って、家事・掃除・自分の事をしたいと思っている。
「社長から呼ばれることが無くなったらいいのにな。」
それは無理なこと。
そう思いながらも、そうなればいいのにとのり子は思っていた。
※長くなりましたので続きは次回にいたします。
※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1772日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。
どちらでも数分で楽しめます。#ad
その願いは叶ってしまう
とよく言われている。
のり子は65歳になったら家を建て替えたいと思っていた。
そしてA4のコピー用紙に筆ペンで、建て始める日と完成日を書いてそれを自分の部屋の見えるところに貼っていた。
その頃は、全く建て替えられる資金も土地もなかったのに、目標だけは掲げていた。
新居を建てるには隣の空き地を取得する必要があった。
父は何度か土地の所有者に「売ってほしい」とお願いをしていたが全く脈無しの状態が続いていた。
しかし、のり子の父親が無くなって数年過ぎた頃に、向こうから「買ってほしい」と連絡が来て購入することができた。
土地を取得できた。あとは予定の65歳になったら家を建て直そうと思っていた。
しかし、思いもかけない事態が起こり、のり子が願っていた予定日より5年も早く家を建て替えることになった。
家を建て替えるという、のり子にとっては壮大な願いは簡単に叶ってしまったのである。
家を建てるという、できそうにもない事も願ったら叶ったのである。
そして最近、別の叶った願いに気が付いた。
それは残業時間を少なくしたことである。
以前ののり子は突然残業になることが多く、毎日帰宅時間が遅めだった。
その原因はいくつかあるが、その中の一つに、社長のお話をお聞きすることが残業の理由で大きく占めていたと思う。
社長はPCで検索はできるが文章の入力はできない方だった。
だから、書類を作りたい時はのり子を呼び、のり子は社長のご要望をお聞きし書類を作成していた。
社長は思い立つとすぐに実行に移す方で、のり子は一日に何度も内線で呼ばれ、社長室に行くことが多かった。
そして、社長は話し出すと1時間はあっという間に過ぎてしまう方だった。
70代の社長は頭脳明晰で同じ話を繰り返すような方ではなかった。
社長は経営のことを常に勉強されていらっしゃる方で、社長のお話を書き留めたのり子のメモ帳はあっという間に何ページも埋まっていた。
書類作成の話だけではなく
たとえばいつ頃にどんな車両を入れ替えたいとか
〇〇さんを来期から取締役に抜擢し、その代わりに△△さんを降格させるとか
来月の賞与の総支給額は前年比〇%にする予定だとか
〇月〇日にゴルフコンペに参加され、一緒にまわられる方はこういう方だとか
小さなことから大きなことまでお話して下さる方だった。
人事関係も担当しているのり子は、口が堅いから社長はのり子に何でも話されていた。
たぶん、社長は自分の思い付きなどを一旦口に出して見てそれを俯瞰するためにのり子に話されていらっしゃるのだろうなと思う時もたくさんあった。
のり子はそれをメモしながらずっと立って社長のお話を聞いていた。
のり子は社長のお言葉を絶対否定しないから、
社長はどんどん、お話をされていかれた。
だから、社長室に呼ばれるとあっという間に2~3時間が過ぎてしまう。
社長室を出る時は、ひざが曲がりづらく、ロボットのような歩き方で社長室から自分の席に戻る。
「のり子さん、また社長に呼ばれていたね。社長、話が長いからなぁ。」
営業の大先輩が小声でのり子を労う。
そんな時、のり子はニッコリ微笑むだけ。
一日8時間の労働時間の中で、2時間くらい社長のお話をお聞きしたら、その分、自分の仕事ができない。
それが一日に数回、社長に呼ばれた時は、ほとんど自分の仕事が終わらない。
どうしてもその日にやらなければいけないことをするために残業するしかなかった。
だから、当時は毎日突然残業が発生していた。
「社長に呼ばれなければ残業が減るのになぁ。」
残業すれば残業手当が支給される。
だからそれをあてにして残業している人もいる。
しかし、のり子は残業を良しとはしていない。
できれば定時であがりたい。
残業手当をあてにはしていない。
それよりも1分でも早く帰って、家事・掃除・自分の事をしたいと思っている。
「社長から呼ばれることが無くなったらいいのにな。」
それは無理なこと。
そう思いながらも、そうなればいいのにとのり子は思っていた。
※長くなりましたので続きは次回にいたします。
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