AIが仕事を奪っているのではない (ショートショート)【音声と文章】
山田ゆり
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※note毎日連続投稿1616日をコミット中! 1576日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
AIが仕事を奪っているのではない
(ショートショート)
をお伝えいたします。
「どうやら寝不足のようだね。」
健康管理部長に突然、肩を叩かれた。
またやってしまった。
勤務先は健康管理を宣言している会社で、従業員一人一人に腕時計型の機器が配布された。
それは体温・心拍数・血圧・歩数などが測れ、医療機器ほど正確ではなくてもある程度の目安にはなっていた。
この機器にスクワットの回数を計れるように俺は設定している。
トイレに行くたびにスクワットを10回するようになってから、ふくらはぎやももの辺りに筋肉がついてきたような気がして密かに喜んでいる。
この機器、そんな良い面もあるが、自分にとっては不都合な点もある。
それはこのシステムを統括している画面が健康管理部長のデスクにあり、ひとりひとりの状態がリアルタイムで映し出されるのだ。
そして、その人が眠くなるとアラームが点灯するようになっている。
その時、昨夜どのくらい寝たのかも計測される。
その居眠りアラームは4回までは許容範囲とされていた。
昨夜はネットをブラブラしていて面白い動画をみつけ、気づいたらあっという間に日付が変わっていた。
慌てて寝たが、数時間後には眠い目をこすりながら出勤した。
その内、会社の給料だけでは暮らしていけなくなるかもしれない。
会社の業績が思わしくないからということで二年連続、昇給がなかった。
しかし、噂によると社長の親族だけ昇給したそうだ。
ったく。
いやいや、それよりもこの眠い状態を何とかしないといけない。
俺は共用のコーヒーを何度もいれにいったり、トイレに立ち、スクワットを何度もしてみた。
それでも椅子に座って作業を開始すると途端に脳内のシャッターが蛍の光のBGMと共にゆっくり閉じてしまう感覚があった。
何度かうとうとした。
まだ仕事が始まって1時間も経っていないのに、俺は眠くて仕事にならなかった。
そして、健康管理部長に肩を叩かれた。
近寄ってくる気配も感じないほど俺の神経は閉じかけていた。
「どうやら寝不足のようだね。」
その一言で、さーっと血の気が引いて一瞬で目が覚めた。
皮肉なものである。
「寝不足は酩酊状態と同じなのだといつも言っているから分かるよね。酔っぱらっている状態で良いパフォーマンスは発揮できない。
岩崎さん、今日はもう帰りなさい。」
あぁ、またやってしまった。
今月はこれで3回目になる。また有給休暇が減る。
昇給や賞与の時の人事査定にも影響するだろう。
もしかして来年も昇給が無いかもしれない。
俺は腕から機器を外しそれを眺めた。
こんなものがあるせいだ。
従業員の健康管理のために支給されたこの機器は逆に俺の首を絞めることになった。
全てがAIで管理されている時代。
うまくやっていかないと俺はAIによって仕事を奪われてしまう。
「はい、ありがとうございます。それでは明日の午後1時にお会いできることを楽しみにしております!」
俺と同期のKの電話をしている声が突然聞こえた。
Kはいつも生き生きとしている。
同じ入社なのに彼はもう係長になっている。
俺はまだ主任止まりだ。
Kは運がいい。
いや、それは違う。
Kが生き生きと働いているのは彼が特別幸せだとか運がいいとかではない。
彼は月に本を数冊読んでいて、努力家なのは知っている。
たまに一緒に飲みに行くと、彼の口から出てくる話の内容は俺の知らない事ばかりだ。
彼は昨日と違う今日を意識して行動していると言っていた。
その時は他人事のように聞いていたが今さらのように彼の言葉が脳裏に浮かんだ。
「昨日と同じことをして、今日、突然凄いことが起きるなんてありえないんだ。
僕はより良い将来を作りたくて今、頑張ろうと思っている。」
そんなことを言っていた。
そうなんだ。
俺はAIに仕事を奪われていると思っているが、AIは関係ないのだ。
それ以前の俺の行動が問題なのだ。
1年前、俺は何をしていか。
会社と家の往復だけ。夜遅くまでネットをブラブラして終わる毎日だ。
そこに明日を良くしようという行動はなかった。そして今も同じことをしている。
毎日、なんとなく過ごしてきた。
1年前にそうだったから今の自分があるのだ。そして、今も同じことをしていたら1年後も同じ状態になるのは当たり前だ。
そして、俺も含めて勘違いしていることがある。
今と同じだったら、それでいいじゃないか、と。
自分は一年前と変わらない。
しかし、世の中は劇的に変化をしている。
自分が「現状維持」している状態は、変化を続けている現代から見ると「変わらない」のではなく「衰退」しているのだ。
「現状維持」は「今のまま」ではなく、「今よりも劣った状態になる」ことを意味する。
そんなこともKは言っていた。
今の自分の行いの結果が明日になるのだ。
このままではいけない。
今のまま、同じことをしていたら同じ結果しか生まれない。
宝くじが当たるとか、突然良いことが転がり落ちてくるなんてそんなに人生甘くない。
仮に、努力しないで偶然良いことが起きても、それは砂上の城にしか過ぎない。
AIが仕事を奪っているのではない。
昨日と同じことをしているその思考が自分の明日を狭めていっている。
生まれ変わろう。
変わりたいなら今と同じことをしていてはいけない。
昨日と違うことをしよう。
今を変えよう。
俺は机周りを片付けて会社を出た。
今回は
AIが仕事を奪っているのではない
(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
AIが仕事を奪っているのではない
(ショートショート)
をお伝えいたします。
「どうやら寝不足のようだね。」
健康管理部長に突然、肩を叩かれた。
またやってしまった。
勤務先は健康管理を宣言している会社で、従業員一人一人に腕時計型の機器が配布された。
それは体温・心拍数・血圧・歩数などが測れ、医療機器ほど正確ではなくてもある程度の目安にはなっていた。
この機器にスクワットの回数を計れるように俺は設定している。
トイレに行くたびにスクワットを10回するようになってから、ふくらはぎやももの辺りに筋肉がついてきたような気がして密かに喜んでいる。
この機器、そんな良い面もあるが、自分にとっては不都合な点もある。
それはこのシステムを統括している画面が健康管理部長のデスクにあり、ひとりひとりの状態がリアルタイムで映し出されるのだ。
そして、その人が眠くなるとアラームが点灯するようになっている。
その時、昨夜どのくらい寝たのかも計測される。
その居眠りアラームは4回までは許容範囲とされていた。
昨夜はネットをブラブラしていて面白い動画をみつけ、気づいたらあっという間に日付が変わっていた。
慌てて寝たが、数時間後には眠い目をこすりながら出勤した。
その内、会社の給料だけでは暮らしていけなくなるかもしれない。
会社の業績が思わしくないからということで二年連続、昇給がなかった。
しかし、噂によると社長の親族だけ昇給したそうだ。
ったく。
いやいや、それよりもこの眠い状態を何とかしないといけない。
俺は共用のコーヒーを何度もいれにいったり、トイレに立ち、スクワットを何度もしてみた。
それでも椅子に座って作業を開始すると途端に脳内のシャッターが蛍の光のBGMと共にゆっくり閉じてしまう感覚があった。
何度かうとうとした。
まだ仕事が始まって1時間も経っていないのに、俺は眠くて仕事にならなかった。
そして、健康管理部長に肩を叩かれた。
近寄ってくる気配も感じないほど俺の神経は閉じかけていた。
「どうやら寝不足のようだね。」
その一言で、さーっと血の気が引いて一瞬で目が覚めた。
皮肉なものである。
「寝不足は酩酊状態と同じなのだといつも言っているから分かるよね。酔っぱらっている状態で良いパフォーマンスは発揮できない。
岩崎さん、今日はもう帰りなさい。」
あぁ、またやってしまった。
今月はこれで3回目になる。また有給休暇が減る。
昇給や賞与の時の人事査定にも影響するだろう。
もしかして来年も昇給が無いかもしれない。
俺は腕から機器を外しそれを眺めた。
こんなものがあるせいだ。
従業員の健康管理のために支給されたこの機器は逆に俺の首を絞めることになった。
全てがAIで管理されている時代。
うまくやっていかないと俺はAIによって仕事を奪われてしまう。
「はい、ありがとうございます。それでは明日の午後1時にお会いできることを楽しみにしております!」
俺と同期のKの電話をしている声が突然聞こえた。
Kはいつも生き生きとしている。
同じ入社なのに彼はもう係長になっている。
俺はまだ主任止まりだ。
Kは運がいい。
いや、それは違う。
Kが生き生きと働いているのは彼が特別幸せだとか運がいいとかではない。
彼は月に本を数冊読んでいて、努力家なのは知っている。
たまに一緒に飲みに行くと、彼の口から出てくる話の内容は俺の知らない事ばかりだ。
彼は昨日と違う今日を意識して行動していると言っていた。
その時は他人事のように聞いていたが今さらのように彼の言葉が脳裏に浮かんだ。
「昨日と同じことをして、今日、突然凄いことが起きるなんてありえないんだ。
僕はより良い将来を作りたくて今、頑張ろうと思っている。」
そんなことを言っていた。
そうなんだ。
俺はAIに仕事を奪われていると思っているが、AIは関係ないのだ。
それ以前の俺の行動が問題なのだ。
1年前、俺は何をしていか。
会社と家の往復だけ。夜遅くまでネットをブラブラして終わる毎日だ。
そこに明日を良くしようという行動はなかった。そして今も同じことをしている。
毎日、なんとなく過ごしてきた。
1年前にそうだったから今の自分があるのだ。そして、今も同じことをしていたら1年後も同じ状態になるのは当たり前だ。
そして、俺も含めて勘違いしていることがある。
今と同じだったら、それでいいじゃないか、と。
自分は一年前と変わらない。
しかし、世の中は劇的に変化をしている。
自分が「現状維持」している状態は、変化を続けている現代から見ると「変わらない」のではなく「衰退」しているのだ。
「現状維持」は「今のまま」ではなく、「今よりも劣った状態になる」ことを意味する。
そんなこともKは言っていた。
今の自分の行いの結果が明日になるのだ。
このままではいけない。
今のまま、同じことをしていたら同じ結果しか生まれない。
宝くじが当たるとか、突然良いことが転がり落ちてくるなんてそんなに人生甘くない。
仮に、努力しないで偶然良いことが起きても、それは砂上の城にしか過ぎない。
AIが仕事を奪っているのではない。
昨日と同じことをしているその思考が自分の明日を狭めていっている。
生まれ変わろう。
変わりたいなら今と同じことをしていてはいけない。
昨日と違うことをしよう。
今を変えよう。
俺は机周りを片付けて会社を出た。
今回は
AIが仕事を奪っているのではない
(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
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