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~明るい独りぼっち~ 未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す
山田ゆり
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中学に進学したのり子は、いじめをしていた彼とは別クラスになりいじめは自然消滅した。
彼はボンタンの恰好をして他校の番長と喧嘩沙汰を繰り返すようになっていった。
小6の一年間、他の女子に被害が及ばないようにと思い、のり子はひとりになることを選んだ。
いじめが終わったのにのり子は自分から人に話しかけるのが怖いと感じる子になり、結局、中学の時も独りぼっちだった。
友達がほしい
誰か私を助けて
いつも心の中で叫んでいた。
当時ののり子の心中は、イソップ物語のきつねと柿の木の話と同じだった。
美味しそうな柿が木になっていた。
キツネは取ろうとしたが手が届かない。
だから木の下でその柿が落ちてくるのを待っていた。
しかし、いくら待っても柿は落ちてこない。
しびれを切らした狐は
「あれは美味しくない柿なんだ」と負け惜しみを言って去っていく。
のり子も友達が欲しければ勇気を出して声を掛ければよかったのだ。
それなのに、変なことを言われたらどうしよう、嫌われたらどうしようと思い、自分からは何もせず、誰か私に声を掛けてくれないかなと待ちの姿勢だった。
待ちの姿勢というより、逃げの姿勢だった。
自分でやりもせず結果を他人のせいにしていた。
小6ののり子は虐められていたからいつも下を向いていた。
しかし、中学の時は誰からも虐められなかったから、のり子は「独りで可哀そう」と思われたくなくて、顔は伏せていなかった。
そして、誰かがもしも声を掛けてくるかもしれないと思い、学校にいる時はいつも口角を上げて笑顔を作っていた。
暗くうつむき加減の小6とは違い、「明るい独りぼっち」だった。
でも、笑顔の裏側はいつも土砂降りの雨が降っていた。
誰か、助けて
友達になって
いつもそう心の中で叫んでいた。
友達を作れないのり子は、授業の合間の雰囲気が怖かった。
みんな、仲の良いもの同士で雑談をしている。
ガヤガヤしているその空間の中に自分だけ異空間だった。
ガヤガヤした音が遠くに聞こえた。
女子たちの歓声が聞こえる。
なんだろう。何話しているんだろう。
気にはなったが振り向いて話しかけられない。
普通は休み時間が気を緩めるひと時なのだが、話す相手がいないのり子にとって、僅か5分間の休み時間は苦痛でしかなかった。だからのり子には授業中が一番安らぐ時間だった。
休み時間や昼休み時間に、話す相手がいないのり子は仕方なく教科書を広げた。
独りぼっちで寂しそうと見られたくないのり子は、勉強に逃げた。
勉強などせずに人と話をする努力をすればよかったのに、のり子は勉強という楽な方に逃げた。
だからのり子は学校にいる内にその日の宿題は終わせていた。
それでも時間が余ったから予習・復習を学校でするようになった。
予習、復習をしていたら授業が面白くなってきた。
もともと、国語と音楽が好きだったのり子は、中学に入り、特に数学に目覚めてしまった。
「作者は何を言おうとしているのか」と思いを巡らす国語は相変わらず好きだったが、答えが一つの数学にもとても魅力を感じた。
数学は問題を解く数式を覚えていれば解けない問題はないのが気に入った。
数式は単語カードに書いて、自転車通学の時間に暗記した。
数学の先生がユーモラスだったのも数学を好きになる理由にだった。
のり子は常に数十ページ先を勉強していた。問題を解けたときの快感をまた味わいたくて次の問題をどんどん解いいくようになった。
三学期になると、親戚の子から教科書を譲り受けて、次の学年の勉強をしていた。
数学の授業中、先生が黒板に白墨で問題を書いて振り向き、
「この問題、解ける人!」という「ひと」の「と」が終わるか終わらないかのタイミングでのり子はいつも手を挙げていた。
先生はのり子をチラ見し、ニヤリと笑う。
しかし、すぐにはあてない。
のり子にあてるとすぐに答えが分かってしまうからだ。
だから先生は間違えそうな人にわざと回答させる。そしてなぜ間違ったかをみんなに教えていた。
のり子は先生の意図することを感じていたから、あてられなくても傷つかなかった。
のり子は定期テストでは学年で10位以内にいた。
特に数学はいつも5位以内にいた。
のり子はいつもにこにこしていたから、どうやら「独りが好きな人だからそっとしてあげよう」と思われていたようだと大人になって行われた同窓会の時に分かった。
当時ほとんど話したことが無い人からも「久しぶり~」と懐かしがられた。
どうやら嫌われていたのではなく「独りでいることを邪魔しない」ようにしてくれていたようだった。
だから
友達が欲しい と、心の底から叫んでいたのは誰にも伝わらなかっただけで言えば良かったのだ。
同窓会が終わった時
なぜ当時、勇気を出して声を掛けなかったのかと悔やんだ。
誰も自分を悪く思っていなかったのだが当時はそれが分からなかった。
結局のり子は中学三年間、独りぼっちだった。
独りぼっちだけれど勉強は上位ののり子は地域でも有名な進学校に合格した。
(マウントを取るつもりはありません。高校でそれがはっきりします)
長くなりましたので、続きは次回にいたします。
※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1777日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。
どちらでも数分で楽しめます。#ad
明るい独りぼっち
未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す
※今回は、こちらのnoteの続きです。
↓
https://note.com/tukuda/n/n4d61d4de9412?from=notice
彼はボンタンの恰好をして他校の番長と喧嘩沙汰を繰り返すようになっていった。
小6の一年間、他の女子に被害が及ばないようにと思い、のり子はひとりになることを選んだ。
いじめが終わったのにのり子は自分から人に話しかけるのが怖いと感じる子になり、結局、中学の時も独りぼっちだった。
友達がほしい
誰か私を助けて
いつも心の中で叫んでいた。
当時ののり子の心中は、イソップ物語のきつねと柿の木の話と同じだった。
美味しそうな柿が木になっていた。
キツネは取ろうとしたが手が届かない。
だから木の下でその柿が落ちてくるのを待っていた。
しかし、いくら待っても柿は落ちてこない。
しびれを切らした狐は
「あれは美味しくない柿なんだ」と負け惜しみを言って去っていく。
のり子も友達が欲しければ勇気を出して声を掛ければよかったのだ。
それなのに、変なことを言われたらどうしよう、嫌われたらどうしようと思い、自分からは何もせず、誰か私に声を掛けてくれないかなと待ちの姿勢だった。
待ちの姿勢というより、逃げの姿勢だった。
自分でやりもせず結果を他人のせいにしていた。
小6ののり子は虐められていたからいつも下を向いていた。
しかし、中学の時は誰からも虐められなかったから、のり子は「独りで可哀そう」と思われたくなくて、顔は伏せていなかった。
そして、誰かがもしも声を掛けてくるかもしれないと思い、学校にいる時はいつも口角を上げて笑顔を作っていた。
暗くうつむき加減の小6とは違い、「明るい独りぼっち」だった。
でも、笑顔の裏側はいつも土砂降りの雨が降っていた。
誰か、助けて
友達になって
いつもそう心の中で叫んでいた。
友達を作れないのり子は、授業の合間の雰囲気が怖かった。
みんな、仲の良いもの同士で雑談をしている。
ガヤガヤしているその空間の中に自分だけ異空間だった。
ガヤガヤした音が遠くに聞こえた。
女子たちの歓声が聞こえる。
なんだろう。何話しているんだろう。
気にはなったが振り向いて話しかけられない。
普通は休み時間が気を緩めるひと時なのだが、話す相手がいないのり子にとって、僅か5分間の休み時間は苦痛でしかなかった。だからのり子には授業中が一番安らぐ時間だった。
休み時間や昼休み時間に、話す相手がいないのり子は仕方なく教科書を広げた。
独りぼっちで寂しそうと見られたくないのり子は、勉強に逃げた。
勉強などせずに人と話をする努力をすればよかったのに、のり子は勉強という楽な方に逃げた。
だからのり子は学校にいる内にその日の宿題は終わせていた。
それでも時間が余ったから予習・復習を学校でするようになった。
予習、復習をしていたら授業が面白くなってきた。
もともと、国語と音楽が好きだったのり子は、中学に入り、特に数学に目覚めてしまった。
「作者は何を言おうとしているのか」と思いを巡らす国語は相変わらず好きだったが、答えが一つの数学にもとても魅力を感じた。
数学は問題を解く数式を覚えていれば解けない問題はないのが気に入った。
数式は単語カードに書いて、自転車通学の時間に暗記した。
数学の先生がユーモラスだったのも数学を好きになる理由にだった。
のり子は常に数十ページ先を勉強していた。問題を解けたときの快感をまた味わいたくて次の問題をどんどん解いいくようになった。
三学期になると、親戚の子から教科書を譲り受けて、次の学年の勉強をしていた。
数学の授業中、先生が黒板に白墨で問題を書いて振り向き、
「この問題、解ける人!」という「ひと」の「と」が終わるか終わらないかのタイミングでのり子はいつも手を挙げていた。
先生はのり子をチラ見し、ニヤリと笑う。
しかし、すぐにはあてない。
のり子にあてるとすぐに答えが分かってしまうからだ。
だから先生は間違えそうな人にわざと回答させる。そしてなぜ間違ったかをみんなに教えていた。
のり子は先生の意図することを感じていたから、あてられなくても傷つかなかった。
のり子は定期テストでは学年で10位以内にいた。
特に数学はいつも5位以内にいた。
のり子はいつもにこにこしていたから、どうやら「独りが好きな人だからそっとしてあげよう」と思われていたようだと大人になって行われた同窓会の時に分かった。
当時ほとんど話したことが無い人からも「久しぶり~」と懐かしがられた。
どうやら嫌われていたのではなく「独りでいることを邪魔しない」ようにしてくれていたようだった。
だから
友達が欲しい と、心の底から叫んでいたのは誰にも伝わらなかっただけで言えば良かったのだ。
同窓会が終わった時
なぜ当時、勇気を出して声を掛けなかったのかと悔やんだ。
誰も自分を悪く思っていなかったのだが当時はそれが分からなかった。
結局のり子は中学三年間、独りぼっちだった。
独りぼっちだけれど勉強は上位ののり子は地域でも有名な進学校に合格した。
(マウントを取るつもりはありません。高校でそれがはっきりします)
長くなりましたので、続きは次回にいたします。
※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1777日目。
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どちらでも数分で楽しめます。#ad
明るい独りぼっち
未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す
※今回は、こちらのnoteの続きです。
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