【詩】仮面とドクロ
魚の骨が刺さったような顔
青く鋭い二月の憂鬱
仮面はかってに僕の顔を覆い
僕は知らない女と踊っていた
保健室のガーゼみたいなウイスキー
茶色く廻る酒場の喧騒
仮面は僕のグラスを奪って
僕は嫌いな友を酔わせていた
クジラの中のブリキのおもちゃ
黄色い妖精の無邪気な嘘
仮面は僕のわき腹をくすぐって
僕は僕を好きになってしまった
なんだか怖くなって仮面を剥がすと
誰も僕だとわからなくて
僕は骸骨と踊るしかなくなった
ガイコツたちはケタケタ笑って
こぞって僕を取り合った
僕は一番弱いガイコツが好きだったから
喉に刺さった魚の骨をそいつにやると
そいつは喜んで、僕の頭を撫でた
僕は何かを閃いた
お礼に小さな頭蓋骨をもらうと
家に帰って仮面の横に飾ってやった
仮面は泣いて
ドクロは笑った
文化という本棚の上で
二つは向き合い
今日も僕と遊びたい