「終わり」があるからこそ正しく愛せる
人間は恋をする。そして、人を愛していく。しかし、人を愛すると相反するように嫉妬や不安も生まれる。
初めは純粋な愛かもしれないが、徐々に自分の思い通りにならないことに対する不満や不安が付きまとう。結局、相手を傷つけ、自分を傷つけ、やがて恋は終焉を向かえる。
人は、「付き合う」「結婚」などの「形」にこだわりたがる。心が傷つかないための保険だ。
「形」ができると、「形」にこだわり、執着してしまう。例えば、「付き合っているのに、連絡が遅い。」「付き合っているのに、他の人を見ている」などである。
人はいつか「死」を迎える。だからこそ、「今」を大切にしようとする。しかし、「形」ができると、「死」を忘れ、「形」に執着してしまう。「死」によって、「形」も、すべて何もかもが消えるというのに。
「形」にこだわると愛し方が下手になる。でも「死」を意識すると、「今」に目が向く。面白いものだ。
だから、恋愛における「死」、つまり「終わり」を初めから意識した恋愛は、極めて新たな関係をもたらしてくれると思う。
恋愛で、傷つき、精神を病む人がいる。それは、正しい人の愛し方とは言えないと思う。あくまでも、生きる主体は自分であり、相手がないと生きていけないというのは、依存関係だからだ。もっと言うと、自分を愛せていないということだ。
では、始めから「〇年で別れる」ことがお互いに分かっていたとしたらどうだろう。こうなれば、恋愛において自分自身を失うことはない。その後の主体が自分であることが確保されるからだ。
このような恋愛の仕方はある意味突拍子もないように受け止められるかもしれないが、「主体はいつも自分軸にありつつ、相手を愛する」という正しい愛し方をすることができると考える。
気付いていないかもしれないが、例えば結婚した時点でさえも、「〇年で別れる」ということが決まっている。人間には「死」があるからだ。
「終わり」決めて付き合うことは、無駄な時間を費やすことがない。「好きだから」「付き合っているから」という理由で、叶わぬ恋を続け、疲れ果てることもない。
別れは本来人を成長させるものだ。しかし、巷に流れている別れは、傷つけあい、時にはトラウマになるようなものまである。私たちは、もっと「別れ方」について知るべきだと思う。
だからこそ、新しい恋愛の仕方として、「期限を付けて付き合う」というものを提案する。この「期限」は決して更新できないもの方がよいと思う。
「結婚を考えていないのか。それは不自然な恋愛だ。」
「期限を付けて付き合う?遊びじゃん、それ。」
そんな意見が出てきそうである。では、そういう人たちのどれだけの人が、結婚をし、そしてその後もきちんとその人を愛しているのだろうか。
「付き合っている」と言いながら、上下関係ができて、一方的な関係になって、どちらかが苦しい思いをしていないのだろうか。
「形」がもたらす「安心」は「慢心」を生み、関係にゆがみをもたらす。
問いたいのは関係の質である。「終わり」ある恋愛だからこそ、「今」、正しくその人を愛せるのではないだろうか。そして、傷つけあう「別れ」ではなく、お互いの新たな成長と飛躍をもたらすものとなるのではないだろうか。
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