今からどちらへ?「友人の個展へ!」
画家の友人が今日まで個展を開催しています。
先日の金曜、そこへ行くために有給を取りました。
前日に立てた計画はこうです。
有給ついでに薬をもらいに病院へ行って、それから個展へ。原画をお迎えする気満々なので現金は準備済。ゆっくり絵を鑑賞したら、夜には映画を観て帰る。
計画の時点ですでに楽しい。
平日に仕事休んで遊びに行くってテンション上がりますよね。
せっかくだからめっちゃおしゃれしようって思いました。
このワンピースにしようかな、それともこっちかな、と思い巡らすこと数分。
そうだキモノ着よう。
涼しくなったので着物を着るにはいい季節。最高の考えです。
というわけで金曜は朝も早くにせっせと着物を着、草履ではなくヒールの高いパンプスを履いて、まず病院へ。
そう、まずは病院へ。
病院行くのに着物を着る人がこの世に何人いるでしょう。お茶かお花ですかと問われたので、「いえ、遊びに行くんです!」と答えたら先生は「いいですね」とにっこり笑ってくれました。ありがたいことです。
着物なので採血のときにも颯爽と袖をめくることができます。血を抜かれながら、「自分で着られるなんてすごいですね~」「いや~ありがとうございます~」なんて会話をしていました。
もらった薬をバッグに詰め込んでウキウキと個展会場の最寄り駅まで直行します。地下鉄に乗ること数分。
開廊の1時間前に着いた。
主催の友人だってまだ来ていません。だって1時間も前だから。
なので、すぐそこのスタバに入ったんです。
そうしたら、着物姿のわたしを見て店員さんが何名も話しかけてくれたんです。
「お着物、いいですね」
「素敵です」
「どちらへお出かけですか?」
って。
病院で「いいですね」と言ってもらったときもそうでしたが、好きなものを褒めてもらえるって本当に嬉しいものです。しかも見知らぬ方に。
嬉しくて嬉しくて、にこにこ照れ照れしながら答えました。
「友人の個展へ!」
モダン着物を着て個展へ行く。
それだけでもかなり良い感じのシチュエーションですが、そんな会話を見知らぬ方と交わすなんて、着物でなければ発生し得ないワンシーンだったと思います。
こんなに印象に残ることってなかなかないでしょう。
そもそも友人が個展を開催している時点ですごいことです。
そこへ出向くための装いに着物を選択したことが、1日をより最高なものにしてくれました。自分が好きなものを着ているうえ、褒めていただいたので、とっても気持ちが弾んでいたんです。
弾んだ気持ちのままに開廊直後から突撃し、閉廊時間になるまでたっぷりと絵を鑑賞させてもらって、これだ!という原画やグッズをたくさんお迎えしました。
友人の絵をお迎えするときはいつも、その絵がまるでわたしを待っていてくれたような気持ちになります。ちょっとだけ予算オーバーするくらい買いました。
病院で採血したのでいつもより支払いが高かったのを忘れていて、一瞬お金が足りないかと思ったくらいです。
閉廊まで居座るのはさすがに礼を失するかとも思ったのですが、素敵な絵に囲まれて淡く音楽が流れる空間は心地よくて離れがたく、友人の厚意に甘えて結局1日中会場にいました。
絵の説明をしてくれたり、使った絵の具を教えてくれたり、友人ともたくさん話ができてとても楽しかった。教えてくれた画材をさっそく購入したりして!
本当に楽しかったなあ…!
閉廊後、お迎えした絵を抱えてほくほくしながら友人と別れ、映画を観て、22時ごろに帰宅。
ふと鏡を見たとき着崩れもなかったことにまた喜んだり。
もう楽しいと嬉しいの乗算みたいな日でした。
着物を着ていると視線を感じることもあります。
特にわたしは派手目の柄物を好むので、目立つということもあるでしょう。
遭遇したことはありませんが、着付けにケチをつけてくる人がいるという話もたまに聞きます。
でも待ち合わせでたまたま隣にいたご婦人にコーディネートを褒めていただいたり、この日のように見知らぬ方に話しかけてもらったり、嬉しいことをたくさん経験してきました。
ちょっとしたおしゃれ、くらいの感覚で着物を選ぶ人がたくさん増えればいいなあって思います。着物の種類や着方によっては普段着にもできるし、簡単に着られるように工夫を凝らした商品もたくさんありますし。
「今からどちらへ?」
「友人の個展へ!」
皆さんも着物を着たら、見知らぬ方とこんな素敵なやり取りをする日が来るかもしれません。
※ちなみにその日のお着物がこちら