【cinema】ザ・ライフルマン
世間が「鬼◯◯◯」に夢中になっている中、私はひっそりと1週間だけ上映されているラトビア映画を観てまいりました…
第一次大戦下のラトビア。ロシアに攻め入るドイツ軍と戦うため、ラトビアではライフル部隊が編成される。主人公は17歳にあと2ヶ月の少年のアルトゥルス・ワナクス。彼は冒頭で母をドイツ軍に銃殺され、志願し、兵役を一度は終えた老父と共に兵士となります。ロシア皇帝の名の下、前線で戦い続ける彼らですが、今度はロシア革命が起き、共産主義=ソ連を相手に戦わねばならなくなるのです…
これはラトビアが独立するまでの歴史の一部を切り取った戦争映画です。大国に挟まれ、翻弄され、様々な民族と共闘するも裏切られ、それは今のラトビアを含むバルト三国が、ロシアに対してどのような感情を抱き続けてきたかを見せつけられるようでした。
とにかく過酷なシーンしかない。涙すら出ない。唯一ホッとしたのは、アルトゥルスの戦友に宛てて、彼の母が編んだミトンが戦地に届いたシーンです。しかし、そのミトンを息子が使うことはなく…
何でこんなにも心に響いたのか。数々の戦争映画を観てきて「慣れている」はずが、とにかく苦しくて、ひと時も休まることがない前線のはずなのに、兵士たちはあの戦禍、おどけたり、笑ったりもする。だけど、負傷し、また命を落としていった彼らの姿はかなり衝撃的で、そこに嘘臭さは一切ない。そんな一つひとつの描写が丁寧で、どんなに壮大な戦争映画にも引けをとらない感じになっているのかなと思った次第です。
この映画の原作「blizzard of souls」という小説は、アレクサンドゥルス・グリーンスによって、自身の経験をもとに書かれたものですが、彼はソ連時代に追放、処刑され、この本自体禁書になったようです。
世界史を勉強していた時は、連合国軍と同盟国軍とかいう大きな枠組みすぎて、知る由もなかったけれど、「他多数の国々の」市井の人々がどのようにあの時代生き抜いてきたか、翻弄されてきたのかを知るための映画であり、まだまだ私は知らなさすぎると思いました。
2013年にたった9日間だけどバルト三国を旅して、興味が湧いて、それがあったからこの映画に行き着いた気もします。その逆もまた然り。映画を観て、また再訪したいなとも思いました。
劇場では見れないけれど、どこかで配信とかされたりしたら、是非見てみてほしいです。
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