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突然亡くした兄。たった2人の兄妹。 (第4話の前に)
原因不明の急死でした。仕事中に倒れてそのままポックリ。
兄との思い出を、綴らせて下さい。
上の水墨画は泣きそうになったけど、我慢して、絵に泣いてもらおうと、
衝動的に描いた物です。兄は兎年、私は巳年。
巳の私を置いて右の方へ兎が去っていく所を表してみた。
不思議な事に、スッキリしました。
兄は優しいだけが取り柄の人。
物心付いた頃からほぼ毎週、父の渓流釣りについて行って、
私が小学2年、兄が4年生の時に
雨の中、死にかけの雑種の子犬を拾ってきて、泣きながら助けて。と親に懇願して犬も家族になった。
それからは、毎週末、山に行き父母兄私犬でキャンプをした。
兄は昆虫が好きで、私はコケが好きで、2人とも川で泳ぐのも大好き。
おやつはアケビや何かの実を食べた。
天然わさびを見つけて、まあ、小さいけど幾つも採って、
それを母に持って帰って見せると小遣いが貰えた。
アブに追いかけられて、水に潜ってしのいだり、いつも笑って過ごした。
だから気が付かなかった。
兄が少し自閉症気味で、人とコミュニケーションがとれない人間だとは。。。
確かに、ハキハキ大きな声とかは聞いた事がない。
要領も悪かった。私とは通信簿も見事に得意不得意が正反対。
中学生になって、兄は3年生で、
入学早々に兄がカツアゲされている場面を見てしまった。
やはり、兄はイジメにあっていたのだ。
カツアゲも頻繁にされている様子。
私は性格こそ男勝りだが、一人の時間は部屋で朝まで図鑑を模写してマイ図鑑を作っている静かな子供といえた。
いつから絵を描いていたか?2歳の記憶ではもう図鑑作りをしていた。
でも、兄のリアルを見逃す事はできん。
幼馴染の男子がちょっと悪友だったので、
悪い先輩と繋がりがある事を知って、
夜中に2階の窓から抜け出して、不良のグループに混じる事に成功。
バットを持った先輩が夜の学校で「これでヤれる根性あるヤツ」と良い終わる前に
走り出てバットをかすめ取り、校舎の窓をはじから割って見せたり、
カラオケで酒一気飲みして、先輩の好きな歌歌ったり、
とにかく目立ちまくった。
そんなこんなで、あっという間に先輩達のお気に入りになれた。
そして、やっと「ねーねー、先輩。ウチ○○って苗字なんやけど、兄貴がおるんやけど、わかる?カモネギの妹!」
「おー!○○の妹か!?」
「兄貴の財布の中身は私の家の財産から出てるワケ。そーすると、私が困る
ねん。もう勘弁して欲しいんやけど。」
「そーかそーか。
ごめんな。分かった!もう手出さへんって約束するから。」
「ホンマですか?ありがとう!」
と、こうして兄のイジメは無くなった。この事は多分、誰も知らない。
でも、たまに別の誰かがカツアゲされるのを不良グループの一団として居合わせる事も。
不良同士の喧嘩で財布の中身を盗るのは放っておいたが、
いかにもオタクで弱い男子を追い詰めて取った時。
お金だけでなく、テレホンカードなんかも盗るんです。
先輩は、おー新品や!と喜んでいると、
そのオタクが、「それだけは!」と縋る。
キレイにビニールに包まれた何かのアニメのキャラクターの。
それは見るに耐えない光景だ。
私は先輩にすり寄って
「あー、コレ、ウチ好っきやねん。ちょうだい?アカン?」
と、おねだりすると、普通にくれる。
そしたら、先行ってて!忘れもんしたー!!と一人ダッシュで現場へ戻り、
へ垂れてる男子に
「ごめんなさい。コレしか取り戻せへんかった。」と謝って返す。
等をしていた。
義賊ぶっている訳じゃなく、私もオタクなので、気持ちが分かるのだ。
せめてもの慰めになれば良いけど、見つかったらヤバいし
直ぐに走ってグループへ戻る感じ。
兄も落ち着いて受験勉強ができたようで、卒業も穏やかに迎えられて良かった。
私の親友と結婚できたし、あ、これも私のせいなんだけどね。
高校生のある日、中1からの親友から遊園地のペアチケットを新聞屋さんに貰ったけど、
期日までに行けないから、あげる。と電話がきて、
私も行けない。って言ったら、
後ろで兄が「俺、行きたい。」って呟いたので、貰った。
乗り放題も付いて多分1枚6千円くらいするチケット。高価だ。
なので、兄に「お礼とお土産とか、ちゃんとするんやで。」と言って、
彼女の電話番号のメモを渡した。
数年後、結婚して、なんで?兄貴のどこが好きなん?って彼女に質問したら、、、
「覚えて無いかもしれんけど、遊園地のチケットのお礼って、電話くれて
初めて会った時、なんて誠実な人だろう。って思ったの。」
って。やっちまった。と苦笑いしか出きなかったw
兄はお酒もしないし、子供と遊ぶのが趣味!って言う父になった。
長くなりましたが最後に。旅の途中で兄を思い出した時はいつも、おにいちゃんが居てくれて良かった。
と心から幾度となく想っていた。
決して可愛い妹では無かったが、何年振りかに突然実家に帰って、
兄のゲームで遊んで待っていて、私を見た途端、仰天して
「おおおおお前、何しとんの?」「?ゲームだよ。わはは。」なんて
兄妹逆のふうてんの寅さん状態だったので楽しかった。 おわり。