左手で思いっきりオレを殴れ
こんなことを言う人。
初診は2020.9.21
誕生日の次の日
覚えやすいように。そして仕事なき日々。
わたしは歯を、銀歯を全部白くしようと
歯医者に通いはじめた。
歯医者さんってやつは
いつもなかなか混んでいて
週1.2のわたしの休みに合うことも少なく
いつも途中で行かなくなっていた。
今ならいける。
ちょっとやそっとじゃ済まなさそうな
感染症にふりまわされる毎日を
大好きなイタリアに行けそうにない鬱憤と
大してあるわけでもないお金でも
使い道のない寂しさ晴らしに。
9本の銀歯をセラミックにして
嫁に行ってやる
と試みた。
わかりやすく覚えやすく誕生日の翌日
もともと職場に食べに来てくれていて
少しは知った仲のゴリラのような先生。
わたしの人生には重要参考人として
なかなかにゴリラが点在する。
初めての診察の日に先生は言った。
「ふつう、歯医者さんは
痛かったら左手あげてくださ〜い。って言うけど
ウチはな、むらた。
痛かったら左手あげて、思いっ切り俺を殴れ」
口を開けているせいで
笑いたいのだけどごめんなさい。
そしてゴリラはわたしの歯槽膿漏の住処のような
歯並びと歯茎とをみてびっくりする。
こりゃ〜時間かかるな。
歯を治すのに歯茎を引き締めないと
何をやっても本末転倒らしく
初日はワケのわからない歯茎の治療からはじまった。
すごくたくさんの膿が出てきた。
こりゃ〜根気がいるわね、先生よ。
年末年始以外は、毎週かよった。
レーザー治療もたくさんやって
その翌日は歯茎の痛みに
大好きなポテチ(塩味すべて)が悪だった。
こんな目に遭わせやがって、レベル。
おかげさまで歯茎はスッカリ引き締まり
ピンクの歯茎を取り戻したわたし。
痛みの賜物。
こんな目に遭わせてくれて神さま、レベル。
そんなある日、先生はむらたの田舎にいきたいと
突拍子もないことを言い出した。
うわーおいしいお店おしえるわ!と
とりあえずの返事をしたら
その翌回に新幹線のチケットを買ったのだという。
どうしても賢島の青空の下でゴルフがしたい。
「ゴルフ有名ですよね〜お店教えますね〜」
なんてまたテキトーなことを言っていたら
むらた。おまえもいくんだよ。
無謀とやさしさは紙一重なのではないか
診察が始まるまえに渡された新幹線のチケット
自分じゃ買ったこともない指定席
そしてわたしは先生御一行さまとともに
伊勢神宮参拝、伊勢志摩の魚を食べて
賢島でゴルフをしよーぜツアーに同行することに。
案内しろよ〜と言われてついて行ったにも関わらず
先生は夕飯時しかわたしを呼び出さなかった
我が家の仏壇にはしっかりと
東京バナナをお供えに来てくれて。
あれ?やっぱりやさしさだわ。
母ひとり子ひとりの、その「子」が
なかなか東京から帰れずにいる。から?
いや、ちげーか。
母娘そろって小さなクルマで先生御一行を
接待しようと出かけては
すっかりご馳走になって帰宅、笑
爆笑珍道中も無事におわり
あれから一年とちょっと。
わたしの歯はすべて白くなりました。
何を思ってこんな偉業を思いついたのだか
先生との巡り合わせは本当に最高で
いつも混ざりものの2番目のセラミックにしていた
わたしをみかねたのか
最後の歯もそれを頼んだのに
先生がセラミック100%をプレゼントしてくれた
誕生日の翌日。
こんなことある?レベル
レーザー治療だって
何回かいくうちに治療費が安いときがあり
え?となると
え?俺今日レーザーやった?とかって
こんな先生いる?レベル
今日で9本すべておわったけど
来週から歯茎の治療を続けながら
経過を見ていくから、といって
通院はまだまだ続くらしい笑。
次の予約は来週。もう!
感染症が終わりつつある世の中で
毎週の通院がうまく叶うのか。
いつも楽しい先生に
「弁当買ってから来てくれ」という先生に
父の日はプレゼントをわたすわたしに
まだまだ会いたいから
来年も伊勢志摩歯医者御一行ツアーを
敢行していただきたいのだ、とおもったり。
秋の夕暮れに
歯医者さんから帰る30分の散歩道は
(行きはギリギリになるから電車)
一年中かよったな、と思える景色の変わりかた。
次ダウンを着て歯医者さんに行ったらまた
「おまえは本当にダウンが似合うな」
と着痩せを褒めてくれるだろーな。
着痩せを褒めてくれる人が
ほかにもうひとりいた。
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