三帖「空蝉」角田光代訳源氏物語(醜男が「源氏物語」を読む不幸について)
光源氏、広◯すず説で見れば、物語はスルスル分かる。すずを男の誰もが拒まないように、女も源氏を拒みはしない。むしろその逢瀬は、一生に二度とない奇跡のような一夜となるだろう。
源氏もそれを自覚していて行動している節がある。その説でいけば、分からないのは、むしろ空蝉の方である。何故、源氏を拒む。あり得んだろう。女はみんな源氏との一夜を夢見ている。その源氏が誘っているのに、手紙に返事もせず、逃げ回る。
あ、あり得ん!
多分、源氏のプライドは傷ついたのだと思いますね。
なんか、こう読んでくと、なんだか、醜男に生まれた私が、なんでこんな話、読まなきゃならん、なんて普通に疑問ですね。あー、イケメン好きにやってよ。どーせあたしゃ、醜男っすよ。て、読む気なくなりますな。
瀬戸内寂聴のでも田辺聖子のでも、源氏物語由来の書き物買ってんのは、多分みな女性でしょ。んなもん醜男が買うもんか。読むもんか!
そう。そうなんすよ。普通の男に源氏物語は読めない。読むには覚悟がいるんです。
俺は光源氏だあ!
て覚悟がね。
平家は読めても源氏はなあ、とか言う男の人、大学時代におりました。古文は合わん。俺は漢文行く、とか日文から離れていった人も知っとります。みなさん、思うに、心なしか、お顔が不自由であらせられた。
そ、そんな現実にかかずりあってどーする? 覚悟を決めーい!
そう。男が源氏を読むなら、自分は源氏だと思わねばならんのです。
自分は、、、えっと、、えっと、最近のイケメン俳優の名前が出ませんが、その、ああ、菅田将暉とか、あと、ええと、竹内涼真とか、(あってます?)、そういうイケメンなんじゃと、心に決めて読まねばなりません。
な、り、ま、せえぇーん!
女子衆。男が「源氏物語」読むのって、なかなか勇気いるんですぞ。そりゃ、女性の方は、キャーキャー言いながら、アイドル、イケメンを源氏にあてはめて読めばよろし。じゃがの、男が「源氏物語」読むちうのは、光源氏はワシじゃあ! て無理やり思い込む必要がある。男女の区分けはしとうありませんが、醜男にとって「源氏物語」を読むのは、なかなかにハードルが高いんですよ。
だから、ずっーと先ですけど、髭黒の大将が出てきたとき、なんか、やっと友達に会えたような、馬鹿な奴なんですけど、愛おしいんですよ、男は。女ども! そういう気持ちで髭黒、見てないだろ! 髭が黒々ですって、まあ、お下品。そんなことくらいしか思ってないだろ! 出てきたら、ちゃんと読んでやるからな、覚えとけよ!
あ、すいません。つい、お下品になってしまいました。そう、筋、筋。
光源氏は、空蝉が忘れられず、弟の小君に手配させて、屋敷に忍びこむ。空蝉はそれを察知して逃げる。逃げる時、小袿を置いてったので、それが蝉の抜け殻みたいだったので、空蝉なんでしょう。しかし、姉ちゃんの不倫を助ける弟小君。弟、それでいいのか?
で、そこに残ってたのは、出張中の紀伊守の妹さん。源氏、途中で気がつくんですが、今更、人違いですねんメンゴメンゴなんて言えません。まあ、致してしまいます。
して、後日。源氏に募るは空蝉への思い。紀伊守の妹へは致したのに、文も出さない。
源氏、最低!
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