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マルチタスクから脱却する戦術

こんにちは。
今回の台風・大雨は、列島全体に長い間ダメージを与え続けましたね。
被害に遭われた方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

さて、今回は、私たちがもはや宿命づけられている「マルチタスク」について、その弊害と対処法を考察します。

私たちはだれもがマルチタスカー

マルチタスクは現代の職場にかぎらず、学校、家庭内、いたるところで必要とされているのではないでしょうか?
複雑化・多様化する仕事に追われるビジネスマンだけでなく、
スマホを手に、親とチャットしながら塾の講義を受けている子供たち、
今日の献立を考えながら洗濯物を干す主婦、
ラジオを聴きながら犬の散歩をする老人にいたるまで。

作業や勉強ばかりではありません。
ソファで横になり、スマホのゲームをしながらオンデマンドを観ているのだって、「休憩しながらマルチタスク」をしているのです。

次々と作業を同時にこなす”マルチタスカーたち”。
一見、複数のタスクを同時にこなすことで、「効率的に働いている」と、私を含めて本人たちは感じているかもしれません。
実際には、ものごとへのそんな取り組み方が、生産性や健康にどのような影響を与えているのか、ご存知でしょうか?

マルチタスクの脳への影響

まず、マルチタスクが脳に与える影響について見ていきましょう。

すでにさまざまな学術研究で明らかになっているのは、
複数のタスクを同時に処理することで、脳は過剰な負担を受ける、という事実。
その影響は、前頭前野の機能が低下し、物忘れや判断力の低下が引き起こされるのだそうです。
また、自律神経のバランスが崩れ、心身の不調を招くこともあります。
たとえば、作業が「数秒(たった2.8秒)」でも中断されると、またもとの作業に集中するまでに今度は「数分」も要し、さらにミスの発生率が急増するという実験結果もあります。

ストレスホルモンの増加とIQの低下

さらに、マルチタスクを行うことでストレスホルモンであるコルチゾールが増加します。
短期的には効率が上がったように感じるかもしれませんが、実際には脳が過剰な負担を感じています。
ロンドン大学の研究では、マルチタスクを行うことで、なんとIQが低下することが確認されており、その影響は徹夜やマリファナの摂取と同程度であるとされています。
マルチタスクしている人は頭がよく見える、のではなく、マルチタスクをしている人は頭が悪くなっている。
事実は残酷です。

ワシントン大学のメディナは、マルチタスクをする人には次のようなことが起こると指摘しています。
・生産性が40%低下する
・仕事を終えるまでにかかる時間が50%増加する
・ミスの発生が50%増加する
・創造性が大幅に低下する

(出展:https://gendai.media/articles/-/109365)

なぜ私たちはマルチタスクをしたがるのか?

では、なぜ私たちはマルチタスクをしたがるのでしょうか?
「忙しいから」と答える人も多いでしょうが、実はそれだけではありません。

脳はマルチタスクを好む。

こんな事実があるのです。
私たち人間は、マルチタスクを行うことで、報酬系のホルモンが脳内に分泌するように進化しています。
簡単に言うと、マルチタスクをすると、気持ちが良くなるのです。
これは、人が永い間狩猟時代を生きてきたことに理由があります。

ひとつの作業に集中することは、周りに迫る危険を察知できないことになるからです。たとえば、木の実を採集している間に、サーベルタイガーに襲われるとか。
これは現代でも、会議中にメールをチェックしたり、歩きながらスマホを確認する行動に現れています。
1つのことに集中していると危ない」。こんな本能によってマルチタスクをしてしまうことになる、ということです。

しかし事実、
人間の脳はマルチタスクに向いていなし、
マルチタスカーはIQも低下するし、ミスも増える。

この矛盾にどう対処すれば良いのでしょう?

マルチタスクをやめることの効果

質の良い仕事をしたいなら、結論はひとつです。

マルチタスクをやめて、シングルタスクに集中すること。

いくら気持ち良くても、マルチタスクをやめることです。
マリファナやたばこをやめるぐらい、マルチタスクをやめることは難しいのですが、仕事の質、ひいては人生の質を上げるなら、それぐらい克服したいものです。

マルチタスクを実際にやめることで、どのような効果が得られるのでしょうか?
例えば、
1. 生産性が向上する
先述のワシントン大学のジョン・メディナによる研究では、マルチタスクを行う人々は、生産性が最大で40%低下することが報告されています。これに対して、シングルタスクに専念することで、時間あたりの成果が増加し、全体の効率が向上することが確認されています。

2. ミスが減少する

300人の学生に、パソコンで集中力が必要な作業をさせ、その途中でポップアップ広告を出して作業を中断させる」という実験では、作業が2.8秒中断されるとミスの発生率が2倍になり、4.4秒中断されるとミスの発生率が4倍になることが確認されています。シングルタスクに集中することで、こうしたミスの発生を効果的に防ぐことができます。

https://www.lifehacker.jp/article/150225_multitasking/

3. IQの低下を防止する

ロンドン大学の研究によると、マルチタスクを行うことで、IQが最大15ポイント低下することが明らかにされています。この低下は、徹夜やマリファナの使用と同程度の影響があります。マルチタスクをやめることで、こうした認知能力の低下を防ぐことができます。

https://www.lifehacker.jp/article/150225_multitasking/

4. 創造性が向上する

シングルタスクに集中することで、より深い思考が可能になり、創造性が向上します。脳が一つの問題に深く取り組む余裕が生まれ、新しいアイデアや革新的な解決策を生み出しやすくなります。

5. ストレスが軽減される

マルチタスクをやめることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が減少し、心身の健康が向上します。ストレスの軽減とともに、心身の健康を維持しやすくなります。

このように、さまざまな科学的データは、マルチタスクをやめることが、仕事の質や健康にとって有益であることを強く示唆しています。

マルチタスクを防ぐ具体的な方法

頭が悪いメールを返信して相手をがっかりさせたくないなら、
ミスを減らしたいなら、
同じことを何度もパートナーに言わせたくないなら、
マルチタスクの魔力から自分を解放しましょう。
具体的にどのようにしてマルチタスクをやめることができるのでしょうか?

1.環境を整える(スマホはどこにあるか?)

私たちの手の届く範囲には、何が目に入りますか?
例えば、今この瞬間、私の周りを状態を観察すると、最低限必要なPC以外に、こんなものがあります。
コーヒーの入ったコップ、今は使わないマイク、読みかけの本、など。これは少ない方だと思います
例えば、キャンディやチョコレート、漫画など、私たちの身の回りには常にマルチタスクの誘惑が散らばっているのではないでしょうか?
みずから集中力や生産性を低くするような環境を作っていないでしょうか?

例えば、スマホ。時として最悪の存在となります。
ある研究によると、スマホがポケットにあるだけでも、「スマホの存在がある」という意識が集中力を途切れさせるらしいのです。
スマホは遠くに置くことです。
私は作業をするとき、手の届かない場所にわざわざ歩いていき、そこにスマホを置きます。
また、食事中にはスマホを使わず、目の前の食事や一緒にいる人との時間を楽しむことも大切です。

2.ポモドーロテクニック

人が集中を持続できるのは、せいぜい25分間らしいです。
25分間集中して作業を行い、その後に短い休憩を挟む。
これを繰り返すことで、効率的に仕事を進めることができます。特に、最初の25分間は他のことに気を取られないように決めておくと良いでしょう。

また、気分が乗っているときは25分で切り上げることが非常に困難です。
しかし、いったん椅子から立ち上がってみるだけでも、すぐにまた集中モードに戻ることができます。
スマートウォッチなどで、ポモドーロを活用することもできますね。

3.トリガーリスト活用法

全ての気になることをリストに書き出すことで、脳はそれらを一時的に忘れ、現在のタスクに集中しやすくなります。

マルチタスクの生産性向上術:最新科学に基づく効果的な実践法 | Reinforz Insight

日記には癒しの効果があるといわれるように、書き出すことは頭の中の情報の整理に役立ちます。タスクだけでなく、日常生活の些細な用事など、すべて含めてリストアップするこが重要です。

次に、その項目ごとに対応方法を決めます。具体的な対応策をかんがえることで、気になる事柄で集中をじゃまされることを防ぎます。

マルチタスクという麻薬から脱却しよう

マルチタスクは一見効率的に思えるかもしれませんが、実際には生産性を低下させ、心身の健康を害する可能性があります。
もちろん、すべての場面でマルチタスクをしないということは難しいと思いますが、長い目で見たQOLを上げるなら、「今一度、自分の働き方を見直し、シングルタスクに集中する」という戦略は効果的でしょう。
質の良い成果と、健康的な生活を手に入れましょう。

今週も最後までお読みいただきありがとうございました。

<今週の箴言>
どんな人も自分の記憶が失われていることに不満をいだくが、
判断の欠如について不満をいだくものはない。

ラ・ロシュフコー


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