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いっそのこと、『まだ結婚できない男』には「独身」を貫き通して欲しい。

2006年に放送されたドラマ『結婚できない男』。

その続編となる『まだ結婚できない男』が、10月9日から放送スタートする。

物語は前作から13年後が舞台。桑野は以前と同じマンションに一人、暮らしているが、飛躍的に進んだIT化に合わせ、スマートスピーカといった最新機器を取りそろえるなど、引き続き独身生活を謳歌(おうか)中。偏屈さにはより一層磨きがかかっている一方で、将来のことを考えると、ちょっと不安を感じないでもない桑野。そんな中、偶然出会った女性たちとの間で、運命の歯車が突然、動き始める!

このあらすじは、(前シリーズにおいて、晴れて共にハッピーエンドを迎えたと思われた)担当医・早坂夏美とは破局していることを想起させる。

前シリーズのファンとしては切なくもあるが、なぜだか不思議と納得できてしまう。

なぜなら、独身生活を謳歌する桑野は、とっても朗らかで、文化的で、ストレスレスで、飛びっきり自由な生き様を、僕たちに見せつけてくれていたから。

前シリーズから13年。

平成から令和へと時代が変わり、ライフスタイルにまつわる多様な価値観が急速に花開きつつある2019年。

「結婚できない男」というタイトルに込められたネガティブな意味合いやニュアンスは、今まさに、鮮やかに反転しつつある。

だからこそ、楽しみだ。

「結婚する」ことが当たり前の風潮に対する痛快なカウンターであった桑野は、「結婚しない」という選択が許容されつつある今の世の中に、何を叫び、何を嘆き、何を訴えるのか。

そして、その先にどのようなロマンスが待ち、どのような結末を迎えるのか。

偏屈さに拍車がかかった桑野のことだ。きっと、僕たちの予想の斜め上を行くようなストーリーが展開されるはずだ。『まだ結婚できない男』が、この時代に対する何かしらのアンチテーゼを示してくれることは間違いないだろう。

個人的に、桑野には(次なる続編のためにも)輝かしい独身生活を謳歌し続けて欲しいが、今はとにかく放送を楽しみに待ちたい。



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松本 侃士
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