『西部戦線異状なし』を見よ!
こんにちは。ぽんずです。
『西部戦線異常なし』(2022)という映画、ご存知でしょうか?
Netflix作品であり、戦争映画としてかなり高クオリティ。
故に、リアルを突き付けられ、心が揺さぶられるような映画です。
約150分の長尺でハードルは高いと思いますが、反戦映画として本作を鑑賞する価値は大いにあるでしょう。
今回は、見所や感じたことを簡単にまとめていければと思います。
『西部戦線異状なし』(Im Westen nichts Neues/All Quiet on the Western Front)
本作は、1929年にドイツで出版された『Im Westen nichts Neues』が原作。題名は主人公パウル・ボイメルが戦死した日の司令部報告に「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」と記載された事に由来しているそうです。
実は、1930年に映画として、1979年にTV映画として映像化されています。今回が3回目の映像化です。
1930年版はフランス人以外は英語を話し、名前も英語読みですが、今回は言語はドイツ語とフランス語のみ。耳慣れしないのが逆に面白い。
徹底しています。
本作は「ドイツ主観」で描かれた戦争映画です。
『プライベート・ライアン』(1998)、『フューリー』(2014)や『ダンケルク』(2017)などの大衆的な(映画館で公開されるような)戦争映画って、ドイツ側を敵とした物語ですよね。
その点、本作はドイツ主観という事で違ったニュアンスで見れた節はあります。
戦争をしているのは国や軍であって、前線の兵士はコマなんです。1人1人に思想信条はあれど、それはお互いの正義であって悪ではない。
悪は戦争を仕掛けた司令塔(軍部や将軍)です。
何となく、「ドイツ=悪役」というレッテルが貼られてたことに気づかされました。反省すべきことです。
ストーリーとしては、無情で空虚な物語でした。
反戦映画です。
感動などは一切煽らず、次々と死んでいく仲間を前に、主人公の絶望や怒りをまじまじと見せていきます。リアルを突き刺していくような映画で、その点が無情に感じました。
空虚とは、兵士の替えはいくらでも居るという事実。
物語の冒頭、主人公が意気揚々と入隊をし軍服を渡されるシーンがあります。その軍服は戦死した兵士のおさがりであり、タグの部分に名前が刻まれていました。それが揶揄してるものが、僕の中で強烈に残った次第です。
結局、戦争をした先に何が残るのか。
西部戦線のたった数100メートルの平野の奪い合いがそれを突き付けます。
あとは、印象的だったのは映像美
かなり綺麗で『1917』(2020)を彷彿とさせます。オリジナル作品だからといって侮ってはいけませんよね。是非劇場で見たい作品です。
ただ、綺麗が故に惨いシーンは沢山あります。
それこそ、銃、火炎放射器、戦車や毒ガスなど。皆まで言いませんが、第一次世界大戦で在り得た武器は基本あったかな。
勿論、リアルは知りませんが、リアルを見ているようでトラウマは植え付けられましたね。
色々考えたんですけど、うまい言葉がみつかりませんでした。
見つかるはずは無いのかもしれません。
ただ、1つ言えるのは戦争を2度と起こさないこと、させないこと。
現在行われている戦争を、勃発当初の気持ちで今も追い続けてる人がどれだけいるか。人間は慣れて忘れる生き物です。
本作を鑑賞は、もう一度戦争について再考・再認することだけでも十分価値があるでしょう。