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おバカになれる飯と映画

現在夕刻。
明日は休日。

つまり、真面目な顔、真面目な服装、真面目な言動から解放されることを唯一許される日である。

つまり、まるで意味がないことをしてもよい日である。

つまり、奇声を発しながら坐禅を組んでもよいし、
素っ裸で「スリラー」を熱唱しながら踊ってみたりしてもよい日である。

そう、つまり、おバカになってもよい日なのだ。

でも、さすがに素っ裸で「スリラー」を踊ったり、
奇声を発するという解放行為は、
例えばアパートに住んでいる場合、
通報される可能性があるし、地域によっては村八分にされてしまうケースもあるので気軽にできるものではない。

だから僕たちは、
ゆっくり静かに、おバカになる必要がある。

そこで僕がいつも行っていることは、
「ジャンクフードを頬張りながら、ホラーコメディを鑑賞する」だ。

ただ静かに椅子に座りジャンクフードを頬張りながら、
スケベしてるアホなカップルがゾンビに食われたり、
アホな登場人物たちのおバカなやりとりや、
アホなストーリー展開をボーッと眺めるだけで、
「真面目」の対極に位置する行為でありながら、
「あ、この人イっちゃってるわ」
なんて思われることもなく、とてもスマートにおバカになることができる。

本日は、そんなおバカになれる飯と映画のセットで、
至高のおバカタイムを過ごしてみようと思う。

ここで我がスタッフを紹介しておきたい。

・サエチャン。ぼくの妻。僕のアシスタント。30歳。
レシピがあれば何でも作ることができる。
ネイルが得意。

・津々浦オ。ぼく。本人。27歳。
レシピ通り作ってるのに人数分以上の量を作ってしまうことができる。
ソーセージやコンビーフなどの加工品が好き。

以上2名である。少数精鋭スタイルで行なっている。


僕「ってことで、『全てはおバカになるために』このスローガンを胸に対峙しなくてはなりません」

サエチャン「ってことは、いつも通りということでよろしいでしょうか」

僕「ってことは、そういうことになります」

ってことで、本日対峙するホラーコメディを選択する。

そもそもホラーコメディとは、

一、総じて馬鹿げてないといけない。
一、いかにもおバカそうなヤツと、いかにも間抜けそうなおデブちゃんが必ずいなければならない。
一、スケベナネーチャンとイチャイチャするシーンが欠かせない。

上記項目を満たしているものを指す。(違うか)

その全てを満たすうってつけの映画があった。
2015年にアメリカで公開された、
「ゾンビーワールドへようこそ」
(英: Scouts Guide to the Zombie Apocalypse)
である。

このB級なサムネイルがたまらない。


ざっくりとあらすじ。
主人公は高校2年生、ボーイスカウトに所属しているベン、カーター、オーギーの3人。

左から、カーター、ベン、オーギー



たまにボーイスカウトで得た経験を活かしたり活かさなかったりしながら、トンチの効いたアイデアでゾンビの大群と死闘を繰り広げるサバイバルスリラーである。

もちろん途中にスケベナネーチャンも登場しするし、
カップルがスケベしてる時に殺されるシーンもちゃんと用意されている。

主人公がゾンビのオチン◯ンを握って窓から落ちないようにするシーンなんかもあって、感涙モノである。

ゾンビももれなくスケベである。
この後チェリーボーイのカーターはゾンビ警官(ボイン)の乳を揉むという愚行にでる。


それでは、次にゾンビたちとアホな3人組にぴったりな飯を用意したい。

そもそも映画鑑賞、特にホラーコメディは鑑賞する側の姿勢が問われるジャンルである。
メニューを考える前に、鑑賞するうえでのマナーを抑えておこう。

大前提として、
「よし、見るぞ!」と意気込んではいけない。
ボケ〜っとしながら、
「暇だから仕方なく見てるんだぞ」
という雰囲気を出しながら見なくてはならない。
つまり見る側もおバカでなくてはならない。
シャキッとした顔は厳禁である。

となると、
どんな料理を用意すべきか自ずと決まってくる。

ズバリ、手軽で安価で大味。
この三つの条件を満たしている必要がある。

ホラーコメディを前にして、
アレとナニのブルゴーニュ風だとか、
フランス産フォアグラとホニャララのテリーヌだとか、
でっかい皿の真ん中にちょこんとしかのってない
テーネイでゴーカな食事を用意してはならない。
もしそんなことをしようものなら、
恐らく何らかの規約に引っかかるか、
謎の組織に追われてしまうことになるだろう。

僕とサエチャンは緊急会議を始め、
連日連夜、白熱した議論のなかで至った結論は

  • ペパロニピザ

  • ポップコーン

  • ポテトフライのコンビーフマヨのせ

以上3点に決定した。

まずはピザ。
生地から作ると手軽じゃないため、
ホラーコメディフード条項に抵触してしまう。
即ピザハットに外注した。
種類はペパロニクラシック。
生地は手軽に食べられる感じがするので、
なんとなくクリスピーにした。

その後スーパーで早急に材料を調達し、帰宅。
そそくさと料理をはじめた。

ポップコーンはスーパーでたまに見かける
有限会社クローバーさんのジャズポップコーンを購入した。
恐らく一度はやってみたいと思ったことがあるのではないだろうか。
なぜだか夢と浪漫を感じる。

今も変わらぬレトロなパッケージ。たまらん。

ポップコーン作りは我がアシスタント、
サエチャンがメガホンをとった。

サエチャン「まかせろ!」

彼女は高らかにそう宣言すると、ポップコーンが入ったアルミの鍋をコンロに置き、ポップコーン作りに取りかかった。
しばらくして、ポン、ポン!とコーンが小気味よく弾ける良い音がしてきた。

そこまではまでは良かったのだが、・・・。
程なくしてキッチンの方から焦げの匂いが漂ってきた。

僕「ムム?」

僕は急いでコンロに駆け寄り、ポップコーンをチェック。思ったより袋が膨らんでない。
そしてよくよく目を凝らすと、底の方が真っ黒である。

上の方は問題なさそうだが、底に眠っているコーンたちがポップしないままその一生を終えてしまったようだ。
せつない。

サエチャン「私はゼッタイ悪くない、レシピに書いてある通りにやったもんゼッタイ。」

僕「ホウ?」

サエチャン「おもしろくない。」

僕「ナヌ?」

一瞬漂った不穏な空気を察し、

僕「では、味付け用のカレー粉を塗したらなんとかなるのではないでしょうか。上のポップコーンは生きているようですし。」

サエチャン「ナルホド?」

すかさずナイスなアイデアをかましたおかげで危機を回避することができた。

男たるもの危機管理能力は備えておくべし



続いて、
ポテトフライのコンビーフマヨのせは僕が担当した。
レシピはあってないようなものである。
コンビーフとマヨネーズを合わせ、
そこにブラックペッパーをかけまくる。
フォークで混ぜ合わせたら、
それを揚げたてのポテトフライに乗せて完成。

皿の色も相まってB級ソンビな色合いになった。


少し話が逸れるが、コンビーフの肉を皿に開けるとき、
容器と具をうまく外すために、
グッ、グッ、と色々な方向から容器を押す工程が、
たまらなく好きである。
何か楽しいことが待っているような気がするからである。
そのあとドサっ、と落ちたときの、
あのツヤツヤしたコーティング、
そして塊のまま鎮座する肉肉しい姿は毎回感動する。
なんだかスケベだからである。

肉肉しいコンビーフにマヨネーズをぶっかけ。
すみません、
もうこんなにかけちゃってますけどよろしいんでしょうか?


そして作った料理を皿に並べPCをセット。

部屋も雰囲気を出すために暖色で暗めにセット。
先述した通り、シャキッとした顔からボ〜っとした顔にチェンジ(元からボ〜っとしてたけどネ)。

役者が揃った。

テレビがないのでパソコンです。
いつか大きな画面で見たいなあ•••。

僕「そういや冷蔵庫にハラペーニョあるわ」

ペパロニピザオンザハラペーニョウィズゾンビ。

サエチャン「ハラペーニョ合うね!酸味が良い!」

僕「ウメーー!」

僕「しょうがないからコンビーフマヨポテトフライも乗せてやるか・・・。」

ペパロニピザオンザハラペーニョアンドコンビーフマヨポテトフライウィズスケベゾンビポリスイズジャンクハラスメント。

サエチャン「ウメャーー!」

僕「ハハ、猫可愛い。おバカだねぇ〜」

サエチャン「オーギー、良い顔してるわ」

可愛い猫ちゃんもホラーコメディの前ではゾンビ対象である。

途中から食事というより、
口に入れた食べ物をコーラで胃に流し込むという作業になっていた。
狙い通りのおバカな大味だった。

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