【読書記録】関心領域
2024年216冊目。
映画を見終わってすぐ買ったんですが、積読本が多くてこの時期になりました。
映画と全然違う内容で驚きました。まさか核となる登場人物からして違うとは思いませんでした。主人公の名前も変わっていますし。ただ解説にあるように、「原作の特性の一部をより純粋かつ尖鋭に表現した作品であり、その意味でこの映画は原作の忠実なコピーではないが優れた分身となっている。」という見方をすれば、言いたいことはわかる気がしました。
小説では心理描写が明示されているので、主人公たちが何を考えていたのかがわかりやすいです。ガス室などの描写を一切しないことで主人公たちがユダヤ人を処理すべき数字でしかないと考えているように強く感じられました。
ただ、一方でそれならなぜ彼らはあそこまで歪み、狂ったのかという点が強烈な違和感として感じられました。私としては関心領域の外だったとしてもやはり虐殺に思うところはあったのだと感じるのですがいかがでしょうか。エピローグの戦後の彼らの憑き物が落ちたような会話からもそれが窺えました。