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カフェの沈黙から突如と現れる気まずさ

例えばだ。今からは例えばの話をしよう。今、あなたは一人で雰囲気の穏やかなカフェにいるとしよう。

店内の混雑率は5割りくらいで、探さなくても空いている席が見つかる程度だ。

そこでコーヒーを飲んでいるあなたは特に深くは考えずに、明日が給料日だからと言うくらいの気の緩みから、音の出るオナラをしてしまったとする。

ある程度の人がいることもあって、お客さん同士の会話や店員の接客の声などでそれなりに店内は物音で溢れている。そのおかげであなたのオナラの音は隣に座っているお客さんに聞こえたかどうか、ちょうど五分五分くらいの感じだ。

さてこの時、次にあなたがとるべき正しい行動とはなんだろうか。

誰に向ける訳でもないけど何と無く「すいませ~ん」みたいな感じてペコッと頭を軽く下げるべきなのだろうか。

それとも自分が「屁こき太郎」であることを認めて、恥ずかしがりながら口元に手を当てて軽く笑って誤魔化すべきなのだろうか。

はたまた全く動じず、何もなかったかのように引き続き手元の週刊文春を読み続ければいいのだろうか。

ましてやどっこい「なんか変な音しませんでしたか??」みたいな感じで、周りをキョロキョロ見渡しながら被害者の顔をすればいいのだろうか。

どれが正解かは分からないし、自分がとっさの判断を求められるその状況でどうするかも分からない。ただ1つ言えることは、近くのお客さんの顔を見て「ごめんなさい」と声を音にして謝ることだけは間違っていると言うことだ。

そんな事したら隣のお客さんが聞こえぬフリをしてくれていたのに、その猿芝居を無下にしてしまうじゃないか。私を守るために打った優しさ由来のその芝居が、自分の背中を刺すという悲しい切腹になってしまう。

そもそもここまで生きてきた短くはない人生の中で、一度も交わったことがないただ今ここで隣に座っているだけというか細く脆い繋がりしかないような隣のお客さんからは、たとえあなたがオナラをしたと気付かれても指摘はされないことは分かっている。

だったら何故、私はあなたに謝らなければならないのだろうか。私はあなたに迷惑をかけたのだろうか。いやかけてない。私があなたにかけたのはオナラだけである。迷惑とオナラは必ず同じものではないことは国語の授業で履修済みであろう。

そんな考えなくてもいいことを、考えても今後の人生になんの価値も生まないようなことを考えて時間を無駄にしてしまった。

私は今「ごめんなさい」ととっさに音になった言葉を、どうすれば白紙に戻せるのか冷や汗かきながら考えている最中で忙しいというのに。そんな忙しいので今日はここまで。

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キャプテン後輩
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