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企業は「儲けるためにある」。三流経営者だった私は、そう信じていました。
世の経営者は誰でも、経営上の理想、方針を模索します。特に創業期や社長就任の時期には。
「企業は誰のためにあるのか?」
「株主のため?」
「お客様のため?」
「社員のため?」
「社長のため?」
この問いかけを、企業活動の目的とした場合には、
「利潤追求のため?」
「株主への配当のため?」
「お客様の満足のため?」
「社員の満足のため?」
「社長の自己実現のため?」
と、さらに具体的になりますね。
私の場合はどのような回答をみつけたか?
1.利潤追求からCSへ
経営を素人ながら20代から始めて、はじめの10年ほどは、
会社は「儲けるためにある」
と信じていました。
儲けるために、お客様によりよい商品やサービスを提供する。そして、社員はそのための存在だと。
経営の勉強会などでは、経営には3つの資源があり、その資源を安く効率よく活用するのが経営者の仕事であると教わってきました。
その資源とは、当然ながらヒト、モノ、カネです。(なぜかカタカナで書くことが多いんですね。おそらく資源と考えるからでしょうか)。
ヒト、モノ、カネ。
これらが「儲けるために必要な資源」であると信じていました。
しかし、創業から10年ほどが過ぎたころ。
儲けることは、最終的な企業活動の目的「ではない」と気付いたのです。
もちろん、利潤追求は大切な活動です。死活問題ですから。
ただ、利潤追求が最終的な目的とはならない。
なぜなら、利益は「顧客満足」(Customer Satisfaction)によってもたらされるからです。
顧客満足こそ企業の栄枯盛衰を決めると言えます。
そして、経営資源は顧客満足の向上に向けて有効に活用する。このように考えるようになったのです。
なぜ考えが変わったか?
それは、「利益を追いかけていくと顧客が離れていく」現象を何度も体験したからです。特に顧客からのクレームが頻繁に発生したときには、これまでの利益至上主義の過ちを猛省したのでした。
そのような反省をしてからは、知り合いの先輩経営者の会社を訪問しますと、
「顧客第一主義」
などと書かれた額が社長室に掲げられていると、即座に目に入るようになりました。また、この言葉の真意も理解できました。
2.また変わった。今度はCSからESへ
その気づきがあってからしばらくは、企業活動の目的はCSと考えていました。
ところが、確信していたはずのCS経営に戸惑いが生じたのです。
それは、ある時期から社員の定着率が悪くなったことによる反省心からです。
口を開けばCS、CS。
騒ぎ立てていた私の言動には何か違和感があったのでしょう。恐らく、顧客満足を優先するあまり。
社員を犠牲にしていたんです。
その結果、次から次へと社員が辞める。経営はCSどころではなくなったのです。正直、創業以来の初めての経営危機を体験しました。
この時、私の経営観に自信が持てなくなっていました。
「CS向上は、本当に企業活動の目的なのか?」
と。
確かにCS向上は企業活動における目的の一つとは思いますが、この目的実現は社員の努力があってこそ。この尊い努力は社員一人ひとりの会社に対する信頼や愛着、さらに満足がなければ発揮されないはず。
このことを、退職者を多く出してしまった事態に直面して思い知らされたのです。
CS、つまり、顧客満足の向上が企業の成長、成功を約束するものであることには疑いはない。ないのですが、
それを実現する担い手は社員である。
そのことを忘れていたのです。
そのように考えるようになって、企業活動の目的は、CS以上にES(社員満足/Employee Satisfaction)が重要であると方針を変えたのでした。
ESの向上、つまりは、社員の満足を企業活動の第一義として目的化することが正しい。よって、ヒト、モノ、カネの経営3大資源の中で、最も重視すべきはヒトだと考えたのでした。
この価値観は、経営テーマの核心にあるものではないでしょうか?
ところで、余談になりますが、私は「従業員」という言葉より「社員」という言葉の方が好きです。
なぜなら、従業員という言葉の響き、漢字の持っている意味合いが“業に従う”と書くからです。そこに何となく抵抗感があり、務めて社員と表現するようにしているのです。
また、"会社の一員"という意味の社員がよいとも考えています。よってEmployee(エンプロイ)の訳も社員です。
3.ES第一主義とCS第一主義
企業活動の目的の第一義はESであり、第二義がCSと言えます。ここで、この2つの目的の関連性を整理したいと思います。
次のように整合性をとりました。
「社長は社員第一主義、社員は顧客第一主義」
つまり、社長はESを一番大切に、社員はCSを一番大切にする。これなら社員もお客様もハッピーになれます。
そして、両者がハッピーならば自ずと利益はもたらされると思うのです。
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