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私が実践してきた起業物語。守ってきた3つの掟とは?

自己紹介を兼ねて、私の実践してきた起業成功の秘訣3つを紹介します。
本文ではあえて”掟”としました。

本記事の結論は以下の通りです。

・始めるときに既に撤退の条件を決めておく
・こだわらない、粘らない、縛られない
・市場に参入してみて、消費者の手に届けてから事業を成長、成熟させる

1、起業する際の学習は、机上の空論だった

私は起業する前に事業のこと、経営のことを結構、学習していました。起業の際には本屋さんでその時代に読まれていた「起業ノウハウ本」を数冊読んだり、知人の先輩経営者から勧められた「起業セミナ―」なども数回参加したりと、自分でもいうのもおかしいのですが、結構、勉強していたと思います。

学習の際には”わかった気”になり、根拠はなくとも自信みたいなものが日々、膨らんでおりました。


しかし、いざ起業し事が動き出してみると、実態は想像していたものではなく戸惑いと驚きの連続でした。

「事業はまさに生き物」でした。

ビジネスは理屈で動いてはいないし、まして、理屈で解決などできるものはほとんどありませんでした。

一番、思い知らされたのは、夢と希望に満ち満ちあふれていた起業は、ほぼ空想であったということです。実像は極めてシビアで”待ったなしの判断”と”ごまかしのきかない行動”が求められました。

当時を振り返ると、学習自体はある程度、ためにはなりましたが、”考えが甘かった!ということです。

私は20代に起業し3年間の間に株式会社を3社設立しました。その後、協同組合を1団、社団法人を3団体、NPO法人を1団体、そして、飲食店1店舗(これのみ個人経営)を起業してきました。既に35年が経過しています。

これまでの経験から絞りに絞って、これから起業する人、または起業して間もない人に私からのメッセージを送ります。これだけは分かっていて欲しいこと、そして、これだけは覚悟を決めておいて欲しいことを「3つの掟」として提示します。

世に出版されている経営指南書やネット上に数多くアップされている起業アドバイスには実態とはかけ離れたものが多く見受けられます。

決して間違っているわけではないのですが、それではうまくいかないこと、手続きとしては正しいが、それは起業家のすることの範疇にはないもの、そして、理論上はよく言われていることだが実際にはその通りではないこと、などが多々あるということを予め覚悟しておいて下さい。決して脅かすつもりはありませんが・・・。



大変失礼なことを申し上げると思いますが、経営に関する本、Youtubenなどでの経営指南のコンテンツなどは、その人にとっての成功談であることが多く、その人にとっては真実、正論であっても、これから起業する人にとっては参考にはなっても、実際の場面ではほとんどの場合、役に立ちません。

「参考になるが、役に立たない」つまりは、学習は机上の空論となりがち、ということを言いたいのです。

2、起業時に心得ておくべき3つの掟

では、わたしから
机上の空論とならないために、これから起業を志す人に半分、苦言となりますが、覚悟として持っていて欲しい戒め、私は「掟」と呼んでいますが、率直に記したいと思います。掟は3つあります。

以下に示す3つの掟は、私の実体験から骨身にしみて学び取った教訓です。

《起業成功に向け、予め心得ておくべき3つの掟》

1.始めるときに既に撤退の条件を決めておけ!
2.起業成功の秘訣は、こだわらない、粘らない、縛られないことだ!
3.事業とは市場に参入してみて、消費者の手に届いてから成長、成熟させろ!


掟‐1:始めるときに既に撤退の条件を決めておけ!

商いの成功は

“始末・算用・才覚”を身につけた経営者にもたらされる

とよく言われます。この『始末・算用・才覚』とは、一般的に以下の意味合いです。


「始末」とはムダを徹底的に排除すること。
質素と倹約を美徳とすることモノを有効活用すること

この格言めいた言葉から、まず第一に言えることは「経営者は数字に強くなれ」ということです。「入りを量りて出ずるを制す」ということです。

「始末」とは、経費の節約や削減のことというよりは、必要な時に必要なものに必要なお金をしっかりかけなさい、ということです。

「算用」とはソロバンに合うかどうかの採算を重んじる合理性であり、
”帳尻を合わせる”ことと言ってもよいでしょう。

そして、
「才覚」とは、独創的なビジネスを開発するアイデアを生み出す力と言えます。また、商機というものを見極め、人よりも先んじて、誰もやらないことに着手する、といった商才のことです。まさしく、起業家精神(アントレプレナーシップ)です。

私はこの『始末・算用・才覚』という考え方を起業する際にも当てはめていました。

特に、初めに来ている言葉、「始末」は全てを総括する意味を持っています。というのは、始めと終わりのことを指すからです。事業も同じで、始めと終わりを考える必要があるということです。

もっと言えば、

“始める前に末を考えろ!”、つまり、始め方と同時に”たたみ方”を考えておけ!ということが肝要だ。

と言いたいのです。なぜなら、始めるときの決断よりも

終わるときの決断の方が、ものすごく勇気も意志も必要で大変だからです。

だからこそ、予め合理的にどの段階まで事業が低迷したら撤退するのかを決めておく必要もあるのです。


掟‐2:起業成功の秘訣は、こだわらない、粘らない、縛られないことだ!


商売は“千三つの世界”とよく言われます。1000の商売を仕掛けてやっと3つが成功するという意味です。これは、会社の存続を含む概念のように感じます。実際には、大小織り交ぜ、すべての新規事業の存続確率を考えると近い数字になるのかも知れません。いずれにしても、着手した事業はそう簡単に継続できないということでしょう。

参考:法人の倒産・廃業
➡3年30%、5年50%、10年70% 各種調査機関の平均値
企業の平均寿命は23.3年(東京商工リサーチ 2021年統計より)


もう一つの捉え方として、始めたばかりの事業は、その後、継続するために、原型をとどめないほど変形を繰り返していくものだろう、と思います。この変形は変革(イノベーション)であり、かっこよく言えば進化を遂げて発展するとも言えます。逆に言えば、原形のままを固執すると直ぐに存在を失うと言えるのです。

よって、持論なのですが、「スタート時点の商品やビジネスの原型は必然的に変形するもの」です。もっと言えば原型をどのくらいハイスピードで変化させることができるか?このことが事業展開の勝敗を決めていると考えています。


上手に早く変化することができれば市場にマッチした証拠であり、そして、顧客にフィットした結果だと言えます。このことによって確かなビジネスモデルに成長していくのです。

この「マッチすること」、「フィットすること」が事業成功のカギとなる気がしています。

世の経営者は大方、少しでも原型を変えるとなるとそれを失敗と勘違いするでしょう。だから“現状に粘る”、”原形にこだわる”、そして、”条件に縛られる”のです。これでは市場にマッチできないでしょう。顧客にフィットできないでしょう。結果、失敗するのです。

現状、原型、条件をどんどん変える。言い換えればどんどんマッチさせフィットさせていく・・・。この過程こそが正しい事業発展の姿なのです。

よって、起業成功の秘訣は、”粘らない”、”こだわらない”、”縛られないこと”なのです。この点を、厳しい掟として心得ておくのです。


よく事業は予めビジネスモデルを完成させ、しっかりと計画書に落とす。
そして、計画書通り確実に取り組め!という人がいます。

「逆じゃないでしょうか?」


ビジネスモデルはあった方がよい。

また、計画書も銀行からの融資、株主からの出資を考えると、一応それなりのものが必要でしょう。でもその程度なのです。


計画書に縛られていては事業は失速してしまうことが多いと思っています。株主の手前、銀行の手前、一度作った計画書はとにかく変更したくない、メンツにかけても・・・と力んでしまっては市場から、お客様から見放されてしまいかねません。

「計画書に沿ってやるのではない!ビジネスとは環境の変化に沿ってやるのだ!」。その時、「計画書は飾りとなってよい!」

ただし、変えてはいけないものがあります。
それは、起業時から育てている”純粋な動機”や”熱い想い”です。

起業家は野心たっぷりな不純な動機によって理屈ぬきの情動みたいな部分が大きな原動力になっていることが多いと思います。それはそれでとても尊いエネルギーです。しかし、それだけでは多くの人から支持を得られないでしょう。

まして、社員が少しずつ増えだして組織だって動き出した場合は、何らかの使命感につながる普遍性ある理念がなくては正しい方向付けと軌道をつくることができません。社員もついてきません。

よく、企業の社長室などに掲げられている企業理念がそれに当たりますが、
起業家が経営者となっていく過程では、どうしてもこの理念という「全員で共有していく心と意志の羅針盤」が必要となります。

変えてはいけないのは、この理念の部分です。


掟‐3:事業とは市場に参入してみて、消費者の手に届いてから成長、成熟させろ!

もちろん、新規事業をスタートする際、扱う商品やサービスというものは品質的に保証されるものでなくてはなりません。しかし、起業時点で始めた事業展開の方法論は“未成熟”であっても仕方ないと言えます。むしろ、未成熟でスタートしてこそ、より顧客に支持されるビジネス展開に育っていくのだと思います。

特に、新規事業は“未成熟”であって欲しい。

「未成熟だからこそ“伸びしろ”がある!」ということを念頭におき、市場にデビューしてから、顧客に大いに叩いてもらうことです。別の言い方をすれば“育てて頂く”のです。


このような考えをはじめから持っているのといないのでは、事業の発展性が全く異なってきます。

“市場に耳を貸す!”、“顧客に耳をかす!”そして、市場に育ててもらう。顧客に育ててもらう。

この姿勢をいつまでも持ち続けることができれば、事業は限りなく成長し、発展していくでしょう。進化しながら成熟していくのです。


本記事のまとめです。

1.始めるときに既に撤退の条件を決めておけ!
2.こだわらない、粘らない、縛られないことだ!
3.市場に参入してみて、消費者の手に届けてから事業を成長、成熟させろ!


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