赤と青
信号が赤に変わった
一瞬スピードを緩めたが、日付が変わる頃の交差点には誰もいないからペダルを漕いだ
振り返ると誰もいなくなった交差点。
赤から青に変わる信号が見えた
深い夜の間も、律儀に見守り続ける
冷え切った部屋に暖房を入れて、味噌汁を温め直す。ご飯はいらないって言ったのに
赤くついた火を見ていたら、さっきの信号機を思い出した。
暖かくなりだした部屋。
味噌汁を一口飲んで信号機は母に似ているのだと分かった
帰ればいつも温かいご飯があるし、僕の出かける1時間以上まえに起きている。
進みたい時にはそっと背中を押してくれる青
休んだ方が良い時には頑張ったねの赤
いってらっしゃいの青。
誰もいない信号でブレーキをかけひとつ深呼吸をした。