見習い吟遊詩人

エッセイや詩を気まぐれに書きます。誰かの背中をほんのちょっとだけ押せたらなと思います

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最近の記事

遠泳

もっとかっこいいはずだった。 あれもこれも。 もっと良くしていけばいい。 正しい事ずっと続ければいい。 遠目に溺れている人を見て、 自分なら、と思った。 暗い海に飛び込んで初めて 自分の無力さを知る。 必死で足掻いていた人達は 実はもっと遠くにいて。 自分はもっとカッコ悪くて、 正しくなくて。 自分はできないから、 格好悪いから、 無力だから、 利口な人達は動かなくなって やり過ごす。 それでも僕は遠くに行きたい。 誰も見た事のないとこまで泳いで行きたい。 どんなに無

    • 能ある鷹は

      爪を隠すことの必死だった 自分は周りとは違う 大きな夢や目標 あっても口にしない 自分を守るのに必死だった 自分は能ある鷹だ 大きな夢や目標を口にして 周りからバカにされてる鷹を能無と笑った 社会では成功を一般化 アウトプットが大切とされる 誰が能あっても爪を隠すことを求めてる

      • 国道134号

        暗い海岸線 携帯の明かりで足元を照らした あの飛行機からはこの明かりは見えてるのかな この先の道に、光はあるのかな なくてもいいな、と君は言った 明るいところに行ったら この灯は見えなくなりそうだから

        • 天秤

          どちらに傾くのだろう それは何を基準に傾くのだろう 傾かなかった、 もう一方はいつも 捨てられるのだろうか この選択をいつか 間違いだったという日が 来るのだろうか 本当は どちら傾くか 分かっている 本当は どちらに傾いて欲しいか 分かっている なのに 最後に怖くなって 積み重ねてきた沢山の事を 自ら崩してしまう きっと、 積み重ねる事よりも 最後に選ぶ事の方が 難しい

          夢(前編

          私の友人に 20になった今も本気で プロサッカー選手を目指している奴がいる ヨーロッパを飛び回って、 街のクラブを転々とし 屈強な外人に果敢に挑んでいる。 彼は小柄で決してセンスがあるとか、 足が速いとか、背が高いとか、 そう言う特別なものを持っているわけじゃない 小学6年生の頃、クラスが一緒だった。 夢を語るのを恥じていた私にとって 彼はとても眩しい存在だった。 何に対しても全力で 体育のサッカーで負けただけで号泣していた。 彼の将来の夢はプロサッカー選手 そして高校

          家から出なくなって、人と合わなくなって 1人なのに 気づけば誰かのことを考えてる。 あなたは1人じゃない

          家から出なくなって、人と合わなくなって 1人なのに 気づけば誰かのことを考えてる。 あなたは1人じゃない

          あおいなぎさの町に

          春雷が行きさって 最後の桜の一枚が散ってしまいました今朝は久しぶりに目覚ましよりも早起き カーテンの間から照りつける日差しが うるさくて でもなぜかワクワクしてもしかしたら 休みの日に子供に起こされる お父さんはこんな気持ちなのかな でも海に出る前からわかっていた 空の高さが、 照りつける日の匂いが、 潮の匂いが、 母さんは僕の名前にその季節を入れた その季節には色々な深い意味があるらしい その名前が似合うような明るい自分じゃないで もこの季節が好き。 そして母さんは

          あおいなぎさの町に

          笑って

          『タンスの角にものすごい勢いで小指をぶつけるあれ、痛いですよね〜 一説によると足の小指の位置までは正確に脳が理解できていないとかなんとか…』 大流行したウイルス騒動もようやくひと段落し、テレビから聞こえて来るニュースにも日常が戻りだした。 明日は月曜日。 明日から遅めの新学期を迎える巳波は、市内の高校に通う二年生だ。 新学期の準備に大変てまどっていた。提出物や体操服の準備まで終わっているのに、いまいち心の準備が整わず、ぼーっとテレビを見ていた。 姉のチカが 『会話の引き出

          なるかみの

          今日は全国的に雨。 こんな日にいつもある和歌を思い出します 新海誠作品の中で一番好きな 言の葉の庭、の作中に登場する和歌です 雷神の 少し響みて さし曇り  雨もふらぬか 君を留めむ 雷神の 少し響みて ふらずとも  吾は留らむ 妹し留めば 雷がなって、空が曇り、雨でも降らないかな。あなたをここに留めておきたいから。 雨が降らなくても、あなたが望むのなら私はここにいる。 という意味の和歌です。 当時高校生の私は言の葉の庭を読んでまさに雷に打たれたような衝撃を

          これはちょっと…

          先日バイト帰りに夕食が唐揚げだって思い出したんです。 唐揚げにはレモンサワーだぁ… 吸い込まれるようにコンビニに入り散々悩んだ末、檸檬堂の3%をチョイス。 ハイボールという選択肢もありましたが、いかんせんお酒によわい。 自『お会計IDでお願いします』 店員『年齢確認できるものございますか?』 へ?20歳と7ヶ月人生初の年齢確認。 実は年齢確認されたいと20になってずっと思っていたので、ドヤ顔で免許証を… あれ………? あ、財布持ってないんだった。 あれ、あ…買えない

          これはちょっと…

          願い、望む

          『何のために意味なんか求めるんだ? 生きることは意味じゃない  願望だ             』 チャップリンは生前こんな言葉を遺した。 私は、貴方は、何のために生まれたのだろう 映画やドラマの中でこの時のために生まれてきたんだなんてセリフを聞いた夜には、一晩中天井を眺めた でも、死も含め生きる意味を明確に持っていた人たちがいた。戦争で国を守ると戦った若者や、独裁を終わらせるべく立ち上がった市民たち、差別に立ち向かった黒人たち 彼らが羨ましかった 強大な敵に立ち

          飛行機

          『お前昔はあんなに幽霊怖がってたのにな笑』 中学校以前の友人に会うとよく言われることがある。たしかにあの頃は幽霊、お化けなどの霊現象が当時の私の怖いの最上位に当たったことは確かだ。あんなに怖がっていたのだから、一度くらい脅かしにきてくれても良かったのに、結局今まで霊現象にでくわしたことがない 林間学校で明後日の方向を指差して 『見えないの…?』みたいなことを言って あいつは特別だとみんなから言われたかったのが正直なところだ そんなこんなで歳をとり、幽霊に対する恐怖心は順

          大人の階段

          いつから登り出したんだろう あの頃は息切らして 早く早くと 長い先を眺めていたよね いつから『子供の頃に戻りたい』 なんてビール片手に言うようになったんだろう もう戻れない。 そう思った時、 長い階段を登り切ってしまったことに気がつく この階段を登り切れば 頂上の景色を見れば 夢も 愛も 生きることも 全部分かるんだと信じていた 子供のまま大人になって 子供のまま死んでいく カレーが好きなことも 夏が好きなことも 雨の日が好きなことも 誰にも変えられやしない 変われや

          明日やろう

          ついに100日目を迎えましたね ワニくんが死んでしまいました カウントダウンの数字が減っていくなかで 僕の残りの数字はあとどのくらいなんだろう 僕やあなただってもしかしたら残り1日かも 今日はいいや。 毎日がんばらなくてもいい だけどもし明日が最後の日だったら、 そんな一日を後悔せずにはいられるのだろうか 一体私たちはいつまで生きるつもりで そんなふうに過ごしているのだろう 日々の中に大切な事には 当たり前という霧がかかって 見えなくなっていく 100日後に死ぬワ

          雪辱

          雪辱を果たす なんで雪なんだろう 調べてみたらどうやら雪ぐで すすぐと読むらしい 雪には確かに水が含まれているけど どちらかというとすすぐのは雨の方じゃないか でも昔の人は雨ぐじゃなくて 雪ぐにした意図がある 元は諸説あるそうですが 中国古代に起きた二国の争いで 敗れた側が酷い辱めを受け 数年後苦労を重ね 最後に敵に勝利した史実から生まれた 古事成語だそうです なるほど 他人から受けた酷い辱めは確かに 水なんかじゃ洗い流せない むしろ悔しい想いを根に残しつつ 努力を

          手ぶらで行こう

          夜からの降水確率は40% 君はこんな時いつも傘を持ってこない だってあなたがもってくると思ったんだもん 雨に濡れた髪とアスファルトの匂い でも今日は降らない なんとなくそう思って手ぶらで出かける いつもの集合場所通り過ぎて 1人、電車に乗る 傘と鞄で塞がってた両の手 右手には傘、左の手には君の手 それでよかったのに もう何も持たない僕 夜には予報通り頬を濡らした 濡れて滲んだ街はいつもよりも 少し綺麗に見えた

          手ぶらで行こう