特許法 第七十一条 特許発明の技術的範囲(2)
今回は、特許法 第七十一条を確認していきます。
第七十一条の概要
特許法 第七十一条は、第七十条から始まる「特許発明の技術的範囲」に関する条文の一つです。
第七十一条全文
第七十一条の全文がこちら。この後項毎に解説するので、ここではさっと目を通します。
第七十一条 特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2 特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
3 第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項及び第二項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条、第百三十六条第一項及び第二項、第百三十七条第二項、第百三十八条、第百三十九条(第六号及び第七号を除く。)、第百四十条から第百四十四条まで、第百四十四条の二第一項及び第三項から第五項まで、第百四十五条第二項から第五項まで、第百四十六条、第百四十七条第一項及び第二項、第百五十条第一項から第五項まで、第百五十一条から第百五十四条まで、第百五十五条第一項、第百五十七条並びに第百六十九条第三項、第四項及び第六項の規定は、第一項の判定について準用する。この場合において、第百三十五条中「審決」とあるのは「決定」と、第百四十五条第二項中「前項に規定する審判以外の審判」とあるのは「判定の審理」と、同条第五項ただし書中「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとき」とあるのは「審判長が必要があると認めるとき」と、第百五十一条中「第百四十七条」とあるのは「第百四十七条第一項及び第二項」と、第百五十五条第一項中「審決が確定するまで」とあるのは「判定の謄本が送達されるまで」と読み替えるものとする。
4 前項において読み替えて準用する第百三十五条の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
長いですね…。とくに3項…。
それと、第2項の「特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは…」の「求(もとめ)」は送り仮名が付かないことが気になりました。
第七十一条1項
まずは1項から。
第七十一条 特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
3項と違ってすっきりした条文ですね!
そして、私、初めて「判定」という制度があることを知りました。実務をやる中で、今まで聞いたこともありませんでした…。
判定制度を一言でいうと、「ある態様がある特許の権利範囲に入るかどうか、特許庁が判断する制度」のようです(詳しい説明は、特許庁のHP:判定制度を参照)。
第七十一条2項
次は2項。判定は3人の審判官によって行われるのですね。
2 特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
第七十一条3項
3項は長いので、条文を引用するのはやめます…。3項には、判定に関する手続きは審判の規定に準ずることが記載されます。
第七十一条4項
最後に4項。判定の決定については、不服の申し立てはできないのですね。
4 前項において読み替えて準用する第百三十五条の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
判定の決定は、法的な拘束力を持たないそうです(特許庁判定制度ガイドブック1.(2) 判定でできること 最下部)。法的拘束力のないのだから、不服を申し立てる制度は不要ということなのかな…と思っています(←思っているだけで確認していません)。
まとめ・感想
今回は特許法 第七十一条を確認しました。判定制度に関する条文でした。いろいろ気になる関連事項があり、調べてみたこともあったのですが、全て書こうとすると全然note作成が進まないので…次の機会にとっておく、ということにします。
おまけ(「求(もとめ)」)
第2項の「特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは…」の「求(もとめ)」に送り仮名が付かないことが気になりました。この点については、別途記事を作成したいと思います。
昭和48年内閣告示第1号「送り仮名の付け方」にヒントがありそうな気がしています。
関連する事項として、法令における送り仮名は、平成22年11月30日付の内閣法制局の通知「法令における漢字使用等について」で定められているそうです(参考:参議院法制局 法律の「窓」 法令における送り仮名)。
実務にはなんの役にも立たない情報ですが、名詞として「求(もとめ)」が出てくるのは、特許法を見返しても第七十一条だけです。…どうでもいいことほど気になってしまう性分です、私。笑