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苦しさと恋と夢が混ざった中3の夏①


わたしの右腕には大きな傷がある。

今私がうつ病を患っていることを知っている方は
想像するに容易いかもしれないが、
リストカットによる傷だ。

ただ、その傷は患った今できたものではなく、
中学3年生の夏にできたものだ。
今思えば私のはじめての苦しい思いだった。
そして、恋と夢が混ざった出会いでもあった。


その頃わたしはアメーバピグというSNS?に
はまっていた。自分のキャラを動かし、
その世界の友達と会話をしたり部屋を作ったりする。
部活も引退し、試験勉強に向かおうかという時期
だったが、まだまだ熱の入らない私たちは
家に帰るとすぐにアメーバピグの世界へ入った。

私はクラスの友人とも友達になっており、
そこで話すのもその友人が多かった。
実際に会う時はあまり話さないのだが、
ピグの中だけの秘密の仲というのがたまらなかった。
友人2人のうち、ひとりは少し気になっている人。
もうひとりはクラスのお調子者の男子。

ある日、お調子者の男子(以下A)が私に
「お前って意外と胸でかいよな」と言い出す。
突然なにかと驚いたが、今まで散々部活に精魂注いで
きた私にとって性的な目でみられることは
あまりにも珍しく、少しうわついた気持ちがした。

「見せてよ。写真送って。」
男子中学生の好奇心そのものだった。
うわついた気持ちのまま私は写真を送った。
絶対に他に見せない。削除するを条件に送った
この写真が実際どう動いたかはわからないが
私にとってそんなことはどうでもよかった。

送った瞬間、たくさんの予期不安と後悔が私を襲った。
「明日学校にいったらみんながこれを知っているかも」
「気になっている人にも知られてしまうかも」
「Aがいじってきたらどうしよう」
どこで覚えたのか初めて右腕に赤い血が流れた。
ここからが私の苦しみのスタートだった。

次の日学校へ行くと、日常が過ぎていた。
そのはずなのに、わたしから見る世界は激変していた。
Aは少し恥ずかしそうで目を合わせてこず男子で群がって
楽しそうに話をしている。
それがわたしには昨日の写真について話されているのではないかという不安になった。

クラスの子の視線が怖くなった。
授業中席に座っているのが苦しくなった。
トイレに抜け出してはカッターで切った。
家で泣いてはカッターで切った。
ケロイド体質の私の腕には何十本もの傷跡が
言い逃れることのできない証拠となって残っていった。

そのうち私は学校へ行くのが苦しくなった。
どのくらい行ってなかったかは正直覚えていない。
過去の成績表を見ると十数日程度の欠席だったので
私からしたら長かったあの日々は1ヶ月にも満たない
日々だったようだ。

朝、支度をするが途中で泣き出す私。
リストカットをしていること、何かに悩んでいることに
気づいた母。
「うまく育てられなくてごめんね」
はっきりとは覚えていないがそんなような言葉を残して
母が泣きながら自室へ戻って行ったのを覚えている。

その後、母と学校職員の連携のもと保健室登校に移行。
苦しくなれば、保健室のベッドで切った。
養護教諭にお願いしてブログを書かせてもらった。

そんな保健室登校中に私はひとつの恋と夢に出会う。



------------ つづく。



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