千二百六十分の一【掌編】2,584字
七月二十一日から八月三十一日までの四十二日間×三十人分。合計千二百六十日分の日記に目を通してコメントを赤ペンで入れていく。大変な作業だが嫌ではない。
児童一人一人がどんな夏休みを過ごしたのか、この絵日記を見れば一目瞭然、というわけにはいかないが……。一年生なので児童によっては正直何を書いているのかよくわからないこともある。それでも、一生懸命、文章と絵を書いているのだ。親御さんも読んでいる(書いている・描いている)こともあるが、基本的には読者は担任である僕一人。なるべく読