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シチズンシップ、どう育む?

瀬戸みんなの会議&マルシェ vol.3

目的:市民性(シチズンシップ)の育成


※市民性
・客観的な判断力を身につけ、精神的に成熟すること
・社会の成員としての権利と義務を行使すること
・人として、自分のことや誰かのことを大切に想う気持ちや願い、温かなまなざしや関わり、そしてそこから生まれるつながり

手法:「クラス会議」と模擬店


※「クラス会議」とはアドラー心理学をベースとしたポジティブディシプリンの取り組みのひとつ

開催頻度:年に2回
開催時間:3時間から4時間

3回目のレポート

今回で3回目となる「瀬戸みんなの会議&マルシェ」
中身
1回目。7つの習慣小学校実践記の著者である渡邉尚久先生のお話&クラス会議
2回目。クラス会議&マルシェ
3回目。2回目と同様の形

参加者数:約110名
内訳
80%:瀬戸ツクルスクール生、瀬戸プラクティカルカレッジ生、生徒の保護者
20%:そのほか(模擬店出展者関係、それぞれの友人、知人)

出店数:17店舗
・カレーの鹿亭(プラカレ生)
・千秋栞堂(しおり屋 プラカレ生)
・マフィン、ドーナッツ、コーヒー(ツクル生)
・占いあそび屋おちゃん(ツクル保護者)
・町工場(職場事例紹介)(ツクル保護者)
・クロワッサンサンド(プラカレ生)
・ヘッドマッサージ(ツクル保護者)
・ホットドリンク&米粉お菓子(ツクル生&ツクル保護者)
・もりのねハニー(もりのね~こどもとツクルようちえん~)
・ベビーラップ紹介(ツクル保護者)
・サイコロビー玉おかしゲットゲーム(ツクル保護者)
・コミュニケーションカード無料体験(ツクル保護者)
・まこあらファーム(真菰など)&ぼちぼちファーム(はちみつなど)(せと・しごと塾生)
・するめのイラスト屋さん、手作り犬のおやつ(ツクル保護者)
・アトリエ・ピッピの米ぬかカイロ屋さん(ツクル保護者)
・ふれあい農縁千 さつまいも(ツクルがお世話になっている農縁さん)
・石とこん棒(ツクル保護者)

瀬戸みんなの会議(40分程度)

1:アイスブレイク


グーパー、あいこでハイタッチ、ホメホメじゃんけん、ぎょうざじゃんけん、前後左右、バースデーライン

2:瀬戸みんなの会議 10グループ(1グループ10から11人)

ハッピーサンキューナイス
トーキングスティックをもって、うれしかったこと、感謝すること、よかったことを発表(パスもあり) 各グループで1周以上

個人のお悩み相談
片付けができない、母親が約束を守らない、ほしいものを親に言えない、運動会でズルする人がいる、パパとおばあちゃんのどちらも好きすぎて困る、猫がつめとぎでつめをとがない、税金が高くてお菓子も買えない、中学からツクルスクールを考えているがツクルのことを知りたい、学校まで遠い、子猫をどうやって保護するか

瀬戸市の課題
子どもとおじいちゃん、おばあちゃんがもっと仲良くするにはどうしたらいいか

それぞれの課題に対して、各グループ1周以上ブレインストーミング。
個人の悩みは、提案した個人がやろうと思ったことを1,2つピックアップ
瀬戸市の課題は、でたアイディアの中から自分でやってみようかなと思えたものやいいと思ったことを1つ実行に移せるといいね、と促し。(ほかにもホワイトボード9枚分あり)

マルシェタイム

クラス会議終了後の11時30分以降はゆるやかに各自が模擬店を回ったり、おしゃべりしたり。


13時ぐらいからそれぞれのペースで退出。
14時完全撤収

所感


日々の取り組みが形式知として身についている


ツクルスクールでは朝のミーティングで、クラス会議の導入のみやっている。(輪になる→ハッピーサンキュナイスまで)
これをやっていくことで、瀬戸みんなの会議当日の形式や流れについての説明がいらない。その結果アイディアを出すことにのみ集中でき、たくさんのアイディアがでる。
またツクルスクールでは決まったクラスや学年もない。へたしたら名前を知らない者同士のこともある。そんな中で生活しているので、こういう場ではじめての人、年齢差があってもそれほど警戒しない。リラックスして会に臨める。

市民性が育まれる


毎回瀬戸市の課題についてある程度かみ砕いて説明し、老若男女問わずみんなで話し合う。
1回目。不登校について
2回目。人口減少について
3回目。少子高齢化について
小さいころからこういうことを話し合う場におり、さらにそこで発言をするという経験をすることで、市民性が育まれていくだろうという予想をしている。今までもそう感じていたが、今回も同様。

「楽しさ」と「継続性」と「コミュニティ」


ただ「話し合う」「意見を言う」ということだけだと継続的な取り組みになりにくいし、新たな層を引き込むことはできない。
楽しい雰囲気、リラックスした雰囲気のなかに「話し合う」ということを組み込むことで継続性を生む。そのためにも「楽しさ」「ワクワク」を伴うマルシェとの併用が好ましい。また継続することでコミュニティの形成と持続が成り立つ。

今後


今回のやり方をベースに、少しずつ外部に向けて参加者を広げていく。具体的手段としては、模擬店出店者の属性を変えていく。

見学者の感想

この取り組みの大枠としてふさわしいのはやはり「コミュニティ形成」「共同性の育成」という言葉になります。

「コミュニティ」や「共同性」という言葉が「グループ」や「親密性」と異なるのはその場にいる“他者”とのつながりがあるところ。
コミュニティや共同体ではその場にいるすべての人と支え合いながら生きていくことを大切にします。

「組織」や「学校」「学級」という大きな枠組みが、必ずしもコミュニティになっているとは限りません。
むしろそんな枠組みに歯向かうように、あるいはそれから身を守るために自分の世界にこもったり、同質性の高い他者とばかりつるんだりする子ども達は「みんなと助け合って生きていこう」なんて思っていません。

逆に「個人事業主を育てる」という指針があるツクルスクールは、ひとりで生きていかなければいけないことが前提にあります。
お前は一人で生きていくんだぞということが突きつけられている。
しかし、そう思って自分の作ったラーメンを売ったり、どぶの鯉を釣ったりしているうちに、他者がいないと生きていけないことに気が付くわけです。むきだしの社会が他者がいないと生きていけないことを教えてくれます。

今日のみんなの会議は、グループ分けがランダム。
そこに自分の子どもがいるとは限りません。
しかし、自分の子どもで無かろうが、見たことがない大人だろうが、一緒に問題を解決しようとします。
というか、一尾さんがニタニタしながら“させる”のです。これが「ツクルスクール」は「コミュニティ」だということを力強く指ししめます。
この場にいるものは誰であろうが助け合うということがヒドゥンカリキュラムとして教えられるのです。

最後に瀬戸の課題として出された「おじいちゃんおばあちゃんと子どもが仲良くするには」という問いからも同じようなメッセージが伝わります。

私の初任校がまさにそういう場所でした。母ちゃんも、父ちゃんも、じいちゃんもばあちゃんも学区の子を、自分たちの子として大切にします。授業参観が終わっても、自分の子どもじゃない子を褒めたり、しゃきっとせいと怒ったり。それが地域文化として残っているわけです。そこにはコミュニティがあった。時代なのか、地域性なのか。それに惹かれて今の自分の関心があるのかもしれません。


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