【Dear my Amnesia】第八話
第八話 魔王の嫡男
悪魔フラッセオは、今日も人間の女が家に訪れるのを待っていた。
天使や祓魔師に見つからないよう派手な行動は控えていたが、隠れながら寄ってくる美しい餌を少しずつ食むこの生活は退屈しなかった。
彼は実に狡猾に、且つ慎重に食糧調達をしていた。餌と決めた人間の女は全て独り身で、決して位の高い者達ではなかった。そうする事で万が一自分の家に頻繁に入る女が居ると知られたとしても、事が大きく荒立ちはしない事を彼は知っていた。
カーテンを開き、太陽の眩しさに目を細めながら