詩|コトバの散乱
記憶の蓋をひらいてウミガメの産卵
ぽろぽろと産み落としてく言葉を
丁寧に文字にして並べていった月夜
本当はすぐ光にあてたかったけど
外側の反応が急に怖くなってしまった
行き場をなくてしまった言葉達は
ひっそりと引き出しの中で息をころす
一度空気に触れてしまったものを
またわたしの中へ戻すことはできない
どうしてこんなにも怖いんだろう
誰かに認めて欲しいわけじゃないのに
ただ自分の記憶を整理したいだけ
誰かを傷つけるとかもうそんなことに
怯えるのはキレイゴトでズルくて
傷つけても傷つけられてもそんなこと
わたしに嘘がなければいいことで
だってここはわたしの世界なんだから
引き出しをあけて言葉を取り出す
そして透明な記憶の欠片に色をつけて
ウミガメを照らす弓張月の覚悟で
真夜中を超えても満月まではまだ遠い
コトバの散乱 / 月乃