詩|白い声
真っ白な時間が積もっていく音
たとえ耳が壊れてたって聴こえる
張りつめた空気が静寂を奏でて
さらさらと降りつづく雪のリズム
まだだれも足を踏み入れたことのない
降り積もった新雪のベッドに横たわって
仰向けになって舞い降りてくる結晶を
切ない気持ちで待ってるのが好きだった
花びらみたいにハラハラと散って
渇いた唇に張りついて溶けていく
あの冷たい感触は憶えているのに
あの日の空の色だけ思い出せない
ずっと詩を書いていた
白だけの世界で
たったひとりで
涙を凍らせたまま
自分の言葉だけを信じた
わたしの白を思い出したい
声をなくしてしまったから
せめて
白い心だけでも返してくれたら
もうなにもいらないから
白い声 / 月乃