詩|朝のこない夜
真夜中をどこまでも歩いていた
残された感覚は嗅覚だけで十分
月と夜の匂いだけが優しかった
突然雪が降り始めて白黒の世界
花びらみたいな雪のひとひらが
手のひらに落ちて溶けて消える
膨張した心の熱を冷ましていく
もう体温なんてなくたっていい
心は凍るほど寒くて泣いている
それでも寂しくないって言うの
どんなに満たされても空っぽで
言えない傷はまだ癒えないまま
わたしの真夜中は永遠だったから
もう朝が来ないことは最善だった
朝のこない夜 / 月乃
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